うんにゃ、期待してるよ!(ハルヴィア×玲)
キャラ設定!
キャラ設定〜!
ダメだ…キャラ設定はもう…死んでる…
「よしよし。可愛いな〜。」
ハルヴィアはかつてないほど破顔し怜を愛でていた。
頬を軽く摘みながらもう片方の手で怜の黒髪をわしゃわしゃと撫でる。
玲は玲でハルヴィアの膝の上を堪能していた。
「時に玲くんはなぜ筆談?」
『喋れないので。』
「考えりゃそうだわな。」
そういうと両手で頬をつつく。
「えぇ? このほっぺの柔らかさよ! あ〜幸せだ〜。弟の頬はもうつつけないんだよなぁ。あいつに手を出したらその手首が無くなっちまう。」
そういうとハルヴィアカラカラと笑った。
『ユイさんってそんなに怖い方なんですか!?』
「あいつは怖かないよ。それぐらいはしかねないって事さ。玲くんなら手加減してくれるよ。」
『それでもやる気にはなれませんが…』
「それが普通の反応さ。」
ハルヴィアは抱き枕の様に玲を抱きしめた。
「やっこいな〜。よかったらうちの子にならない?」
『それは遠慮しときます。』
「おや、残念だね。」
ハルヴィアは本気で残念そうな顔をする。
『また機会があったら考えておきますよ。』
玲はハルヴィアの腕の中でダイイングメッセージのような文字を書いた。
「うんにゃ、期待してるよ!」
『時にハル姐さん。ハル姐さんの絵を描きたいんですけどいいですか?』
「お! 玲くんは絵も描けるのか! いいねいいね! 描いてよ!」
そういうとハルヴィアは玲を解放した。
玲は向かいのソファに座ると鉛筆を走らせ始める。
ハルヴィアはリラックスした様にマグカップを手に取った。
「やっぱり動かない方がいいかい?」
意外なことに玲は首を横に振った。
『ここから離れなければ基本なにしても大丈夫ですよ。ハルヴィアさんの姿を見てオリジナルのポーズを描くことも出来ますから。』
「ほう、そりゃすごい。じゃ、のんびりさせてもらおうかね。」
ハルヴィアはどこからか「ハムレット」を取り出すと魎華が来る前と同じ様にコーヒー片手にのんびりとお茶を楽しみ始めた。
ただ、それでも気になるのかたまに玲の方に目をやる。
「意外とモデルってのは慣れないね。人々の視線に慣れないとお話にもならないんだから。」
ハルヴィアは本から目を上げると独り言の様に話し始めた。
玲がページをめくって返事を書こうとするとハルヴィアはそれを止めた。
「製作に集中し。私の独り言なんだから。あまり落ち着きはない方なんだ。頼んでおいてなんだけど、さっさと仕上げてくれないかい?」
ハルヴィアは申し訳なさそうに言った。
玲は頷くとページを戻して再開する。
それから玲はほんの5分程で絵を完成させてしまった。
『完成しました。』
「どれどれ、見せてみ。」
ハルヴィアは席を回り込んで、絵を見る。
「ほう! こりゃあいい!」
そこには2枚の絵があった。
「えらく短いのに2枚も完成させちまうとはねぇ…」
ハルヴィアはじっと絵を見つめた。
そこには、描かれている間のコーヒタイム時の絵と、独特のポーズをとったハルヴィアの絵があった。
「独特な立ち方だね。」
『ある異能力漫画の立ち絵をモデルに作ってみました。』
「あぁ! あの漫画かい?」
ハルヴィアは目を輝かせながら、聞く。
玲は頷いた。
「なかなか渋いもの読んでるね〜。」
妙なところで合致した様だ。
その後はその漫画についてしばらく語り合った。
不意にハルヴィアが肩を叩かれる。
「そろそろ、帰るそうだ。少し解放してやったらどうだ?」
ユイがハルヴィアに言う。
その隣には魎華がいた。
「おや、もうそんな時間かい? ユイ、厨房で夕食の準備を手伝ってくれ。」
「ういうい。妖夢に伝えてないから怒られるかもなぁ…」
そんなことを呟きながらユイは魔法陣の中から一振りの剣を取り出した。
「太極。妖夢に『今日は野暮用でそっちで食べられそうにない。』って伝えてくれるか?」
剣に話しかけて放り投げると、剣は人の形を取った。
「承知しました。」
その一言だけを答えると太極は扉を開けて喫茶店を出て行った。
「さっきのは?」
魎華が尋ねる。
「俺の剣。ハル姐があの剣に憑神を憑依させてるんだ。」
『変わった剣ですね。』
「だな。」
そんなやりとりをしていると厨房から包丁が飛んできた。
「ほれユイ! 早く手伝ってくれ! 4人分を夕食の時間までに私1人で作れなんて言わないよな?」
「はいはい、今行きますよ。」
ユイは飛んできた包丁を捕まえると厨房に歩いて行った。
「ハルヴィアさん。まさか、4人分しか作らないのかい?」
魎華がやや顔を青くして聞く。
「他に誰かいるのかい?」
ハルヴィアが怪訝そうに聞いた。
「玲は…1日でこの幻想郷の住民より多い飯を食うぞ…玲より食うのは幽々子だけだ。」
その言葉にハルヴィアの顔は一気に青ざめた。
「えっ…このガキンチョが?」
「幻想郷の住民以上の量を?」
ユイが呟きハルヴィアが後を継いだ。
玲は不思議そうな顔でハルヴィアを見る。
「食事会は…やめようか。」
「賛成だ。」
ハルヴィアの提案にユイは即答した。
簡単にサンドウィッチを作って皿に盛り付けては机に運ぶ。
「軽食会って事で。」
「それが正解だな。」
魎華は腕を組んで頷いた。
ユイがコーヒーを8人分淹れようとするとくいくいっと袖が引っ張られた。
見ると、玲が目を潤めてこちらを見ている。
「どうした?」
『コーヒーはダメなんです。』
「じゃあ、別のものでも作っておくか。」
そういうとユイは棚をごそごそと漁る。
「おっ! りんごジュースがあるじゃないか! ハル姐! りんごジュースもらうぜ!」
「はいはい! 勝手にしな!」
準備が整ったところで、全員が席に着く。
軽食会の始まりだ。