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第41話


 翌朝、いつもの隊列で村を出てすぐに分かれ道があり、

レン達は森越えのルートに進む道を入っていく。


 事前の情報通り、こちらのルートを進む旅人はいなくて

すれ違いや追い抜くこともなく、4台の馬車群が道路を

進んでいく


 前方に森が見えてきたところで、レンとティエラはいつでも

幌馬車から飛び出せる様に準備をする。

すると森に入ってすぐに道路の先の森の左右に赤い点が

探索スキルの上に現れてきた。


 レンとティエラは顔を見合わせ幌馬車から飛び降りて、

レンは右の森に、ティエラは左の森に入っていった。


 それを見ていたローズが騎士に指示を出す。


「レンとティエラが森に入った。こちらも戦闘準備を。

馬車はゆっくりこのまま進んで」


 騎士達も全員馬車から出て、領主の馬車を囲む様に

馬車の左右を歩いて周囲を警戒する。


 左の森に入っていったティエラは木々の間を

赤い点に向かって進んでいく。

身体能力が向上しているので進むスピードは早く

そしてほとんど音がしない。


 そのまま近づいていくと、オークが5匹

固まっているのが見えた


(ランクCが3匹、Bが2匹ね)


 相手のランクを確認すると木の間から精霊魔法で

まずはランクBのオークの首を刎ねる。


 突然仲間の首が飛ばされて、右往左往するオーク達、

もう1匹のランクBも同じ様に魔法で首を刎ねてから

両手で2本のを抜いて残り3匹の中に突っ込んでいった


 ティエラの気配に気づいたオーク達が

こちらを向いた時にはすでにティエラは敵に

接近しており、1匹を精霊魔法で倒しながら、

同時に右手の片手剣でオークを倒し、そのまま

返す刀でもう1匹も倒して戦闘終了


 倒したオークから魔石を取り出してから

馬車群に戻っていく


「あら、レン早かったのね」


 ティエラが馬車に戻った時にはすでにレンは

馬車のところにいて


「トロル4匹がちょうどいい具合に固まっていたので、

精霊2発と剣でさっくり倒せたよ」


 そして護衛の騎士のローズのところに行き、


「ティエラがオーク5匹、俺がトロル4匹倒した。

これで今の所探索スキルにかかる敵はいない」


「わかった。ありがとう。じゃあ馬車を進めるわね」


(馬車から飛び出して5分程で魔獣9匹を討伐か…

相変わらず規格外の二人ね。)


 先頭の幌馬車に戻る二人を見ながらローズは再び

馬車を進める指示を出した。


 その後しばらくは何もなく順調に進んでいると、

前の幌馬車からレンが降りてこちらに近づいて来て


「左の森に敵がいる。盗賊の斥候だ。

俺はこのまま森に入って斥候を始末してくる。


 盗賊と聞いてローズが一瞬身構える


「わかったわ。気をつけて」


 レンはわかったとばかりに片手を上げながら

森の中に入っていった


 斥候は道の馬車を探っているので、

レンは大回りして背後から盗賊に近づいていく。


(注意が前方にしか向いていない。

背後がガラ空きだぜ)


 馬車の動きに合わせて動く斥候の様子を背後から見て

木の間から道を覗こうとしたタイミングで

精霊魔法を背中から当てて気絶させる


(死んでないよな)


 サンダーで気絶させた盗賊に近づくと気絶している男に

<<スリープ>> の魔法をかけて眠らせ、そのまま

盗賊を担いで馬車に戻ると騎士達が寝ている盗賊を

口や手足を本格的に縄で拘束していく。

このあたりは普段から犯罪者を取り締まっているせいか、

拘束の仕方が堂にいっている。


 幌馬車に放り込むと探索スキルに盗賊の本隊が

確認できるまで進んでいき、スキル上の赤い点が

1Km位まで近づいたところで馬車群を止めさせた。


「盗賊は約1Km先、道路の左右に分かれている。

道路の左手は本隊で20人、右手は5人

恐らくこいつら5人は弓を持っている。」


「25人の盗賊なのね。二人で大丈夫?」


 ローズが応援を出そうかという雰囲気で

レンに問いかけるが、


「いや、俺とティエラで十分だ。同士討ちを避けるためにも

こっちは少ない方が良い。」


「そうそう、私とレンで始末してくるから、

ローズさんは領主様の馬車の護衛をお願い」


 ティエラまで二人で十分だと言われると返す言葉もなく、

またローズはこの二人の実力を嫌という程知っているので、


「じゃあ盗賊の始末はお願いするわ。

こっちはここで事が終わるのを待ってるから」


「そうしてくれ。ティエラは右手の弓を持ってる奴らを頼む。

出来れば捕獲だけど、無理なら何人かは倒しちゃってもOK。

俺は背後から本隊を討つ。

弓持ってる奴らの処理が終わったらこっちに合流してくれ」


「わかった」

 

