第13話
6階に降りた2人、降りた瞬間に
「ここは無理、絶対無理、レン、さっさと下に行きましょう」
ティエラが断固として言う
6階はゾンビゾーンでフロア全体に腐敗臭が漂っていて非常に臭い
ゾンビと言っても人じゃなくて、ウルフ、ゴブリンのゾンビがメインで
メインの通路を突っ切る様に走りながら襲いかかってくるゾンビには
火系の魔法をあてて魔法で倒しながら進んでいく。
魔法で倒しきれなかったのは剣で斬るものの、ビチャっという音がして
身体が飛び散り、剣にもべっとりとつくので、ティエラは泣きそうな
顔しながら
「もういやだぁ レン、あんた1人でなんとかして、
私は魔法しかやらないから!」
「そんなこと言われてもさ、1匹ならまだしも、複数で来るんだぜ、
ほらっ、また3匹だ、1匹任せた」
2匹はレンが魔法と剣で倒し、ティエラは魔法で残り1匹を倒し、
「本当にもう」
ぼやきながらも広いフロアを敵を倒しながら進んでいくと、
「レン、階段が見えたわよ、一気に走るわよ」
そう言うなりレンを追い抜く様に全力失踪でティエラが階段に向かっていく、
その後をレンも追いかけて階段を降りて
「あのフロアはもう絶対に行かないから。あそこでレベル上げやろう
なって言ったらこの剣でレンを切るからね」
すごい剣幕、しかも目がマジだ
「言わないって でもここも似た様なもんじゃないのかよ」
降りた7階は骨ゾーン 再び通路の造りになっていて探索スキルで
見るとスケルトンがウロウロしている
「骨はまだいいのよ、臭くないし、剣で切っても
ベトベトしないから。ゾンビが嫌なの」
「骨は首と胴体を切らないと再生するからな。
それと鎌持ってる骨は魔道士系だから気をつけて」
階段に座って休みながらレンがティエラに説明する。
「わかった。でも骨ゾーンもレベル上げに向いてるとは言えないよね」
「そうだな、倒すのが面倒な魔獣には違いないし」
骨は基本3体で通路を徘徊している。冒険者を見つけると
骨が軋む音を立てながら近づいてきては剣や棍棒で物理攻撃をしてくる
タイプ2体と、鎌を持っている骨1体は背後から魔法を詠唱してくる
という厄介なコンビネーションである。
なのでこちらは骨を見つけるとまずは魔法で鎌を持っている骨を倒すか
魔法の詠唱を中断させながら、物理で剣と棍棒の骨を倒し、
その時点で鎌の骨が生きていれば近づいて物理で倒すという
戦闘方法で対処しようと2人の話し合いで決めて
「じゃあ行くか」
「このフロアもサクッと進みたいわ。
どこかで休んで水浴びしてこの匂いを落としたい」
「何を贅沢言ってるんだよ」
通路に突撃して、2人同時で <ファイア>を鎌もちの骨にぶつける。
魔法を撃った瞬間に走り出していた2人は剣で前の骨2体の首を
横に払う様に剣を切って絶命させて
「鎌もちもファイア2発ぶつけてたおせたか もし倒せなかったら、
ティエラもう一発魔法頼むわリキャストいけるかな?」
「うーん、多分大丈夫。レベルのせいか、装備のせいか、
どっちにしてもリキャストかなり短くなってるし、
なんとかなるんじゃない?」
「そりゃ心強い」
「もっと頼っていいんだよ?レン君」
「はいはい」
その後も通路を進みながら3体1組で現れている
骨達を倒して前に進んでいく2人
フロア後半になると骨のレベルも上がってるのが出て来ていて
魔法2発では倒せないこともあったが、ティエラが連続で魔法を
撃ってやっかいな魔法系の骨モンスターを処理するので
危なげなく次の階に降りる階段に到達し、
下に降りて記録してからそのまま降りた8階層の攻略を始めた
このフロアは広めの通路で今度は骨が4から5体が1組になっていて
鎌持ちが2体いることもあったが2人の連続魔法で鎌骨を
倒してから近接戦で前衛の骨を倒して進んでいく
問題なく8階をクリア、その勢いで9階も一気にクリアして
10階に降りていく
降りた先にある転送板に触れながら
「ねぇ、ここダンジョン…だよね?」
ティエラが10階のフロアを見ながら言うと、
「ああ、ダンジョンの地下10階…のはずだ。」
レンも同じ様にフロアを見ながら言う
2人が見ている先は草原と森のフロア
どうなってるのかわからないが陽の光まで差し込んでいて
まるで地上の様で
「どうなってるんだろう?これ?」
「こんなの初めて見たよ」
階段を降りたところは一面草原で、あぜ道が森の中まで伸びている
森は今2人がいるところから150メートルちょっと先から始まっていて、
高い木々の森は奥がどうなっているのか見えないくらいの大森林になっている
探索を見ると左の方には小川まであって、それを見つけたティエラが
「あの小川で水浴びしたい。いいでしょ?」
「仕方ないなぁ じゃあ先に川に行って休憩してから攻略するか」
レンが言って一歩踏み出したところで
森の入り口から悲鳴らしきものが聞こえてきた
「今の聞いたか?ティエラ」
「うん、多分私達と同じ冒険者よ」
既に2人は声のした方へ駆け出していき、
「レン、大変よ、あれ」
「あれはきっとトレントだ。ここはトレントの森だったんだ」
走りながら探索したレンの脳内マップには
これから向かう森の入り口部分に多数の赤い点が現れてきた。
