第20話
翌日、テレポリングでダンジョン前に飛び、
中に入ると19階まで飛んだ2人
「フロアの広さがわからないけど、
余り長居したい場所じゃないな」
「そうね、できれば今日中にもう一階下に降りたいわね」
シャツには冷気の魔力を通しているとはいえ、
遮るもののない砂漠、空からは強い陽の光が
地面に降り注いていて、階段からフロアに
踏み出したところでティエラが
「踏み固まれた様な場所があるわ。これが道なのかな?
「そうだな、とりあえずはこの硬くなってるところを歩いて行こう」
一見砂漠だが、よく見ると砂が固められて
道の様になっている部分を2人で歩き出す。
シャツのせいでマシとはいえ、それでも歩いていると
汗が出てくるのをタオルで拭きながらの攻略となった。
しばらく進むと探索に赤い点が現れて
「スコーピオンだ、尻尾の毒がやっかいだから、
俺が尻尾を凍らせて切るのでティエラは前の爪を頼む」
砂の中から体長3メートルくらいの黒いスコーピオンが
と飛び出してきた。
事前に用意していた2人はスコーピオンが飛び出してくると
同時に爪と尾にフリーズを撃ち込み、
そのまま魔獣に突っ込んで片手剣で尾、そして爪を切り落とし、
そのまま頭を胴体から切断した
結局スコーピオンは反撃をする間もなくレンとティエラに
討ち取られ、光の粒になって消えていった。
「暑いけど、戦闘は楽だな」
「そうね。でもちょっと動くと汗かいちゃうよ」
ティエラはブツブツ言いながらもその後も砂漠から現れてくる
スコーピオンをレンと2人で危なげなく倒していった
「前方にサンドリザード 3匹」
道らしきところを歩いていると砂漠の丘の上から
サンドリザードがこちらを見つけて向かってくる。
砂漠に住んでいる2足歩行のトカゲの魔獣で砂漠を
素早く移動するために足の平は大きく、また槍を持って攻撃
してくる戦士タイプの魔獣だ。
レンとティエラは2人のいつもの作戦で遠隔で魔法を撃って
1匹を倒し、残った2匹をそれぞれが片手剣で倒していく。
「サンドリザードの上位種がいるわ」
3匹倒したところで今度は3匹より1回り大きな
サンドリザードがこちらに向かってきた
<<フリーズ>> を2人で撃っても倒れずに槍を突き出しながら
突進してくる魔獣の攻撃を躱し、背中から片手剣で切りつけるレン。
大きな声を出しながらも倒れずに振り返ったところを
今度はティエラが槍を持っている手ごと切り落とし、
レンがとどめとばかりに首をはねた。
倒れた魔獣が光の粒になって消えたところに宝箱が出現した
「おおっ これってアイテムか? ドロップするのを初めて見た」
「本当、今まで全く出なかったよね。やっぱり上位クラスでないと
ドロップしないのかしら?」
箱を開けてみると中には爪がいくつか入っていた。
「これ、爪だよね」
「練金用にでも使えるアイテムなのかな。
俺たちには価値はわからないけど、とりあえず持っておこう」
レンがアイテムボックスに爪を入れて、先ほどサンドリザードが
出てきた砂漠の丘…というか砂が盛り上がっている
高いところに向かってみると、
「「オアシスだ!」」
固められてある道の先に砂漠のオアシスが見えた
「ちゃんとオアシスまであるなんて、凄いね」
「ああ、とりあえず休憩できそうだよな」
オアシスに向かって道を歩いていく2人、近くにつれて、
オアシスは結構大きく、中央にある池の周りにヤシの木が
群生していて池の周囲には芝生も生えているのが見える。
道の先、オアシスの手前には大きな岩が左右に2個づつ、
合計4つ並んでいてまるで入り口の様になっている。
そこに近づいていった2人は突然駆け出していく。
そしてレンが右に、ティエラが左に分かれて
道の両側にある岩に向かって片手剣を振るう。
片手剣が届く寸前、今まで岩だったものが突然目を開き、
岩からだした両手を伸ばそうそうとしたが、
その時にはすでに2人の剣は4つの岩を綺麗に上下に切断していた。
「道の上からオアシスが見えたら、大抵の奴ならもう安心と、
道にそってオアシスしか見ずに進んでいくよな」
「だよね。そこで、この入り口でこのロックゴーレム、
いやらしい配置してるよね」
レンとティエラは近づいた際に赤い点が脳裏に浮かんで
この岩が魔獣が擬態していると見破ったので
そのまま走って突っ込んで倒せたが、
もし普通の冒険者だったら、砂漠に転がっている岩が擬態している
とは思わずロックゴーレムの餌食になっていただろう。
オアシスについた2人は池の周りをゆっくり歩きながら
「周囲にも池の中にも魔獣はいないっぽいね」
「そうだな。このあたりで休憩するか」
入り口から池を挟んで反対側の椰子の木が群生して
日陰になっているところに腰掛ける。
「レン、入り口みて、もうロックゴーレムが復活してるわ」
