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生産職ですが最強です  作者: シウ
第四章 女神の迷宮編
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第四章 第九話 「試練」

虚無でした。よーーーーやっと書けた…。

「二人とも、そろそろ離れないか?」

「嫌(です♡)」


 そんなお願いは抱き着いて離れない伏見とニアの二人にあっけなく却下されて、颯天は何度目かの小さなため息を吐いた。


(まあ、自業自得ではあるけどな)


 第二封印を解除した事で起きた後始末を必要だと判断したとはいえ。完全に自分が悪いと自覚しているが故に左右から抱き着いて離れない事に颯天も強く言うことは出来ず。そして、この場を諫めてくれるであろう白夜はと言えば二人と同様に背中に抱き着いており、止め役はいなかった。


「なんじゃ?」


「いや‥‥。なんでもない」


 三人の美少女に三方向から抱き着かれているこの状況は、まあ颯天も男なので決して嫌という訳ではなかった。


「いよいよ、か」


「…ですね」


 颯天の言葉に短く答えたニアは抱き着いていた手に力が籠るのを感じたが、それに対して颯天は何も言わず。ただ一言だけ口にする。


「頑張って来い」


「…はい」


 その言葉に、ニアは髪が乱れるのを気にすることなくぐりぐりと颯天に頭を擦り付けてきて。思わず颯天が頭を撫でると隣と背後からの視線が刺さり。結果三人の頭を撫でるという幸せな事態になったのだった。

 それから二日後。颯天たちは水精霊の森の中心にあるヒュドールが暮らす泉の前に立っていた。


「では、宜しいですか?」


「はい」


 確かな覚悟を持った眼でニアは答え、それにヒュドールは頷くと同時に泉の中央より現れたのは青玉サファイヤの扉で。その扉には濃密な魔力が宿っていた。


「青玉の扉。この先が勇者の試練となります」


「…‥‥」


 泉の中央に浮かぶ扉、そこに至るまでには水の階段が浮かんでいてそれは幻想できでもあった。そんな扉を前に、ニアは深呼吸をした後、一度だけ振り返り。


「行ってきます!」


 そう言うとニアは振り返る事なく勢いよく階段を昇って行き、扉の前に着くと扉に手を掛け開いた扉の中へと歩を進めまるで水面のように揺れる扉の中へとその背中が消える。


「…行ったの」


「ああ。頑張れよ、ニア」


 颯扉の向こうへと消えた背中に向けて颯天はそう呟いたのだった。



 扉の潜り先へと進んだニア。そのニアの眼に見えた景色は緑と花が豊かに咲き誇る中に無数の傷ついた武器がまるで墓標のように立つ光景が広がっていた。


「ここが、青玉の扉の先の世界・・・・」


 幻想的でありながら、どこか悲しさを内包したかのような世界。そんな世界でニアに話しかける存在があった。


「ええ、そうよ。此処は神に殺された者達の安らかな安寧と眠りをと願い作られた、亡き者達の世界」


 ニアが視線を向けた先に立っていたのは、赤毛で肩に掛からないほどに短髪で快活といった印象を与えるやや小柄な女性の姿があった。


「そして、神を殺しこの世界を救う『勇者』の力を受け継ぐに足る器かを見定める選定の儀となる世界さ」


「…そうなんですね」


 改めて辺りを見回したニアは、武具が無ければピクニックに来たいほどに穏やかな空気と気候であるが、武具があることによってもの悲しさが伝わるが。

 ニアは目を閉じ死した人たちに安寧と穏やかな休息を願た後、問うた。


「貴女は、何者ですか?」


「私? 私はまあ・・・・貴方の先輩、かな?」


 ニアの質問に困ったような表情を浮かべながら小柄な赤毛の女はそう答え。何もない空間から槍を掴むと同時に踏み込み、勢いの乗った槍をニアへ放ち、交差させた剣の腹でもってニアは受け止める。


「へえ、いい反応だね?」


「大切な人に、鍛えてもらいましたから」


 互いに涼しい顔をしながら押し、押されまいと鬩ぎあう中の問答。だがそれは赤毛の女が槍を引き、後ろへと跳躍して下がることで幕を閉じる。


「ふふっ、いい人なのね。あなたの想い人は」


「ええ。正直私には勿体ないと思うほどですけど、この想いを捨てるつもりも、期待を裏切るなんてしたくない!」


「うん、いい覚悟。女ならそうでなくっちゃね」


 ニアの啖呵に赤毛の女は嬉しそうに微笑みながら再び槍を構える。すると槍から炎が生まれ最初に触れた場所である腕には籠手が、さらに胴体に至ると鎧が生まれ全身を巡った後そこに居たのは程とは違い闘気と髪と同じ赤い、幾つもの傷が残る武具を身にまとった勇槍戦士(パンサー)となる。


「私はかつて『閃槍』と呼ばれた勇者、アリカディア!今を生きる今代の勇者へならんとする者よ。課せられた試練はこの私を越える、それが貴女が越えるべき試練だよ!」


 堂々と闘気を放つ『閃槍』アリカディアに対し、相対するニアも剣を構える。


「ニア。『勇者』には私は興味はない。けど私はあの人を支える、傍に入れる力が欲しい。だからこそ、貴女を超えて『勇者』になってみせる!」


 互いに、闘気を纏い戦意十分(やるきじゅうぶん)の中、穏やかに吹いていた風が一瞬止むと同時にアリカディアは手に持つ槍を、ニアはその手に持つ双剣を振るい激突する。

次の投稿は仕事次第なので、不定期です。ですが、少しばかりモチベーション上がってきているので、頑張ってみますので、よろしくお願いします。

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