 短く答えるとティエラは右の森の中に、

レンは左の森の中に消えていった。


「今度はなんだ?盗賊か?魔獣か?」


 領主の馬車の窓が開いてヴァンフィールドが

顔を出しながらローズを見ると


「どうやら盗賊がこの先にいるみたいで、

今レンとティエラが討伐に向かいました」


「盗賊か…俺の領内では稼げないからこの辺りに

拠点を移したのか。まぁあの二人なら問題ないだろう。」


 領主のヴァンフィールドは今までのレンとティエラの

活躍から彼らの実力を高く評価していて、

盗賊と聞いても全く動じる事なく


「倒したら教えてくれ」


 とだけ言って窓を閉めた。


(まぁ確かにあの二人ならこっちが心配することも無いか。

私達は領主様の馬車の周囲だけ警戒しておきましょうかね)


 ローズは他の騎士達に馬車の周囲の警戒を怠らない様に

指示を出し


(頼むわよ、お二人さん)



 右の森を進むティエラ。

弓部隊の背後に回り込むとその背中を見て数を確認する

大きな木から伸びている枝に3人、地上に生えている

低木に隠れているのが2人


 低木の背後に隠れている弓を持っている盗賊の首元に

<<エアロ>> を撃つとその場でバタリと倒れた


 エアロは魔法の軌跡がほとんど見えないので、

どこから撃ってきたのかが分かり難く、

こういう場面では最も適している精霊魔法と言える。


 急に仲間が倒れて動揺している他の4人、すかさず

<<エアロ>> を撃って枝の上にいた弓使いを落とし

そのままエアロ連射で残り2人も気絶させる。


 レンもティエラも上位転生と神獣の加護の効果で

魔法の詠唱時間やリキャストタイムがほぼ0になっており

魔法の連射が可能となっていた。


 遠距離部隊の5人を倒し、各自に<<スリプル>>をかけて

眠らせたティエラは道の反対側にい

る本隊の様子を低木の影から伺う。


 ティエラが最初の弓持ちを気絶させた頃、

レンも本隊の背後に回りこんでいて、

指揮をとっている男を見ていた


(ランクCか、こいつら全員元冒険者だな)


 そして背後から同じ様に<<エアロ>> をリーダー格の

男の首を狙って撃つと、ガクンと前のめりになって

男が倒れた


「どうした?」


「敵か?」


 周りの盗賊が慌てて周囲を見回すがそのころには

さらに2発の <<エアロ>> で盗賊を倒していた。


「あそこだ!」


「てめぇ」


 声を出してこちらに向かってくる盗賊を迎え撃つ様に

レンも盗賊達に向かって走りながらさらに魔法で2人を倒す


 残りは剣や斧を振り上げて向かってくるが、

レンから見れば素人に毛が生えた程度の実力では

レンに太刀打ちできるはずもなく、次々と剣の峰打ちで

その場で倒れこんでいく。


 その頃になると道を渡ってティエラも合流して

レンに向かっている盗賊の背後から精霊魔法で

次々と倒し、残りは峰打ちで気絶させて、

結局25人の盗賊達をあっという間に倒した2人は

全員をスリプルで眠らせてから

ティエラがローズ達を呼びにいった。


 馬車が来ると騎士達が縄で盗賊を縛り上げていく


「殺さずに捕らえられたのは大きいな。助かるわ」


 ローズの礼に対して


「こいつら全員元冒険者だな。ランクCクラスだ。あと、

まさかとは思うが捕らえられてる人がいるかもしれないから、

尋問はそっちに任せていいか?」


 一人一人に縄をかけていくのを見ながらレンが言うと

頷きながら、


「あとはこちらでやるわよ。領主様が倒したら報告してくれって

仰ってたから、レンとティエラでお願い」


 2人で領主の馬車の前に行くと窓が開いて領主の

ヴァンフィールドが顔を出した


「倒したか?」


「はい。25名いましたが、全員殺さずに捕まえました。

今騎士さん達が縛り上げて尋問中です」


 ティエラの言葉に続けてレンが、


「盗賊は全員元冒険者の様です。ランクはCクラス」


「冒険者やっときゃよかったのに、どこで道を間違えたのか。

いずれにしても次の村で衛兵に引き渡しだな。それにしても

25名を殺さずに捕まえるなんぞは、2人とも相変わらずだな」


「無駄な殺生はしたくないし、

殺すと聞けない事もありますからね」


「その通りだ。その点はよくやってくれた」


 領主への報告が終わって自分たちの幌馬車に戻ると

盗賊は全員縄で縛られて馬車の中に放り込まれていた


「人質はとってない様よ。一応今2人が盗賊のアジトを

聞き出して確認に向かってるけど、

こっちは先に出発しましょう」


 ローズの指示で再び馬車群が動き出した



 その後は盗賊に会うこともなく、たまに魔獣がいたが、

脅威にもならずに、その日の夕刻に予定より少し遅れたが

無事次の貴族領にある最初の村に到着した。


 そこで捕らえた盗賊を衛兵に引き渡すと

村に駐在している衛兵から


「盗賊は生きたまま捕まえると1人につき金貨1枚が

王国から貰える、これがその証明書だ」


 今回の25名分(金貨25枚)の証明書を貰って

アイテムボックスにしまう。

レン達は当初報酬を騎士達と分けようと提案したが

ローズからは捕まえたのはレンとティエラだから

騎士は不要とあっさり拒否されてしまった。


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