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第3話


 次の朝、ギルドに向かいながら

そろそろゴブリンより上のモンスターに

挑戦してみるか。ゴブリンより上となると

ワイルドウルフかキラービーになるのか


 そんなことを考えながらギルドに入り、

いいのがあるかとクエストリストを見ていると


「ちょっといいかな?」


 声をかけられて振り返ると3人組のパーティっぽい

連中が自分を見ていて


「俺?」


「そう。赤魔道士のレン君、君に用事があるんだよ 

ちょっとそこのテーブルで話をしたいんだけどいいかな?」


 断る理由もないレンがテーブルにつくと、声をかけてきた男が


「先に自己紹介するよ、俺はリグ、ジョブは戦士でこの

一応パーティのリーダーをやってる」


「私はルイ 白魔道士よ」


「僕はアンディ 黒魔道士 よろしく」


「レンだ。赤魔道士をやってる」


「知ってるわよ、最近ちょくちょくここのギルドで

名前が出てるもん、珍しく赤魔道士のジョブの人が

いるってね」


 ルイが説明すると


「別に珍しさを求めてやってる訳じゃないんだけどな」


「実は…」 とリーダーのリグが切り出して


「今日だけ俺らのパーティに入って一緒にワイルドウルフを

狩ってくれないかな?」


「ん? どういうことだ? 話がよく見えないんだが」


 いきなりパーティのお誘いでびっくりしてレンが言うと


「実はパーティにはもう一人狩人ジョブの奴がいるんだけど、

そいつがここ数日体調崩して寝てるんだよ。体調が戻るまで

待っていたんだけどさ、今日もまだ調子悪いって寝込んでいてね。

一方で俺たちがワイルドウルフの討伐クエを受けて、

その報告期限が今日なんだよ。つまり今日中にクリアしないと

ギルドに罰金を払わないといけなくなるんだよね。

そういう訳でこっちはなんとか今日中にクエストを

クリアしたいと思っていてね。さりとて、ワイルドウルフは

1匹だとそれほど強い訳じゃないけど、群れる習性があるだろう?

なのでもしもの時のためにもう一人入れておこうかなと

思って君に声をかけたんだよ」


 リグが言うと白魔道士のルイが


「それにさ、めったに見ない赤魔道士ってどういう

戦闘をするのか見てみたいっていうのもあるのよ」

 

 ルイがレンの方に身を乗り出して言う、 

その好奇心満載の態度にちょっと引きながら、


「なるほど、話しはわかった でも俺、ランクEだぜ?」


「こっちも全員ランクEだよ。それでどうかな?

今日だけの臨時パーティは?」



 レンは村では物心ついた頃から両親に武術、魔法を

教えてもらい、狩りもずっと両親と一緒に

していて現役冒険者の戦い方や腕前を見たことがなかった。


 この機会に回りの冒険者のレベルを自分と比較するのも

良いと思い、リグに片手を出しながら、


「じゃあ、今日はよろしく」


 臨時パーティが結成されると、リーダーのリグが受付に

パーティの登録をしてから揃って外にでる


「ワイルドウルフはゴブリンのちょっと先の森の中にいる。

一部ゴブリンのテリトリーと被っているところがあるから、

ゴブリンにも注意しながらやろう」


 街道から森に入ったところでリグがいい、

皆一様に武器を取り出して準備する。

レンも片手剣を持つと、それをみたリグが


「いい剣だね」


「父親が使ってた剣だよ、もらったんだ」


「うらやましい」


「そうそう、先に決めておこう」


 前を歩くリグが立ち止まって後ろを振り返り


「今日の稼ぎは4人で均等割りでいいかな? レン。 

僕らは最初にそう決めて君を誘っているから」


「そうなのか? いやこっちは全く問題ないけど」


「じゃ、決まりだ」


 と取り分の話が終わったところで、


「ところでレン君、魔法詠唱の時はどうしてるんだい?

 杖に持ち替えてるとか?」


 後ろを歩いているアンディが問いかけて、


「いや。剣を持ってない左手を突き出しているだけだけど?」


「それで詠唱できてるの?」


「まぁ、一応できてる…と思う」


 そうして周囲を警戒しながら進んでいくと、リグが手で

パーティを止めながら顎を動かして方向を指示する。

そちらを見ると、森が切れて川が流れている川辺に

4匹のワイルドウルフが水飲みをしている姿が見えた。


「4匹か…やってやれない数じゃないよな、

周囲にはこれ以上見えていないし」


 リグが小声でいい、


「アンディ、魔法を1匹にぶつけて。こっちに来たら

僕とレンで対応、後ろに行ったのはアンティの魔法で頼む」


「了解」


「わかった」


アンディが小声で詠唱をしてから <<ファイア>> を打つ


(あれ?あんな威力じゃ倒せないんじゃ?)


 レンの想像通り、ファイアーは1匹のウルフに当たったものの、

致命傷にはならず一斉に4匹がこちらに向かって走り出してくる。


「ナイス!レンは左の前のを、僕は右側のをやる」」


 リグから声が飛ぶと


(えっ、ナイス? 今のがナイスなのか? 

しょぼくなかったのかよ?)


