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流れ星  作者: 沖田さくら
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第6話 運命の日、幕を下ろす

 あれから、願い事をし終わったあたしとしゅんは、しゅんの家に戻った。少しだけ話をしてから、その日は寝たの。


 次の日。

 今日はお出かけするの♪ 昨日寝る前、しゅんがお店巡りしようって言ったから、今日はお出かけ。しゅんの家の近くのお店を紹介してくれるの。

 しゅんの家の近くには、あんまり目につかない路地とかにイイお店がたくさんあるみたいなんだ。

「最初は何処行くの?」あたしは訊く。

「大通り入って近くにある路地の店かな」すぐにしゅんが答えてくれる。

 玄関でそんな話をして、あたしとしゅんは家を出る。

 大通りへはあたしの家と反対の方向へ行く。しゅんの家からほんの数十m歩いたら、もう大通りに出る。その大通りを右に曲がって数m歩くと、右側に路地がある。その路地に入るとお店があるみたい。

 路地は思っていた程狭くなくて、大人が並んで3人くらい歩けるくらいの道幅。

 そんな建物と建物の間にお店あって、お客さん入るの? って思うけど、意外と人気らしくて、結構人がいる。

「うわぁ、凄い」あたしは目を輝かせながらそう言う。

 本当に凄いお店だったから。こんなところにあってもいいのか? って思うくらい、可愛いものや綺麗なものがたくさん置いてある。ちなみにアクセサリー屋。手作りのものもある。でもそれは手作りとは思えないくらいで。細かいところまでキッチリ作られてる。

 このお店に入って、今日行くお店は、きっと何処のお店もこのお店みたいに凄いお店なんだろうな、とあたしは思った。

 あたしはそのお店で、一つの可愛いハートのネックレスを買ったの。

 30分くらいでそのお店を出て次のお店へ。そんな風に、1件につき約30分くらいお店にいて何かひとつ物を買った。

 その繰り返しで、5件目のお店を出たときのこと。

 あたしらは道路の反対側に行こうと、信号が青に変わるのを待っていた。数分で信号は青に変わり、あたしとしゅんは横断歩道を渡ろうとする。

 先に横断歩道を渡りだしたのは、しゅん。

「あ、しゅん、危ない!」あたしはしゅんにむかって叫ぶ。

 赤信号なのにも関わらず、一台の車が猛スピードで突っ込んできたの。

 ドン! そんな感じの、鈍い音と共に、しゅんは車に轢かれた。

「しゅーーーん!」

 あたしはそう叫んで、しゅんの元へ駆け寄り、しゅんを抱き起こす。

「しゅん! しゅん! しゅんってば!」あたしはしゅんの名前を叫び続ける。

「なぎ、さ……?」しゅんが目を開け、口を開く。

「しゅん!」

「渚、聞け。俺はもうすぐ、逝っちまうと思う。なんとなく、わかるんだ……。だから、伝えたいことが、ある」

「喋らないで! 死なないよ、しゅんは死なない!」あたしは大粒の涙を零しながらしゅんに言う。

「渚に名前を呼ばれて、意識が遠退きそうに、なったとき、聞こえたんだ。『いつか俺に似た人が、渚の前に現れる』って。本当かはわかんねぇ、けど、俺のことは、俺が逝ったら、忘れろ。それで俺は、本当に死ぬから……」

「そんなのやだよ! しゅんを忘れるなんて出来ない!」

「忘れろ。時間をかけてでも、いいから……」

「嫌だ! 忘れろなんて言うなら逝かないで!」

 周りには沢山の野次馬があたしとしゅんを見てる。だけどあたしは気にせずに叫び続ける。

「なぁ、渚。愛してる……」しゅんは最期にそう言って、逝ってしまった

「しゅん! 目を開けて! あたしを置いて逝かないでよ! しゅん!」

 浜岡 瞬二、14歳、10月26日、交通事故死。あたしに“愛してる”そう言って、安らかに永眠した。


 ねぇしゅん、聞いて? あたし、しゅんの分まで精一杯、一生懸命生きるからね。あたしもしゅんのこと愛してる。今までありがとう。さよならは、言わない。またいつか、天国で会えるって信じてるから。

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