第七話『洞窟、好物』
ああ。なんてことだろう。
まさかこんな所で鉄砲頭に突きつけられるとは。
正直、夢にも思っていませんでしたよ。ええ。
僕に鉄砲を突きつけてる女の人は顔が泥で真っ黒だった。
戦争映画のゲリラ兵のような。そんな感じ。
撃たれたら即死。これがエアーガンとは思えない。
汚れで断定はできないけど多分外人だと思った。
さらにピンチだ。僕は英語が全くわからない。 僕は木の棒を捨てて手をゆっくりとあげる。
悪意はありませんということを全身全霊敬意すら込めてアピールする。
その女ゲリラは、ぐっと僕の手を掴むと器用に紐で縛り上げた。
もちろんその間僕は大パニックだ。
おしっこも少しはちびったかもしれない。
しかし、この状態でクールでいれるのはきっと鍛え抜かれたエリート兵ぐらいですよ。
僕は鉄砲でつつかれながら移動を促される。
どこへ…?
連れて行かれた先は、入り口は小さいが中は大きな洞窟だった。 ここは?
女ゲリラ(仮)は全く何も喋らない。
洞窟の中は手が縛られた状態では歩きにくかったが、ほどけとは口が裂けても言えないし。
なにより英語でなんて言えばいいかが一番わからない。
促されるがままに奥までくる。
ローソクかなにかでライトアップされてるから暗くはなかった。
このまま殺されちゃうのかな…。
涙が出てきた。
せめて、井筒さんに気持ちを打ち明けたかった。
井筒さん…
ぼそりと。つぶやいた。
「はぃぃ、なんですかぁ?」
正面から場にそぐわない声が挙がる。
い、井筒さん…?!




