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生産職ですが最強です  作者: シウ
第一章 アスカロ王国編
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第一章 第十話 「依頼を受ける」

ふう、修正、加筆を終えました。…投稿・

朝、朝日が差し込む時間になり、颯天は自然と目を覚ました。

現在颯天が使用し寝ていた場所は、ニアの両親が経営している、宿の二階の一番奥の部屋だった。ここ数日で、宿にも少しづつだがお客も入ってきたので颯天は静かな奥の部屋へと移動したのだった。

数日前に使っていた部屋から出る時ニアとその両親に散々引き留められたが、この宿で一番高い部屋はどことなく肌に合わないと言い、使えると不承不承に奥の部屋へと変えてもらった。


「うう~ん、よく寝た・・・けど、やっぱり朝は苦手だな・・・」


相変わらず朝になって目が覚めてもなかなか眠気が覚めない颯天はベットの上で少しの間寝たり起きたりを繰り返しているとコンコンと控えめにノックが聞こえた。そして颯天はその人物に心当たりがあった。


「お兄ちゃん、起きてますか?朝ご飯が出来ましたよ」


「ああ、起きてる。飯も今から食いに行くよ」


颯天がそう返すと、扉の前に立っていたニアが来た道を戻っていった。颯天はベットから起き上がり、部屋に置いていた装備を身に着けていく。さすがに額のバンダナと小型特殊プロテクターは外して腰のポーチの中に収納した。

そして部屋から出ようとした時、部屋にあるテーブルの上に置いていたステータスプレートと、もう一つ、銀色に輝く物があった。


「はぁ、厄介ごとが起きなければいいな・・・」


そう、そこにあったのは先日ギルドマスターであるレオンから銀ランクに昇格した証として渡された銀の指輪であった。


最初は颯天も断っていたが、レオンが余りにもしつこく

また「これを受け取って貰えなければ、私を馬鹿にしたことになるよ?、それはギルドの関係者たち全員を馬鹿にした事になるよ?それにギルドはどこにでもあるから。君が望む情報が入手しやすくなるぞ?」と言われてしまえば颯天は受け取るほかになかった。如何に颯天が強くても、休息を取らねばいつかは限界が来てしまう、ヘタに敵を作るのは得策ではない。それに颯天は元の世界に帰りたいのだ。それに颯天は出来れば基本平和に過ごしたいのだ。 まぁ、元の世界に帰るためならば、と割り切ることはできるのだが。


「まあ、なる様になるか」


諦め気味にそんなことを頭の片隅で考えながら、颯天は銀色に輝く指輪をポケットの中に入れると、手の感触を確かめるように数回握る、開くを繰り返し、部屋を出て一階にある食堂へと向かった。

階段がある場所に差し掛かると、下からにぎやかな声が聞こえてきた。

どうやら、颯天のほかに昨日新たに泊まった人がいるようだ。颯天はそんなことを思いながら、階段を下り食堂へと向かう。食堂には数人男女の冒険者らしき集団がテーブル朝食を食べているようだった。

颯天はその冒険者達の装備を何となく観察した。


(ふ~ん、なるほど、剣と盾の男二人が前衛で、槍の女が遊撃と援護、ローブの女が後衛で・・・魔法使いかな…全体的に見れば遊撃がもう一人いたほうがいいいがするが・・・)


そんな風に考えながら歩いていると奥からニアが顔を出した。


「あ!お兄ちゃん、おはようです!」


「ああ、おはようニア」


どうやら颯天が入ってきたことに気づいたのかニアが元気のいい挨拶をしてくれたから颯天もニアに返事を返し、この宿に泊まって以降から毎日座ってる指定席へと移動する。そしてニアが颯天が椅子に座ったタイミングで朝食を出してくれた。いいタイミングだ。


