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生産職ですが最強です  作者: シウ
第四章 女神の迷宮編
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第四章 第十六話 「穏やかな休息」

仕事が忙しい…。投稿です。。。。

 颯天達が水の大精霊ローレライの盟友である事が明かされ、更にネプチューンが王命を下すというひと悶着の後。颯天達は、王宮の中の一室へと案内されていた。


「はあ~。本当に心臓に悪いぞ?」


「悪い悪い」


 部屋に入ると過度な装飾品はないながらも落ち着きのある調度品、くつろぐための椅子やテーブルも置かれていて、そのうちの椅子の一つにネプチューンは本当に疲れたとばかりに腰を下ろした。

 そして、そんなネプチューンに若干申し訳なさそうにしながら颯天はネプチューンの向かいに腰を下ろして、伏見と白夜もそれぞれが椅子へと腰を落ち着けた。


「それで‥‥だ。教えてくれるんだろう?何故あのような事をしたんだ?」


「なに、面倒くさそうだったからな。ちょっと刺激を与えただけだ。それよりも、お前からも教えてもらわないとな。人魚と人間の間にあった事について」


「‥‥何のことだ?」


「隠すな。アレだけの数の不審な眼を向けられて、そこから想像できないはずがないだろ? だがもしもがあるからこうして聞いてるんだ」


 颯天の眼は、ネプチューンに向けられていて。その眼は決して引き下がる事も、嘘を言う事もその嘘さえも見抜くと思わせる光があり。


「‥‥仕方がない。だが、決して言いふらすなよ?」


 念を押して、颯天達が頷くのを確認してネプチューンは口を開く。


「事が起こったのは、まだ父上と母上が存命だった数十年前だ」


 その日は、地上の人間と国交が開いて百年の節目であり。両国の更なる発展と関係を願い地上の王族と数人の貴族を招いて国を挙げての祭りが開かれていた。

 祭り自体は問題なく招待された王族も大いに楽しみ、夜の宴も佳境に差し掛かった時にそれは起こった。

 招待された王族が、料理を口にした直後にもがき苦しみ始めたのだ。


「…毒か」


「ああ。そして、懸命の治療もむなしくその者は息絶えた」


 王族の暗殺事件。それによって両国の間に緊張が走り、早急な解決の為に捜査が行われた。

 そして、捜査が進み料理に仕込まれた猛毒は地上にはない、サウスザーランド海王国の近郊にしか存在しないものと。そしてそれを仕込んだのがサウスザーランドの料理長という事もすぐに判明し捕縛された。だが、捕縛した料理長からの言葉は両国の関係に亀裂を入れるに十分な威力を持っていた。


「料理長はこう言っていたそうだ「私の娘は、こいつに殺されたんだ」とね」


「‥‥なるほどな。それで、その料理長はどうなった?」


「死んだよ。事前に毒をあおっていたそうだ」


 先が読めた颯天は小さく呟くとそれ以上は何も言うことなく、口を閉ざすことでネプチューンに先を促しネプチューンは話を進めていく。


「料理長は死んだ後も捜査は進んでいくと、料理長の娘の死の真相も判明した。結論から言えば娘は料理長の言葉通りに王族の、第三王子の配下によって連れ去れその際に傷を負った事が原因で死に至ったことが分かった」


 そこからは、想像も難くないよくある状況。即ち両者の責任の押し付け合いに発展し即ち泥沼状態に発展し、国交の断絶と人間たちに対する悪感情を人魚たちが抱くのに然程の時間はかからなかった。

 結果、その国との国交は断絶によってサウスザーランド海王国の国民は外部の者に対しての忌避感、特に人に対して憎悪に似た感情を抱くようになっていた。


「その後は、まあ想像の通りだ。数年前までは、な」


「というと?」


「俺が王位を継いだ当初、この国は友和派と排斥派の二つの派閥があったんだがな。その大半を排斥派が占めていたんだ」


「それにしては、嫌悪の眼は少ないように感じたが?」


 颯天は、仕事柄だが他人の視線にも敏感で。そんな颯天は視線の中に自分たちを嫌悪する視線にも気が付いていて。颯天のその言葉にネプチューンは嬉しそうに頷いた。


「それはそうだろう。友和派と協力して数年掛かりで排斥派の力を削いだんだからな」


「‥‥凄いな」


 流石の颯天も政治などには多少なりとも疎い。だがそれでもネプチューンの言葉の通りであれば、圧倒的な力を持っていた排斥派という派閥の力を友和派と協力していたとはいえ余程の政治的な手腕が無ければ

 最大派閥である排斥派の力を削ぐ事はかなりの困難だという事は理解できた。

 そんな颯天の反応に、ネプチューンは頭を振る。


「いや、まだまだだ。今のような閉鎖的なままではいずれこの国は立ち行かなくなる。故に、今回のクラーケンの事は渡りに船でもあったのだ」


「排斥派からの妨害されることなく外部からの応援、またはその繋がりを作る言い訳が出来るというわけか」


「そういう事だ」


「だが予想外の事もあっただろう?」


「ああ。良い方でな」


 颯天の言葉にネプチューンは笑みを浮かべた。


「さて、取り敢えず君たちはローレライ様のご友人である事に変わりはないからね。国賓として扱わせてもうよ。排斥派に対する牽制も兼ねてね」


「国王さまも大変だな?」


「まあな。だが、大変なのは君達も同様だと思うぞ?」


「どういう意味だ?」


 意味深な笑みを浮かべながら立ち上がったネプチューンに問うが、それに答えずにネプチューンは部屋の扉の前に移動する。


「何かあれば、そこにあるベルを鳴らしてくれ。この国にとっての賓客である君たちに完璧とは言えないが、できうる限りメイドたちが対応してくれるだろう」


「アンタはどこに行くんだ?」


「残念ながら、会議だよ。クラーケンの危機は刻一刻と迫っているからね」


「‥‥ご苦労だな」


 そう言いながら気苦労を感じさせる声音に颯天は苦笑いを浮かべ、扉を開けて出ていくネプチューンを見送り。

 そして、部屋には颯天達だけとなる。


「さて、取り敢えずは一息つくか‥‥って、こら」


 そう言い、椅子に改めて体全体を預ける颯天。そんな颯天の左右の膝の上に伏見と白夜は何かを言うもなく陣取る。


「いいじゃろ。術を仕掛けられた様子もないんじゃし」


「うん。誰かが隠れてる様子もないから」


 そう言うと二人は颯天に甘えるようにそのまま背中を颯天に預け、椅子に座っているのに椅子になってしまった事で颯天は動けなくなってしまったが、悪い気分ではなかった。


「ふむ。片足とはいえ主様の膝の上というのはいいものじゃ」


「うん、半分だけどいい感じ」


「…そうか」


 ルンルンな二人の様子に颯天は何を言うもなく、好きにさせる。甘えられて嬉しい反面、二人を縛ってしまっている事に対して申し訳なさも入り混じった感情を抱いていると。二人が同時に体の向きを変えると頭を押し付けるように、表情が颯天に見えないように抱き着いた。


「っと、どうした?」


「‥‥別に」


「気にするな、じゃ」


「そうか」


 二人は何も言わない。だが、二人の行動が何を意味しているのか。それは颯天にもしっかりと伝わってきていて。おそらく、今ここにニアが居れば二人と同じような事をしただろう事は容易に予想できた。

 そして、しばらくの間二人はそのまま抱き着いた状態で、颯天もそれ以上なにも言わずに静かで穏やかな時間を過ごした。

夏はなぜ仕事がこうも忙しくなるのだろう‥‥。とりあえず、少しづつですが執筆頑張ります。

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