表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生産職ですが最強です  作者: シウ
第三章 精霊の森編
65/101

第三章 第十話 「招かれる者」

珍しく、月を跨がずに書けた…珍しい…(*゜Q゜*)

ですので、最新話を投稿です。

それと、約十年近く追っているアニメの映画、原作を読み込んでいると、感動と同時に時間の流れを感じてしまいました…(自分語り)

 颯天とフェン。互いに臨戦態勢で耳を澄ませると、水気を含んだ液体が流れる。そんな音が聞こえた。


「水の音…か? だが、どうして?」


「‥‥‥‥」


 フェンの小さな独白が颯天の耳にも届くが、颯天は答えない。がフェンが不思議に思うのも無理は無かった。そもそも、フェン達は自然の中で暮らしていたので、どうしても聞こえてくる音が、聞き覚えのある音と思ってしまっても仕方がない事だった。だが、颯天は違った。


(これは、水の音じゃない)


 颯天は、これによく似た音を知っていた。故に、困惑しているフェンに警告する。


「フェン、全方位に意識を集中して、咄嗟にでも動けるようにしろ」


「‥‥ああ」


 一切の動揺もなくそう言った颯天の言葉に、フェンは一旦考えを切り上げたのか直ぐに答え、全方位に意識を集中させ、咄嗟に動けるように無駄な力みを抜くように、浅く息を吐く。

 そして、そうしていた颯天たちの前に、奥からそれは姿を現した。それは、動く水銀のスライムだった。


「…なんだ、アレ?」


 予想していなかった想像外の存在にフェンは本気で困惑してたが、大まかに予想していた颯天は、むしろ内心で舌打ちをしたいほどだった。


(まさか、こいつがこの異世界でも居るとはな…)


 目の前の動く水銀スライムともいうべき存在。それは地球で何度か颯天も戦った事のあった。それは新たな生命を創造する錬金術と魔術で、人の手によって人為的に生み出された人工生命体(ホムンクルス)。その失敗によって生まれた存在で、自我や知性は一切なく、人間や動植物、更には有機物を喰らい、無限に成長し、放っておけば全ての生命を喰らいつくす化け物だった。


「フェン、あの銀の液体。アレに絶対に呑まれるな。死ぬぞ」


「…分かった」


 簡潔に内容を伝えると、颯天の声音と雰囲気から危険な存在だと理解したフェンの表情は引き締まる。


「ッ、跳べ!」


「!」


 互いに動けるようにしていたお陰で、颯天の声に合わせてフェンも横へと跳ぶと、二人が立っていた場所には直前までなかった、直径十センチほどの銀の槍が地面から天井へと突き刺さっていた。

 あのまま立っていれば、下から串刺しなっていたかもしれなかった。

 そして、それが攻撃の合図になったかのように、スライムの体から無数の管が、まさに生きているかのように形成され、全方位から槍が放たれる。


「はぁっ!」


 颯天は背後から迫っていた銀槍を振り向く体の捻りに乗せて横に振り抜き、一旦刀から手を離すと刀身は重力に従い切先は僅かに下に向く。そのタイミングで再び刀の柄を握ると、ギャリギャリッ!と硬い物同士がぶつかり合う音と共に火花が散る。


 背後だけでなく、僅かな時間差で下からの攻撃の時間差攻撃で、そこから続くは豪雨のように雨あられと放たれる無数の突き。だが颯天は攻撃の根元である銀の管。


 その僅かな予兆から軌道を予想し回避、間に合わないと判断すればそれを刀で力を受け流しながら防ぎながら次の回避、防御へと繋げる。その動きはまるで限られた舞台の範囲で行われる舞のようであった。


(フェンは?)


 回避、時に刀で防ぎながら生じる僅かな隙を突き、颯天はこの場に居るもう一人。フェンへと視線を向けると。


「ふっ!」


 そこでは、僅かな情報から軌道を読んで回避などをする颯天とは違い、フェンはまさに獣性。野生の感と呼ぶべき動作で回避、爪で切り裂く。驚くべきはその速さと爪の鋭さだった。フェンの回避の速さはまるで、一瞬体がブレたと感じさせるほどで。爪に関しても鉄を上回る硬度を誇るはずのモノを、容易に切断していた。


(これは、思った以上だな)


 そう、フェンの動きからして大丈夫と判断した颯天は、『解析眼』を発動させると、水銀スライムを視界に納めると、視界に情報が表示された。


 NAME クヴェックズィルバー・グラトニー (分裂体)


 体力 800(分裂体 常時-100)

 筋力 600(分裂体 常時-100)

 耐性 1200(分裂体 常時-100)

 魔耐 800(分裂体 常時-100)

 敏捷 1400(分裂体 常時-100)

 魔力 520(分裂体 常時-100)


 技能 『硬化(弱体化)』『液化(弱体化)』『暴食(弱体化)』『形状変化(弱体化)』『音響感知(弱体化)』『自己再生(弱体化)』


 古代科学文明による□□□□研究によって作られた存在。そこから切り離された分裂体。柔軟性と硬度が高く、あらゆるものを飲み込み、その体を肥大化させる。


(当たりか。だが、分裂体それに弱体化だと?)


『解析眼』によって開示された情報に対し、颯天は納得できる部分と、同時に引っ掛かる情報幾つかがあった。それが、開示された内の分裂体、更に技能についた弱体化という部分だった。


 だが、颯天の知る限り、水銀の他に種類がある為に、総称してグラトニー(暴食)と呼ばれるそれは、通常一体で完成している。何せそもそも感情を持っていない、ただ喰らい、驚異的な回復力を有している存在で、本来は分裂、弱体化などといったこと、更に知能は持ち合わせておらず、このような情報はあり得ないはずだった。


(一体、どういうことだ?)