「ありがと、ニア。」


えへへ、ニアは颯天に褒められて嬉しいのか颯天から見ても和むほど愛らしい笑みを浮かべ、そのままニアは厨房の中へ戻っていった。

その日のニアはいつも以上の張り切りようで両親を驚かせたが、何となくニアの表情を見て察したのだろう、微笑ましく見守っていたとか、いないとか。


朝食を取り終えた颯天はその足でギルドに来ていた。もちろん依頼を受ける為だ。


「さて、今日はどんな依頼があるかな?」


颯天は面倒ごとに巻き込まれたくない、それでも嫌がおうにも目立ってしまったので存在、気配を薄くし、依頼が貼られている場所へと向かう。


「ふむ・・これにしてみるかな」


颯天が一通り見て決めたのは魔物の討伐依頼だった。そしてその足で受付嬢のいるカウンターへと向かう。


「ようこそいらっしゃいました、冒険者ギルドアスカロ王国支部・・・ええっ!あ、あなたは・・・」


「ああ、少し静かに「ハヤテさん!?」ああ、聞いてない」


 受付嬢が大きな声で俺の名前を言ったおかげで俺に視線が集まる。そりゃ名前を出せば気が付かれるのは当たり前だった。せっかく面倒ごとに会いたくないから存在感を薄くしたのに、意味が全くなかった。周りに気が付かれては幾ら気配を薄くしても意味はない。仕方がないので、話をこのまま続けることにする。


「ハッ!申し訳ございません。つい驚いて大声でお名前を言ってしまいました‥‥」


「ああ、もういいよ」


自覚はしていたようなので、颯天は許すことにしたが、奥にいる先輩受付嬢の視線が目の前に受付嬢へと注がれ、目の前の受付嬢の顔に大量の汗が流れていくのが見えた。


(脱水にならないのかな?)


そんな下らないことを颯天は思いながら、話を進めるために口火を切る。


「今日はこの依頼を受けたいんだが、いいか?」


「あ、お預かりします。・・・・あの、この部分にパーティで臨むようにと書かれていますが・・・どうされます?」


「あ、そうなのか?じゃあ一人で」


「ですよね~・・・はぁ」


何か変なことを言ったんだろうか、颯天は改めて自分が言った言葉を反芻してみるがおかしいところは見つからなかった。


(何かおかしい事でも行っただろうか?)


不思議に思っていたことが顔に出ていたのか受付嬢は頭痛をこらえるかのように顔をしかめた。


「あのですね、今回ハヤテさんが受けたいと言われた依頼なんですが、確かに銀ランクなら受けることも、もちろん一人でも受ける事も可能ですが、討伐が困難なためにパーティーを組むようにと言われているのですが」


「へえ、そうなんだ。でも俺には必要がない、それに腕試しにしかならないと思うからな。試しに聞くけどそんなに強いのか」


 受付嬢は俺の言葉を聞いて信じられないとばかりに顔を見つめてきたので、俺も受付嬢の顔を見つめ返す。すると受付嬢の顔が赤く染まり、視線を逸らした。


(よし勝った‼)


先ほど無駄に注目を集めてくれた仕返しに颯天は内心でそんなことを考え一方の受付嬢はと言っていると


(どうしよう、かっこいい・・・)


一方の颯天に見つめられた受付嬢は魅了—チャームにでもかかったのだろうか、颯天に早くも魅了されていたが受付嬢の背中に複数の嫉妬の視線が注がれているのを受付嬢は感じたのか体がブルッと震え、額に汗が流れている。


「どうしたか?」


そこに視線が彼女に向いているのに颯天は気づいていたが、何も知らないと装いながら話しかける。


「い、いえ、何でもありません。」


颯天がが心配そうに声をかけると視線が途切れ、目の前の受付嬢は額の汗をぬぐう仕草をした後、俺が目の前にいることを思い出したようだ。


「あ、はい、申し訳ありませんでした。では一応ですがクエストの説明をさせていただきますね」


プロだ!この受付嬢はプロ根性を持ている!!

そんなことを颯天が思っているとは露知らず受付嬢のお姉さん、後から聞いたが颯天より三つ年上で、名前をジェシカと言うらしい。が説明を始めた。


「まず冒険者ギルドでは様々なクエストがあります。今回ハヤテさんが受けられるのは魔物の討伐し、その魔物の特徴となる部分を剥ぎ取り、こちらに提示していただくとクエストは達成となります。簡単に説明しましたが、ご理解できましたでしょうか?」


