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甘える為です! ヾ(*´∀`*)ノ(ユイ×玲)

ちょっと…キャラがブレすぎた。

『ハル姐さんに会いたいんですがどこにいるのか分かりますか?』

黒髪赤目の少年は筆談でいきなり話しかけてきた。

ユイはとりあえず思った疑問を口にする。

「なぜ筆談?」

『喋れないもので。』

「まあ、普通に考えればそうなるな。」

ユイは腕を組むと空を見上げる。

「じゃあ、いくつか気になったことをお前さんに聞こう。まずひとつ、お前さんは誰だ? 見たところ半人半霊のようだが。」

ユイの問いに少年はノートに何か書き込むと、それをユイに見せた。

澪川(みおかわ) (れい)と言い(書き?)ます。種族の方はお察しの通り半人半霊です。』

「なるほど。じゃあふたつ、なんでハル姐を知ってる?」

玲は目を見開くと首を傾げた。

「すまん。何か言いたいか書いてもらえるか?」

『覚えてないんですか?』

「なにが?」

今度はユイが首を傾げた。

玲は目を擦ると、ノートに何か書き込む。

『なんでもないです。それよりハル姐さんのいるところに連れて行ってくれませんか?』

ユイは少しの間考え込むと声をかけた。

「事情は分からんが分かった。ハル姐のところに連れてってやるよ。」

そういうとユイは白玉楼の階段を降り始めた。

「取り敢えず歩きながら話そうや。で、これは続きなんだけど、どうしてハル姐に会いたいの?」

『甘える為です! ヾ(*´∀`*)ノ』

ご丁寧に顔文字までつけて玲は答えた。

「甘える?」

予想外の答えにユイの頭の中に巨大な疑問符が浮かぶ。

玲は目を輝かせて頷いた。

『実は僕、別世界から来たんです。』

唐突な話にユイの頭の中にさらに大きな疑問符が落ちてきた。

「ちょっと待て。話を整理させてくれ。つまりお前さんはハル姐に甘えるためにはるばる別世界から来たってのか?」

『それもありますが、ユイという竜人さんとも交流しなくてはいけないそうです。』

「そいつは奇遇だな。俺が竜人のユイってもんだ。任務完了だな。ところでその様子だとなにか使命っていうかやらないといけない様に感じるんだがそういうことなのか?」

玲は頷いた。

『はい。あちらの世界の紫さんに隙間を開いてもらってここに来ました。なんでも特別な人達同士で交流するコラボ、というものをするのが今回の任務だそうです。特別な人達っていうのは一方の世界にはいるけどもう一方の世界にはいない人達のことを指します。例えば僕や、もう1人魎華さんっていう連れがいるんですが、僕たちはここの幻想郷には存在しませんよね?』

ユイは頷いた。

「なるほど、言わんとしていることは分かった。つまり俺やハル姐はお前さん方の世界には存在していないと。だから、俺たちは特別な人達、に入るわけだな。」

玲は頷いた。

「う〜む…にわかには信じがたいが…それが事実なら事実なんだろうな。」

よくわからない台詞を吐きながらユイは無言で階段を降り続ける。

「そういやお前さん。喉乾いたりとかお腹空いたりとかしてない?」

不意にユイは玲の方向を向くと問いかける。

玲は少し考え込んだ後、ノートに何か書くと恥ずかしそうにそれを見せる。

『実は喉が乾きまして…』

ユイは笑うと指で宙に竜人の文字を書くとリンゴを2つ宙から取り出した。

ひとつを玲に放るともうひとつを直接齧ろうとした。

しかし、何を感じたのか素早くリンゴを軽く投げると首を傾げる。

次の瞬間、ユイの投げたリンゴは8つに切れた。

また宙に文字を書いて皿を出現させ、リンゴを全て収めるとユイは後ろを振り返った。

そこにはリンゴをナイフで切っては頬張る玲の姿があった。

「お見事。」

ユイはそんなことを呟くと皿から一切れをつまみ上げ口に入れた。

階段の1番下まで来ると今度は人里へ続く道に出た。

「大丈夫か? なんとなく歩いてきたけど飛べるようなら飛ぶけど?」

玲は首を横に振った。

まだ行けると言う意味だろう。

(えらく体力があるな…こいつひょっとすると…)

「なあ、お前さん。なにか戦い方をかじってたりするか?」

ユイはなんとなく聞いてみる。

玲は頷くとノートを見せた。

「澪川流免許皆伝…」

ユイは口に出してそれを読んだ。

「なるほどな。やたらと体力があるもんだからなにかかじってると思ったら大当たりか。」

『ユイさんはなにか武術をやってたりはしてるんですか?』

「いんや、俺は我流さね。なんというか、自分の筋肉でどこを動かせば隙が無くなるかってのを自分で考えて育ったんだ。その時に体力の底上げなんかもやったりしてたからな。あの階段も比較的楽に下れたってことだ。」

『我流なんですか!?』

「まぁ、我流な分他の流派の飲み込みは悪いけどね。以前やってみたら自分の才能を全部殺しちゃって戻すのが大変だったんだ。」

玲は驚いた目でこちらをじっと見つめた。

「信じられないか?」

玲は素直に頷いた。

その反応にカラカラと笑う。

「だろうね。そういう素直な反応は嫌いじゃないよ。」

ユイはワシャワシャと玲の頭を掻き撫でた。

「よし、行こうか。もう少しすればハル姐のいる人里だ。」

それからしばらくするとユイの言った通り人里に出た。

少し込み入った路地をユイは迷いなく歩いていく。

「さて着いた。ここがハル姐のいる喫茶店だ。」

ユイが案内したのは人里に似合わぬ洋風のこじんまりとした喫茶店だった。

『ハル姐さんはここにいるんですか?』

「『いる』と言うより『住んでいる』だな。」

そういうとユイは慣れた様子で喫茶店のドアを開ける。

「お〜いハル姐。いるか? 迷子のガキンチョがハル姐に会いたいとさ。」

そう言いながらユイは店内へと足を踏み入れた。

「玲! どこにいたんだ!?」

店内の若干壁際のソファに座っていた白髪の女性が立ち上がる。

その向かいにはハルヴィアがコーヒーを片手にこちらを見ていた。

『彼女が魎華さんです。』

玲はそれを見せると消しゴムで消し、また何かを書くと魎華に見せる。

「…mission completed.」

それを見てハルヴィアが声をあげる。

魎華はつかつかとユイに歩み寄った。

隙のない静かな佇まいにユイは思わず口角をあげる。

(さっきのガキンチョといい、こいつもか…)

「あんたがユイか。玲を連れてきてくれて感謝する。」

「よせやい。感謝されるような竜人格はしてないっての。」

頭を下げようとする魎華をユイは押しとどめた。

「ところで、この子が玲くんかい? 可愛いじゃないか!」

ハルヴィアが玲を膝に乗せて頬ずりしている。

「うわ…ハル姐がデレデレだ…」

ユイが思わず渋い顔を見せる。

「可愛いものは正義だ!」

ハルヴィアはよく分からないことを口走っている。

「…邪魔になりそうだ。あっちの方で話せないか?」

「うい。」

魎華の誘いにユイは一も二もなく頷いた。

魎華はジンジャーティーを持ってカウンター座り、ユイはその前にある厨房でコーヒーを淹れ始める。

店の片隅にある古びたレコードプレーヤーから流れるジャズがのんびりとした時間を奏で出した。

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