困惑しながらも、

 

「了解」


 と返事をし、剣を抜いて近づいてくるウルフを

待ち構える。3匹が横並びで、魔法を受けた1匹だけ

遅れてこちらに向かってくる左と中央のウルフの間に立って、

ギリギリまで引きつけてから剣を一閃

2匹の首が胴体から外れてその場で屍を晒す


「早いっ!」


「なんと言う剣捌きだ」


 後衛のルイとアンディが驚きの表情のまま

同時に声を出していた。


 レンといえば2匹を剣で倒したあと、

近づいてくる最後の1匹に向かって雷系魔法を撃つ

魔法を食らったウルフはその場で頭を吹き飛ばされて絶命。

その頃にようやくリグが1匹を倒して4匹の処理が終了


「何! 無詠唱であれだけ正確に、

しかも威力のある魔法が撃てるんだ?」


「魔力の量が違うのかしら、それに剣さばきも

半端ないわね」


「レン、君本当にランクEなのかい?」


 討伐部位を集めたリグが部位をポーチに入れながら

レンに問いかける。


「間違いなくランクEだぜ、赤魔道士ランクE」


「それにしては剣もすごいし、魔法だって

相当の威力だよ」


「そういうものなのか? これが普通じゃないのか?」


 レンは自分が普通だと思っていたので、そこまで

言われるとは思ってなくて逆に当惑した顔で答える


「普通の訳ないよ、うちのアンディの魔法の威力は

平均以上って言われてるけどそれに比べたらレンのは

もう異次元の強さだよ」


「レン、そこまで威力出すのは何か訓練とか

してたのかな?」


アンディに言われ


「物心ついたところから、毎日時間があると全身に

魔法を行き渡らせる訓練を続けてきたけど、

それ以外には特にしてないぜ。

無詠唱についても親からこうやれって言われてやって

きただけだし。というか俺、詠唱したことないんだけど」


「ええっ!!」



 後衛二人同時に驚かれて、


「きっと大気の魔素を取り込む力が強いというか、

訓練で効率的に取り込める様になってるんだろうね。」


アンディがわかった様な顔で言い。 


「本当にわかってるの?」


とルイに突っ込まれたりもしたが、リグが


「いや〜」


と頭を掻きながらも


「いずれにしてもレンがいたら4、5匹は問題ないってことが

分かったよ。さっさとノルマ分やって帰ろう」


 再び森の探索に出る4人。 途中ではぐれゴブリンを

さっくりやっつけてしばらく徘徊していると

リグが再びパーティを止めて、


「いた。今度は5匹。 アンディ頼む、近づいてきたら

さっきと同じでレンが左、僕は右側から。」


「ちょっと待って 僕が言うのも何だけど、

今度はレンくんが最初に魔法撃ったら? 

たぶんその時点で1匹倒せるから、残り4匹を

相手したほうがいいんじゃないか?」


「アンディの言う通りよ。レンに最初魔法を

撃ってもらったら?」


 ルイも同意し、それを聞いたリグも


「そうだな、その方がいいか。レン、頼めるかい?」


「もちろん。じゃあ左端のを狙う」


 左手を突き出して <<サンダー>> を撃つ。 

まっすぐに威力のある魔法が飛びそのまま左の

ワイルドウルフの頭に直撃。声も出さずにその場に倒れこんだ


「やっぱり凄いわ」


「感心してないで、残りが来た」


 アンディが中央のウルフに <<ファイア>>

を撃って足を遅らせている間にレンは近づいてくる

左のウルフに <<サンダー>> をぶち当てて撃破、

近づいてきたもう1匹に片手剣を横に払う様に降って一閃。

あっという間に2匹を倒す


リグも1匹を危なげなく倒した時


「あっ、レベルアップした」


「俺も」 


「僕もレベルアップだ」


「おめでとう」 


 レンが言うと


「あっ、そう言う意味じゃ。ごめんなさい」


 ルイが謝ってくるが


「ああ、こっちこそ、そう言う意味じゃなくって

純粋におめでとうと言ってるから。」


 レンが慌てて顔の前で手を降って訂正する。


「…やっぱり赤魔道士はそう簡単にレベルが

上がらないって本当なのね」


「ああ、他ジョブの必要経験値の3倍って言われてるからな。

けど、それを分かって、全部飲み込んでこのジョブやってるからさ。

当人はそれほど辛いって思ってないんだな、これが」


 明るく言いながら


「これでクエスト達成かい?」


「そうだね、ありがとう。助かった」


 3人から礼を言われたレンは


「こっちこそ、ちょうどワイルドウルフの討伐のクエストを

受けようと思ってたところだったんで

モンスの動きとか見られて参考になったよ」


「レンなら一人でも十分いけるんじゃないの?」


 歩きながらルイが問いかけるけど


「1対1ならたぶんいける。でも、彼らは群れでくるから、

相手の数によったら厳しいと思うよ」


 今日の戦闘を思い出しながら、


「せいぜい1対3 くらいまで? 万が一ウルフの上位種が

いたら無理だし。ソロだからそこは慎重にならざるを得ないんだよ」


「いつまでソロでやるつもりなの?」


 ルイの問いには


「いつまでとかは決めてないけど、レベルが上がる

スピードが違うからそう簡単にパーティって組めないだろう?」


「そうよね、組むとしたら同じ赤魔道士同士とか?」


「それは考えたことはあるけどさ、

その赤魔道士がいないんだよな」


「そうよね、全く見ないよね。というかさ、

レンがいなかったら当分赤魔道士と出会うことなんて

なかったわよ」


 帰り道、クエストがうまく言ったこともあり、4人で雑談しながら街に戻り、

ギルドでクエスト達成報告して報酬を受け取り


「じゃあ、これはレンの分。4分の1だ。今日はありがとう。助かったよ」


 リグから報酬を貰いながら、


「こちらこそ。パーティ頑張ってくれよな!」


「「「じゃあ、今日はお疲れ様でした」」」


 3人と別れて定宿に戻りながら、確かに赤魔道士同士なら何とかなるかもだけど、

このジョブ自体がまるで絶滅危惧種になってるからな、明日からまたソロで活動だ。



最後までお読みいただきありがとうございいます

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