第10話
エルフの声を背中に聞きながら店を出て大通りに…
まだ赤みが残った顔をしているティエラが
「でも、いろんな人がいるんだね。
まさか赤魔道士の歴史を聞けるなんて思わなかったよ。」
「本当だよな それにしても顔真っ赤だぜ、ティエラ」
「痛っ」
ティエラに思い切り背中を叩かれ、
「もうっ、そんなことよりこれからどうするの?」
叩かれた背中をさすりながら
「せっかくローブ買ったんだから、ちょっと街の外に出てみないか?
いいクエストがあればそれを受けて出てもいいし」
二人でギルドに入っていく。すでに朝のピークは終わっていて、
美味しそうな依頼は無くなっているが、
それでも掲示板を見ていると、ティエラが
「レン、これなんかどう?」
彼女が指差すのを見ると
<西の森の調査。魔獣の種類、数などを報告 報酬:銀貨2枚>
「これ、安いから残ってたのか?」
「そうじゃない? 討伐しなくてもいいみたいだし
ランクEクラスのクエストかも?」
「まぁ、倒しても報告できるしな、じゃあこれにするか。
今日は経験値や金よりも戦闘スタイルの確認とかがメインだしな」
「じゃあ、私が受付にだしてくる」
クエスト用紙をちぎったティエラがカウンターで受付を済ませて、
そのままギルドを出て城門から街の外に…
門からは整備された道が続いていて、しばらくその道を歩いて
「この辺りから入ってみるか」
道が森に沿う様になっているところから道から外れて森にはいっていく
いくらLV43になったと言ってもそこは冒険者。
森に入ったときから二人とも抜刀して周囲に気をかけている
「スカーフの効果すごいな かなり広い範囲の状態がわかる」
レンが森の中を歩きながら言う
神獣の加護の1つ、探索は自分を中心に
半径100メートル内の探索が可能で、魔獣は赤色で表示される。
さらにこの探索の優れているところは、地上のみならず、
水の中や土の中に隠れていても脳内マップに反映されるのだ。
「本当ね、私もここまで広い範囲で探索できるとは思ってなかった…
あっ レン、左前方!」
ティエラが言うのとほぼ同時にレンも左前方に気配を感じ取っていて
「ワイルドウルフ 5匹」
「魔法で2匹倒そう、その後は魔法でも、剣でも」
「わかった」
ゆっくりとワイルドウルフの群に近づいて、
目を合わせて同時に雷系魔法を撃つと
「ギャッ!」
まずは2匹を魔法で退治、その後こちらに向かってきた
残り3匹を片手剣で一閃。あっという間に5匹を倒して
「うーん、正直弱すぎてよくわからなかった」
「そうだね でもこの剣の切れ味は凄いよね。
切った時にほとんど抵抗なかったもの」
「確かに、切った時の抵抗がほとんどなかった。
もうちょっと奥に行くぞ」
2人で森の中を奥に進んでいくと
「オークだな。数は6 上位オークはいないっぽい。
相手としてはちょうどいいかも」
「また魔法から剣のコンボでやる?」
「そうしよう もう少し近づいたら俺が魔法撃つから
それで戦闘開始で」
「了解」
草むらの中をゆっくり音を立てずに近づいて、
魔法の射程距離ないになったところで
<<サンダー>>
レンが左手から無詠唱で魔法を発動、1
匹のオークの頭にぶつけると、仰け反り返ってそのまま絶命。
それを見た他のオークが一気にこちらに向かってくるところを
今度はティエラが同じサンダーで1匹を倒し、
こちらに向かってくるのは4匹に
1匹に今度は<<ファイア>>を撃ちながらもう1匹を片手剣で腹を切る
その場で多くの上半身と下半身が真っ二つになって地面におちる。
続いてファイアを撃ったオークを倒そうとしたが、
魔法一撃で絶命していた。
隣にティエラが寄ってきて
「以外とあっさりだったわね。
やっぱりレベル差が大きいんだろうけどこのローブ、
剣も凄く使い易いわね」
「そうだな、体も軽いしレベルと加護のおかげで
相手の動きも遅く見えるし2人とも魔法の威力も
相当アップしてるよな。それに剣は払うだけで相手が
バターを切る様にサクッと切れるし。さてと魔石を回収しとくか」
倒したオークから魔石を取り出してアイテムボックスの中にしまって、
その後も森の中をウロウロしてゴブリン、オークを適当に倒してから
街に戻ってギルドに報告
ギルドのカウンターにいたのはいつものキャシーで
二人の報告を聞き、クエスト報酬の銀貨2枚と魔石の代金を渡しながら
「レンさん、ティエラさん。お疲れ様 森の調査、
助かりました。で、明日からまたダンジョンですか?」
「うん、そのつもりだ。今度はこの前行った所とは
違ったダンジョンに行こうかと思ってるんだけど、
いいところはあるかい?」
キャシーはカウンターの中の資料を見ながら、
「そうですね、近場でとなるとここから西に歩いて
半日程行った所にあるのはどうでしょうか?
南のダンジョンができる前にできたダンジョンで
ランクC以上推奨という条件がついてるのでお二人にはいいかと」
「ランクC以上ってことはそれなりに強めの魔獣が多いってこと?
それとも他に何か理由があるってことなの?」
隣からティエラが質問すると、
「ええ、挑戦した冒険者の報告を見ると、
1層で出てきた魔獣がランクD以上だったということで
冒険者ランクもC以上ってことになったみたいですね」
「レン、いいじゃない、そこならいいレベル上げの
場所になるかもよ?
「そうだな、1層から経験値がもらえるってのはありがたいよな」
受付のキャシーにお礼を言って、ギルドを出てダンジョン突入に
備えて備品の買い付けに行く2人。
今はアイテムボックスがあるので荷物の量を気にすることなく備品や
食料、薬を買い付けていく。何軒か回った後のある道具屋で
「ねぇ、レン。これ持っていかない?」
「ん?どれだい?」
店の中で何かいいのがないかと品物を物色していると
ティエラが声をかけ、振り返ったティエラの視線の先を見ると
テントが陳列してあった。店で働いている猫族女の店員が近づいてきて、
尻尾を振りながら
「このテントは3、4人用ですにゃ。設置も簡単ですし
テントの天井部には魔石の灯りもついていますし、
ある程度の温度調整機能もついた最新のものです。お買い得ですにゃ」
「じゃあ、これ買っとくか、地上での移動の時も使えそうだじな」
「そうだね。あると便利だよね。雨とかもしのげるし」
結局テントと、テントの周囲に設置する魔獣避けの魔道具
(ランクD程度以下なら近づいてこないらしい)を買って
「大抵揃ったかな」
「あとは食料ね。中の時間が進まないから暖かいのと冷たいのと
あとは新鮮なのも買っていこうよ」
屋台と食堂を回って相当量の食用と水を買って、
それら全てをアイテムボックスの中に放り込んでいく。
「これでよし。いっぱい買ったよね」
満足そうに言い、たくさん買ったからサービスしてやるよと
屋台の親父さんからもらった串肉を口に頬張りながら歩くティエラに
「どんだけ買ってんだよ」
「だっていくらあっても困らないじゃない。
それにちゃんと薬品も買ってるしさ」
アイテムボックスじゃなかったらどんだけ荷物になってんだよ
と思いながらもそれでテイェラの機嫌がいいならいいか。
まぁ金もまだ十分すぎるほどあるしとレンも串を食べながら
いつもの宿に戻っていく
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