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生産職ですが最強です  作者: シウ
第三章 精霊の森編
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第三章 第六話 「情報収集」

まず最初に、時間が空いてしまい申し訳ありませんでした。本当に忙しかったんです…投稿です。

(あそこが、奴の店か)


 颯天の視線の先、帝都中央へとつながる西の大通り。即ち目抜き通りにある大きな娼館。それがピッグスの店だった。

 今も豪奢な服と、それを押し上げる豊満というべき体の男が護衛とぼしき人間を引き連れ、その男意外にも同じような男が何人も建物の中へと入っていくのが見えた。


(かなり繁盛しているようだな‥‥これは期待できそうだ)


 何故、颯天は繁盛している店が期待できるのか。別にあっちの意味での期待という訳ではなく、まず情報を集めるうえで店が繁盛しているというのは、それだけ人が行き交うという事。そして、娼館で、更に貴族も利用しているのであれば、必然的に裏の情報を扱う者も存在する。颯天の目的は、その人物との接触だった。


「‥‥‥」


 颯天は無言で人ごみに紛れるように歩きつつ、朧霞を解除しそのままローブを目深に被ったまま、ピッグスの店へと入る。


「いらっしゃいませ~! お客様♡ 今日はどのようなご用事でしょうか?」


 店に入ると、胸元は開き、スカートもかなり際どいアレンジが加えられた服を身に着けた女性が一瞬、颯天の格好に怪訝な表情を浮かべるも、慣れているというべきか直ぐに表情を笑顔に戻すと颯天に声を掛けてきた。


「ここのオーナーの紹介でな。ラッテに会いたい」


「お客様は、を持っておられますか?」


「ああ」


 颯天はポーチからピッグスから貰った、裏面にのみ金色の鼠のひげが描かれたコインを差し出すと、確認した女性は頷いた。


「分かりました。それでは、最上階にありますお部屋へとご案内いたします。着いてきてください」


 そう言うと女性は建物の奥へと歩いて行き、颯天もつかず離れずの距離で女性に付いて行くと。やがて目の前に、地球で見慣れたものがあり、スイッチのような物を押すと閉じていた柵が開き、女性は躊躇なく乗り込む。


「お客様もお乗りください」


「‥‥‥」


 颯天は無言で女性に続いて乗り込むと、女性は近くにあった表示板に触れると、引っ張られるのではなく、下から押し上げるようにして颯天たちが乗っていた箱は上昇していく。

 それはまさに、現代のデパートやマンションなどに存在するエレベーターだった。


「この乗り物は、一体?」


「この乗り物は、遺跡より発掘されたものを技術者たちが修復、解析して作り上げた魔道具です」


「これが、魔道具?」


「はい。この道は建物の最上階まで一直線に通っており、その上下には盤にから階を指定し、その高さに応じた魔力が盤に埋め込まれた魔石から、土魔法使いに協力していただき刻印された土魔法【石操作】に供給され、今のように上下に移動します」


「…なるほど」


 流石の颯天も、これには素直に驚いた。異世界に銃、またはそれに類するものがあるのもそうだが、それ以上にこれだけの技術を一般の店、もちろん貴族や一部の豪商などに限られるだろうが、利用しているというのが、どれほどの技術を有しているかの指標になり、颯天は今回の救出において、気を引き締め直していると、徐々に加速が落ちていき、そして止まり、扉が開くと、そこは、一直線の真っ赤なカーペットが引かれ、その奥にただ一つの扉があるだけだった。


「到着です。お降りください」



「‥‥‥」


 女性の指示に従い、颯天は箱から降りる。


「そのまま、奥の扉へとお進みください。ラッテは、その先に居ます」


 颯天に背に女性がそう言うと柵が閉じる音がした後、白い壁に長い赤のカーペットの廊下に、颯天だけが取り残され、颯天はそのまま真っすぐに止まる事無く、扉の前にたどり着き、扉を開くとそこはうっすらと明かりがあるだけの薄暗い部屋だが、その部屋に置かれている家具や装飾品は、どれもかなりの値打ちのするものだと伺える。

