2
珍しく我が家に来訪者が来た。
この家を忌み嫌って誰も近づかなかったのに。
人と会うのは不安で怖いがこの国の大臣からの使いで断るわけにもいかず、大臣からの伝令書を受け取った。
ーこの国の貴族女性全員に告ぐ、この度かの帝国の皇帝陛下の花嫁をこの国の女性から選別し、嫁いでもらうこととなった。この国で生まれた15から30までの女性で未婚の女性は期日までに城へ参られよー
書面にはそう書いてあった…
この国で15から30の未婚の貴族女性は私以外にいないじゃないか…
この国の女性は早々に婚約して結婚をする…
離婚制度はないため離婚をするわけにもいかないが女性は差し出さなければ帝国に潰される。
あぁ、そういうことか…体のいい厄介払いったことだよね…
帝国に女性を差し出すのは無条件で差し出さなければこの国は潰される。
でも、この国の女性は各国にいい条件や結納金で嫁いでもらう方が利益になる。
帝国には私を嫁がせれば不幸体質の行き遅れを厄介払いできてそして帝国の要求にも答えられるってわけね……
私は誰一人傷つけずに一人で生涯を終えたかっただけなのに本当にこの世界は不条理ね。
どうせ帝国に嫁いでも私のことがバレて私と国諸共抹殺されるだけなのに。
けれど私にはどうすることも出来ずにとうとう嫁ぐ日まできてしまった。
今日は城からの呼び出しがあり城まできた。
初めて見るこの国の若き王様、ジーニアス様が目の前にいる。
「お初にお目にかかります。レリア=ランダルンと申します。この度は私めの婚姻及び手厚いおもてなし誠に感謝致します。」
久しぶりに帰属の挨拶をしたため不安になってチラリとジーニアス様のお顔を拝見すると案の定私を軽蔑の眼差しで見ていた。
「礼も名乗りもいらん。そなたをここに使わせたのは忠告のためだ。」
「忠告のためと言いますと?」
「明日は帝国に嫁ぐ日であろう?本当にいい厄介払いができて嬉しく思う。しかしな?皇帝にお前のことを全て話してある。お前の不幸体質のことだよ。皇帝はそれでもいいという物好きでだな?お前にはいい厄介払いとその不幸体質で帝国も潰れれば一石二鳥だ。お前のその体質で帝国が潰れればまたお前をこの国に帰してやってもいいと思うっている。精々精進しろよ?」
「はい…かしこまりました…」
この国はイかれている…あのジーニアス様が王位を継承なされてからこの国の秩序はめちゃくちゃだ…
だが私が逆らえるはずもなく私は帝国へと嫁いだ。