「ああ、行程としては出発→討伐→剥ぎ取り→剥ぎ取り部位をギルドに提示→依頼達成って感じだろ?」


「ええ、そのような理解でよろしいです。では今回討伐される魔物ですが、場所はこの町から南にあるミュールの森で、魔物の名前はミーティムドラゴンと呼ばれる、龍種です。この世界ではあまり人のいる範囲に入ってくることはないのですが、今回はミュールの森近くの村人の人がギルドに報告され、ギルドが調査し、存在を確認したので依頼が出たという感じです。報酬は金貨三十枚。失敗された場合はペナルティとして銀貨一枚を支払うことになります。あまりに依頼の失敗がありますと現ランクからの降格となりますのでご注意ください。説明は以上の説明になりますが、何かご質問はありますか?」


「気になったんだが、それだと失敗したと言わない人が出てくるんじゃないのか?」


「そのあたりは大丈夫です。そのような行為が以前数度あったので、ギルドでは報告を行わない場合はランク、冒険者の資格を剝奪、停止して、町中でその冒険者は指名手配されるようになっています。捕まった冒険者が謝罪金として金貨一枚をギルドに納付すると最下位ランクの白からスタートとなります」


颯天の疑問はもっともだったが、そのあたりはギルドも対策を立てているらしい。それにしても思いの外思い罰だった。


「なるほど、分かった。じゃあ、すまんがランクについて、あと今回の依頼の達成となる条件は何なんだ?」


「そうですね、ではまずランクについて説明させていただきます。まず冒険者登録を終えた冒険者に白色の指輪が配布されます。ランクはその指輪の色で分けられます。まず一番下が白、次に青、次に紫、ここまでの色が新米と呼ばれる冒険者の色です。そして銅、黒、銀が中級冒険者の証です。上級冒険者は金、さらにその上のランクの冒険者となると白銀色となります。またランクによってギルド関連の施設で割引が効きます。新米では一割、中級では三割、上級であれば五割、最上級の白銀となれば八割引なります。」


(てことはもし一つ百円の物があったとして、それが八十円も安くなるってことか!白銀、超ビップ待遇じゃないか?)


「もちろん白銀は誰でもなれるわけでなく、この大陸にある各支部のギルド長と本部のギルド長老により厳正に厳正を重ねて初めてなれるランクなのです。では続いて今回の依頼の達成条件なのですが、今回この依頼ではこの世界に召喚された勇者様たちが宮廷騎士団の方と冒険者について、また魔物についてを知られる為と実戦を通して行いたいとのことで王宮より打診がありまして、この依頼ではドラゴンの討伐または撃退が達成条件となります。またできたらでよろしいのですが、討伐、撃退の証としてドラゴンが落とした鱗を回収していただけると助かります。」


「ドラゴンの・・・鱗、つまり竜鱗か」


「はい、通常ドラゴンの鱗などは滅多に発見できないのですが、最近その鱗の分析のための数が減少してりまして、もし持ち帰られたならば、鱗一枚につき銀貨一枚を追加報酬としてギルドが買い取ります。では以以上説明を終わりますが、改めて聞きますがこの依頼を受けられますか?」


颯天の答えは初めから決まっていた。


「ああ、その依頼を受ける」


また颯天はこんなにも早くクラスメイト達の姿を見る事が出来るとは思っていなかったので、僥倖とばかりに受けることにした。


(さて、思いのほか早く再会する事になるとは思わなかったが、あいつらがどの程度成長したか見込みがあるかを知るいいチャンスだ。それに心が折れていないかどうかもな)


颯天はあの宴会の席で起こった出来事で心が折れていないかどうかも確かめようと決めた。


「ではここに指輪をかざしてください。・・・はい承認しました。では明日の朝、町の正門にてお待ちください。ではよい冒険を」


「ああ」


ジェシカに颯天は返事を返し、ギルドを出るとそのまま宿に戻った。そして部屋で必要なモノを吟味しているといつの間にか昼になっていたので、一回の食堂でニアと一緒に食事を取り、残りの半日はポーチの中にある物の整理、武器、防具などの装備品の整備に当て、また密かに錬金術の練習も開始した。


(明日が、楽しみだな)


 颯天は『黒鴉』を砥石で研ぎながら、まだ分かれて数日しかたっていない親友たちのこと、残った伏見の事を思っていた。そして時間は過ぎ、颯天は夕食を取り、その日は早めに就寝した。


次も二週間以内に投稿する予定です。

次はいよいよ分かれていたクラスメイト達、もとい勇者達との顔を隠しての再会です。

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