 『解析眼』が間違った情報を提示した。その可能性も捨てきれない。だが、合っているという可能性もまた同様だった。


(‥‥まさか。本当に本体が居る、という事か…?)


 次々と放たれる攻撃を捌き、回避しながら颯天は俄かには信じられない情報を、かみ砕き、飲み込み、消化していく。その最中。


(全く。この異世界の古代科学文明ってのは、一体どれだけ進んでいたんだ…?)


 思わず、既に滅びこの遺跡を作ったであろう異世界の古代化学文明に対して、颯天は内心で愚痴をこぼしながらも、この後の事を考える。


(正直、放って置きたいが、後々に厄介になる事を考えたら、今ここで本体を倒すしかないな)


 地球ですら、危険度が高く発生した際は迅速な対応によって即座に消滅させているのだ。幾ら魔法などがあったとしても、対処できない。その可能性が高かった。ならば今後の憂いを絶つにはいい機会と言えた。


 その為にも、まずは目の前の分裂体を片付ける必要があった。


「フェン。あの状態なら、距離と詰めて互いの一撃を叩き込めば再生も間に合わずに倒せる。タイミングはこっちが知らせる。行けるか?」


「分かった、任せる!」


「なら、三、二、一で行くぞ」


 フェンからの二つ返事に颯天はそう指示すると、颯天は捌くのに使っていた刀を鞘へと納め、最小限の動きでの回避へと切り替える。その一方、颯天と対照的にフェンは早さを上げるなか、颯天のカウントが始まる。


「三‥‥‥ニ‥‥‥一‥‥‥今!」


 カウントがゼロになったと同時に、颯天は攻撃の最中に生じる隙間を潜り抜けるようにしてジグザグに移動しつつグラトニーへと距離を詰め、フェンは豪快に迫ってきていた水銀槍を全て切り裂くことで一直線に距離を詰める。

 そして、間合いに入ると颯天は柄に手を、フェンは手を構える。


双迅牙(そうじんが)!」


 まず最初に行ったのはフェンで、すれ違いざまに左右同時、食い千切る牙のように放たれた爪による一撃で容易くグラトニーは両断され。

 続くように颯天は手に持っていた刀の鯉口を切り、すれ違いざまに斜め上へと刀を振り切る。


「火刀『滅焔花めつえんか』」


 刀に斬られると、斬られた切断面から焔が噴き上がり、その焔はグラトニーを焼き尽くしていく。その様を見ることなく、颯天は鞘に刀を納める。


 すると、焔はより一層強く燃え上がり、やがて全てを焼き尽くした焔は花が命を最後を示すかのように火花を散らし、消え去る。颯天が使った剣術抜刀。それは術と抜刀を融合させたもので、斬ったものを一切焼き尽くし灰燼へと返す。それが『滅焔花』だった。


「‥‥どうやら、追撃は無さそうだな」


「…ああ」


 倒し直後から、更なる増援の可能性もあり互いに周囲を警戒し、颯天に置いては『無系統忍術』魔拡感知を使っての索敵をしても気配は無かったので、互いに警戒を解いた時、奥の方で何か重いものが動いたような音が微かに空気を震わせ届いた。


「…行ってみるか?」


「ああ。罠であろうと食い破ってみせるさ」


 と、颯天としてはこの遺跡に関連する何かがあると思い提案するとフェンも興味が湧いたのか提案に乗り、颯天とフェンは監獄の奥へと進む。


(にしても、やっぱりかなり広いな…)


 移動しながら、颯天は魔拡感知を定期的に発動させているが、そこから幾つかの空間が存在しているのは分かったが、更にその下に更なる空間がある可能性があった。

 そして、フェンと歩くこと数分。


「ここか」


 颯天たちはぽっかりと穴が開いた、恐らく壁だったであろう部分がズレたことによって開かれた空間の前へと到着した。開かれた空間は天井から光が差しており、その光によって照らされる空間は、高さは凡そ3メートル、横幅は二メートルあるかと言った所で、奥行きも横幅とほぼ同じだった。


「なんだ、この空間は…?」


 フェンはその不思議な空間に対して首をひねっていたが、颯天はその空間が何なのか、なんとなく予想できていた。そして、この扉が開いた理由も。


「フェン、どうやら呼ばれているみたいだぞ?」


「呼ばれている? いったい誰に?」


「その誰かに会うためにも、こいつに乗るぞ」


 フェンにそう言って颯天は一足先に乗り、フェンはよく分からないモノに乗りたくなさげだったが、颯天に少し遅れて乗り込むと、自動的に壁がスライドして閉じる。


「あ、フェン。この後なんだが」


 颯天は、この後に起きるであろう事象を知っていたのでそれをフェンに教えようとしたが。


「なに? ふにゃああぁぁっ!?」


 それを教えるよりも前にエレベーターは動き始め、フェンは先ほどまでの凛々しい姿とは一変した可愛らしい声を出してしまったが、直ぐに先ほどと変わらない表情を繕ったがその頬は朱く染まっており、颯天は指摘せずに聞かなかったフリをする。

 が何とも空気は拭えず、しかし状況の中でも、颯天とフェンを乗せたエレベーターは止まる事無く招かれるように地下深くへと降りて行った。

今話は戦闘が少しありしたが、やはり、戦闘シーンは難しいですね。

そして、次回は…まあ、どんな感じにするか朧気に形はありますので、少しづつ書いていきます。これは恐らく来月投稿になるかもしれませんね…。

まあ、楽しみに待って頂けると幸いです。颯天達を招いたのは、何者なんでしょうね…←早よ書け(by???)

さて、今話はこれにて失礼します。次話を気長にお待ちいただけると幸いです。また、誤字脱字報告や感想など頂けるととても嬉しいです。

それでは皆様、また次話で。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