レンも見ると、先ほど倒した場所に新しい岩が4つ出現している
「リポップが早いな」
「オアシスが見えて、気を抜いたところを狙うなんて、結構陰険よね」
「そういうものなんだろうな。何たって試練の場なんだしさ。それより
とりあえずここをキャンプにして周辺の魔獣を狩ってみるか。
この先にこういうオアシスがあるかどうかわからないしさ。」
「そうね、ここならテントも張れそうだし」
休憩を終えるとその場にテントを張ってからオアシスの周辺を移動しては
魔獣狩りをすることにした。固められた道の上はまだしもそれ以外は砂漠で
足をとられることが多いので出てくるスコーピオンやサンドリザードは
遠隔から魔法で削って、最後に近づいたところを
片手剣で処理する戦法にして経験値稼ぎをする。
そんな方法で2人で経験値を稼いでいると、日が暮れてきたのでキャンプの
オアシスに戻ってきて、芝生の上で夕食を取って
「本当だ、ちょっと冷えてきた」
ティエラが言いながらシャツに魔力を通すのに合わせて
レンも同じ様にシャツに魔力を通し、
「エルフが言っていた通りだ。昼と夜との寒暖の差がでかい」
日が暮れると急速に冷え込んでくる砂漠。
オアシスは水があるのでマシとは言え、それでも夜になると
肌寒いほどになってきた。
テントについている魔石は温度調整もできるって話だったのでそれで
テント内を暖かくして眠りについた
翌朝、テントを出ると既に日は登っていて、オアシスの水で顔を洗い、
今日も暑くなりそうだと思いながら食事をし、出かける準備をする
「今日中に下に降りられるといいね」
「そうだな」
2人はテントや食料をアイテムボックスに入れて
準備をしてから出発した。
固められた砂の上の道を歩きながら、スコーピオン、
サンドリザードを倒して進んでいく。
歩くこと4時間、自分の影ができない程に、
太陽は真上に来ている猛暑の中、ようやく下の階層に降りる階段を
見つけるが、その前に大きな魔獣が階段を塞ぐ様にしているのが
視界に入ってきた
「サンドウォームだ」
片手剣を抜きながらレンはティエラに
「図体はでかいが意外とすばしっこい。やばくなると砂に潜るから、
潜りそうだと思ったらフリーズで砂漠と魔獣を凍らせてくれるか?
基本、離れて口を狙って魔法で。飲み込まれない様にしてくれよ」
「いいけど、レンはどうするの?」
「頭が弱点なので、この片手剣で叩っ斬る」
こちらに気づいたサンドウォームが大きな口を広げて威嚇しながら近づいてくる
2人で広げた口にむかって魔法を撃つと効いているのか頭の部分を左右に
振りながら大声をだしながらも近づいてくる魔獣。のし掛かられると
一撃でやられるので、レンが先に走ってサンドウォームの注意を引いて、
その側面に移動する。
ティエラはリキャごとに相手の口の中に魔法を撃ち込んでいる。
サンドウォームの右側に移動して剣を振ると肉が切れてまた大きな声を出す魔獣
魔法が口に入るたびに一瞬ティエラの方を向くので、そのタイミングを計って、
ティエラの方に向いた瞬間にサンドウォームの腹を駆け上がったレン。
そのまま頭部まで移動して
「これで終わりだ!」
頭に片手剣を根本まで突き立てた
「GYAAAAA 」
大きな声を出して頭を大きく振り上げたサンドウォームは
そのままズトンと頭を砂漠の砂の上に落として…光の粒になって消えていった
「レン、お疲れ」
地面に降りたレンは
「でかいだけで、やり方を間違わないと問題なく倒せるな」
「でもこの靴がなかったら討伐はそう簡単難じゃなかったんじゃない?」
「確かに。素早さ5%アップって数字以上に体感できるよな」
そうして2人は階段を下に降りて、板に記録して
20階に降りた2人が見た目の前には…
「まさかの砂漠2連続」
「うぅ、日焼けしちゃうよぉ」
ティエラが情けない声を出しているが、
「このフロアはどこにオアシスがあるか知らないし、
見つけられなくって夜になったら寒いし、
こっちに不利な条件になるし、ここで一旦戻って
午後休んで明日朝またここに来よう」
「うん、そうしましょう」
2人で転送板経由でダンジョンの入り口に戻った。
実は10階の森のフロアで妖精からテレポリングをもらったあと、
テントの中でレンとティエラは2人で話をして、ダンジョンの中では
テレポリングは使わないで、普通の冒険者と同じ条件で進んで行こうと決めていた。
これは2人ともテレポリングをダンジョンで使うことが”ズル”を
している気がすると同じ気持ちだったからで、
地上での移動の時には使うけれど、ダンジョンでは基本
使わないということにしていたので、
今回も20階の攻略を中止したのだった。
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