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2話 実力診断 前編

ぼんやりと歩いていると気づいたら食堂についていた。気が進まない。進まないけど


「行くしかないよな。」


バツの悪さを押し殺してドアを開ける。昼時を過ぎた食堂にはほとんど人気がなく、アンにすぐに詰め寄られた。


「どこ行ってたの?心配したんだから」


「ごめん、ちょっと外の風を浴びたくて…」


「にしても急に出て行きすぎだよ。せめて一言行ってからにしてよね。」


何も反論出来ない。謝りながら料理の料金を払う。幸いにもそのことに関してはほとんど関心がなく、素直に受け取ってくれた。


「そう言えばジェイクはどこ?もう行っちゃった?」


ジェイクにも一言謝っておきたい。さっきは動揺して周りが見えてなかったんだと。


「ジェイクなら一旦出て来るっていってたから戻ってくると思うんだけど…」


アンがそう言うのでこのまま食堂で待たせてもらうことにした。アンが片付けをしているのをぼーっと見ていると食堂のドアが開いた。ジェイクが入ってくるのが見えるが、その後ろにも何人か続いているのが分かった。ジェイクは後ろをチラリと見るとこちらに向かって言った。


「戻ってくると思ってたぞ。お陰で呼んできたのが無駄にならずにすんだ。」


「呼んできた?」


ジェイクの後ろの人たちには少し見覚えがある。確かジェイクのパーティーメンバーだった気がするが…


「紹介するぜ、こいつがニック。俺の幼なじみで一応魔術師やってる。ニック、多分知ってると思うがこいつらが俺のパーティメンバーだ。」


やっぱりそうだったらしい。パーティーメンバーは4人いて、槍使いのマルク、双剣使いのレーネ、射手のユーナと紹介が続き、最後の1人となったところで、本人が自ら話しかけてきた。


「やあ、ニック。僕がリーダーのラファルド。君と同じく魔術師をしているよ。宜しくね。」


いい人そうだなぁという印象を抱いたが、どうにもわざわざジェイクが彼らを紹介した意味がわからない。その事を問いただして見るとラファルドが答えてくれた。


「ジェイクから君のことを聞いてね。彼なりに君のことを心配しているみたいなんだ。それで、僕達がここに来た理由は君の実力を見ようと思ってね。」


ということらしい。何でもいくら魔力が少ないと言ってもこの街の近くの森ぐらいの難易度のダンジョンならば問題なく対処できるはずだということ。だから俺が弱いのにはそれ以外の理由があるんじゃないかと思ったのだそうだ。


「はぁ、それでどうやって実力を見るんですか?」


「うーん、冒険者なんだから対人戦をしても意味が薄い訳だし、ここは君も一緒にダンジョンに行くというのが一番わかりやすいだろうね。」


何か意見はある?と聞かれたが、特に反論もないのでそれでいいです、と答えておく。


「じゃあそれで決まりだね。早速明日、クラリスの森に行こうか。」


クラリスの森と言うのはこの街から少し言った所にある森でダンジョンになっている。ちなみにクラリスというのはこの町の名前から来ているらしい。


「分かりました。明日ですね!」


食堂から出ていく彼らを見送りつつ明日のことを考える。思えば、今までほかの魔術師からろくに指導を受けたことがないような気がする。そうすると明日はもしかしたらラファルドさん直々に教えてもらえるかもしれない。これは実はチャンスなのではないだろうか。


「ジェイク!ありがとう!」


「ん?礼を言われるような事はしてないと思うんだが…」


「アンもお疲れ!」


「う、うん。お疲れ」


今度は2人にちゃんと挨拶をして食堂から飛び出す。そうと決まったら明日に備えてしっかり準備をしないといけない。まず杖の手入れ、それから回復用のポーションも買っておかなきゃだし…

そんなこんなで準備をしているうちに今日が終わった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


そして朝になりわくわくしながら集合場所と決めた街の門に向かう。集合時間よりも早く行ったのでまだ誰もいなかった。荷物の確認をしながら待っているとまとまって向かってくるのが見えた。


「やあニック、待たせてしまったかな?」


「いえ、今日はよろしくお願いします!」


気合いは十分。張り切りすぎて昨日寝れなかったほどだ。


「それじゃあ一応今日の確認をしておこうか」


ラファルドさんがそう言って移動しながら作戦会議のようなものが開かれた。


「今日行くのはクラリスの森。ゴブリンやコボルトといった最弱の魔物はいないけど強い魔物もいないから基本敵を倒すのはニックに任せるよ。警戒は僕達のパーティーに任せて。あとないとは思うけど主が出てきたら今日は安全策を取って退避するよ。」


その言葉に皆が頷く。そのまま少し歩くとクラリスの森に着いた。


「にしても不思議だよな、森の外にはほとんど魔物がいないなんて」


ジェイクが呟く。確かにそうだ。街道ではほとんど魔物に遭遇しなかった。


「それがダンジョン…ほかの場所で湧いたらダンジョンの意味がない…」


ユーナさんがボソッと答えてくれた。どうやら魔物が湧く場所を人間がダンジョンとして管理しているらしい。


「じゃあ行こうか」


ラファルドさんに従って、パーティー+俺はクラリスの森に入っていった。

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