 そんな部屋のソファに、痩せているが、その眼はギラギラと輝き、何処か狼を感じさせる灰色の髪の男が座っていた。


「やれやれ、情報を買いにまた貴族(豚)でも来たのかと思ったが‥‥まさか獅子、いや、龍が来るとはね」


 どんな逆鱗に触れたのかねぇ。とまるで他人事のように飄々とした態度の男に颯天は無言のまま男の向かいにあるソファへと座る。


「まあ、いいさ。俺はラッテ。しがない情報屋だ。それで、あんたはどんな情報がお望みだ?」


「その情報も、既に検討が付いているんだろ?」


「まぁな。にしても、ここまで早急に来るという事は、急ぎか?」


「想像に任せる」


 颯天の言葉に、ラッテは笑みを深くする。


「お前、俺の同類と何度かあったことがあるな?」


「さて、そこは想像に任せよう」


 笑いながら敢えて明確には言葉にしなかったが、それが信頼できると判断したのか、その背をソファへと預けた。


「いいぜ。アンタは今までの奴よりも信頼できそうだ。それで、どういった情報が欲しいんだ?」


「つい最近、捕らえられた獣人達。その収容場所を知りたい」


「…本気か? あそこはこの国が最も神経を張り巡らせ、更に遺跡からの技術も使われている牢獄だ。並大抵の人間じゃかなわないぜ?」


「なに。不可能じゃないなら、十分可能だ」


「そうかい。じゃあ、これをやるよ」


 ラッテと名乗る男は、そう言うと颯天に折り畳まれた紙を投げ、颯天はその紙を指二本で掴む。


「そいつに、収容場所、あとは大まかな人数や装備なんかのも書いてある」


「十分だ。支払いはこの国の貨幣じゃなく大丈夫か?」


「ああ、大丈夫だ。この国は外貨で成り立っている部分があるからな」


「ならよかった」


 颯天は立ち上がると、扉へ近づきつつ小袋を取り出し、後ろの男へと投げ、男は片手でそれを難なく受け取る。


「毎度あり。またのご利用を」


「ああ、いい取引だったよ」


 そう言うと、颯天は扉を開け部屋を出ると、そのまま廊下を進んでいくと、右側にあった盤に触れると、五秒とかからず扉が開き、それに乗り込むとそのまま一階へと到着するとそのまま店を出ると、【幻術】朧霞を使い、その姿を周囲に溶け込ませる。


「行くか」


 そして、その足はラッテから渡された紙に記されていた場所、帝都北東の山間部。帝都に水を供給する川の源流。その近くにある洞窟へと向けて、颯天は移動を始めたのだった。


 一方その頃、ラッテはその体をソファへと預けており、その額には冷や汗が浮かんでいた。


「いやはや、どうやらこの国は、本当に龍の逆鱗に触れたみたいだな‥‥」


 声音からして、まだ二十歳にも届いていないことは分かったが、その落ち着き具合、その雰囲気は今まで情報を売った中の人間で、最上位に入るほどに危険だと本能が告げており、思い返すだけで、背筋に冷たい汗が流れた。


「この情報は、売れねぇな‥‥」


 ラッテは基本的にどんな情報も売る。それは自分から情報を買った人間の情報も、だ。

 しかし、今回は売れないとラッテは判断した。危険だと。

 情報が出た後であれば違うだろうが、自分が最初にの情報を売ったが最後、確実に殺させる。そんな予感があり、その予感が外れたことはなく、それ故にラッテはこの世界で生き残れているのだった。


「…まあ、こっちがちゃんとしていれば、上客に違いわねぇか」


 先ほど投げ渡された袋。その中には恐らく十枚はくだらないほどの金貨が入っている事を重さだけで理解していたラッテは、今後もいい付き合いをしていきたいと思っていたのだった。


今回は、タイトル通りの情報収集ですが、会話のシーンが個人的に書き出すのに苦労しました。

次話ですが、まだ色々と身の回りが忙しいので、一月に一話のペースは崩さず、余裕があればもう一話。と言った感じで執筆、投稿をして参りますので、どうか、宜しくお願いします。また、誤字脱字の報告、評価や感想など頂けると幸いです。

では、今回はこれに失礼します。皆様、また次話で

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