近づくと5人の冒険者がトレントを相手に戦闘しているが、
1人はトレントの蔓に巻かれて宙に浮いている。
なんとか仲間を助けようとしている冒険者4人に駆け寄りながら
「おい、大丈夫か? 助けはいるか?」
「ああ、お願いします。1人捕まっていて、周囲のトレントも集まってきていて」
「わかった。あまりトレントに近づくと他のトレントの蔓に
巻かれるからちょっと下がって!ティエラ。顔、あいつの顔に魔法だ」
「わかった」
冒険者を釣り上げてるトレントの顔の部分に同時に
<ファイア> をぶつけるとダメージを食らったトレントが、
絡みつかせていた蔓の力を抜けて冒険者の男が地面に落ちる。
再び男を蔓で巻き取ろうとしているところにレンが片手剣で
蔓を片っ端から切り落としていく。
「この男を後ろに連れていって、ポーション飲ませるんだ」
背後を見ずに声をかけながら、他のトレントから伸びて来た蔓も
片手剣で次々と切っていく。そうしてレンが蔓を切ってトレントの
注意を引いていると、ティエラが片手剣でトレントの木を
左右にバサッと切り倒す。太い幹を切断されたトレントは
動きを止め、それからゆっくりとその場で倒れこんでいき
そのまま光の粒になって消えていった
他のトレントはレンとティエラが離れて距離をとったせいか、
動きを止めて普通の木に擬態してしまっていた。
「ふぅ」
「収まったみたいね」
動かないトレント達を見て、そこから少し離れた草原の上で
倒れている冒険者とその周囲にいるパーテイメンバーに近づいて
「大丈夫か? ポーション飲ませたか?」
「はい。ありがとうございました。助かりました」
白魔道士の格好をしている女性がその場で立ち上がって
レンとティエラにお礼を言う
トレントは普段は完全に木に擬態していて、餌となる人間や動物を
見つけると自分たちの中に追い込んでから周囲を囲んで蔓で釣り上げて
動きを止めてから四方八方から蔓を伸ばして
捕らえた獲物の体に突き刺して養分を吸い取るやっかいな魔獣である。
「捕まったのがトレントの森の入り口でよかったぜ、あれが奥に入ってから
ああなっていたら流石に俺たちも助けるのは無理だったし」
レンが安心して言うと、
白魔道士が私はスズと言いますと自己紹介してから、
「実は私たちは何も考えずにこの道を歩いて森に入ろうとしてたんです。
そうしたら、さっきの場所でマリーが 「なんか嫌な予感がする」
って立ち止まって、でもノブが「大丈夫だ」って1人で歩き出したら
突然伸びてきた蔓に捕まってしまって…」
どうやらノブというのが今倒れている戦士ジョブの男だろう。
マリーは名前からするにノブの横にしゃがみ込んで
様子を見ている黒魔道士の様だ。
レンとティエラは2人顔を見合わせてから
「根拠のない自信が通じるほどダンジョンの10層は甘くないぜ
そんなんじゃ今回はセーフだったけどそのうち
取り返しのつかないことになっちまうよ」
「そうよね、冒険者には臆病な部分も必要だと思うわ」
ティエラも言い、
「とにかく彼をすぐに外に出して治療してもらって。
表面は大丈夫に見えても内臓とかやられてるかもしれないし。」
「わかりました。そうします」
他の4人で倒れている戦士を担いで階段の下にある転送板に向かいながら
「本当にたすかりました。ありがとうございました」
「「ありがとうございました」」
お礼を言って転送板に向かい、その姿が消えるまで見てから
「1人前の冒険者にありがちな行動だよな。ついつい自分は強いと思って
勘違いしてしまう」
「きっと今まで大きなトラブルとかもなく順調にきすぎたんだろうね」
「俺たちも気をつけないとな」
「本当ね。 じゃあ水浴びに行こ」
「覚えてたんかい」
「当たり前でしょ? 女は身だしなみには気を使うのよ」
あぜ道から外れて森を避ける様にして小川のある方に歩いていく2人
道なき道を歩き、途中で遭遇する魔獣は片手剣と魔法で処理してしばらく歩くと
2人の前に川幅が10メートルほどの綺麗な小川が見えてきた
「やったー 水も綺麗だし。これなら水浴びできそう。レン、見ちゃだめだよ」
「見ないよ。じゃあ俺はこの辺で水を浴びて待ってるから」
レンから離れて小川の方に歩いていくティエラの後ろ姿を見てから
レンはティエラと離れた場所で水浴びをして
ゾンビの匂いを落としてから、アイテムボックスから
簡単な食事と水を飲んで一息つく
それにしてもなんで地下のダンジョンにこんな風景があるんだろう?
いつの間にか陽が傾いて夕方になってる空を見上げていると
「レン、レン、ちょっときて」
背中から声がして立ち上がって後ろを向くと、
水浴びを終えたティエラが近づきながら真剣な顔で手招きしている。
言われるままにティエラの元に行くと、川の向こうを指先ながら
「あれ」
ティエラが指差す方向を見ると
「ん?」
思わずレンも声を出してしまう。
レンの脳内に展開されている探索、
ティエラが指差す場所には今まで見たことがない黄色の点が2つ
「なんだあれ? 魔獣じゃないのか?」
「だって赤じゃなくて黄色よ。初めて見る色だわ」
「ちょっと行ってみるか」
「うん」
最後までお読みいただき、ありがとうございます
よろしければ評価をお願いします




