第3話 あたしの家を出て、道程を歩く
――ガチャッ
「ただいま〜っ!」あたしはいつもより少し大きめの声で、家の扉を開けて中に入りながらそう言う。
「おかえり」台所から、夕食の用意をしながらお母さんは言う。
「お母さん、今日友達の家に泊まってくる。友達も友達のお母さんも全然OKしてるから。あ、あと明日買い物行ってくるからお金ちょうだい!」あたしは台所にいるお母さんに、靴を脱いでリビングを横切りながらそう言う。
それから、お母さんの返事も聞かずにさっさと自分の部屋に行ってしまった。
あたしは、部屋に入ると鞄をいつもの場所――勉強机の横だよ――にかけて、制服をベッドの上に脱ぎ散らかす。それからタンスの中から、秋服一番の沖にいるを出してきて、さっさと着替える。
着替え終わると、少し大きめの鞄を押入れの中から出してきて、開けっ放しにしておいたタンスから秋服で二番目にお気に入りの服を丁寧に入れる。そのあとからベッドの枕元に置いてある携帯を撮って鞄の中に入れて、勉強机の上から3段目の田なの中にある財布を入れる。パジャマを入れてない、と財布を入れたあとで気づき、ベッドの上に綺麗にたたんで置いてある秋用の少し薄めの長袖長ズボンのパジャマも鞄の中に入れる。2回も鞄の中身をチェックして、あたしは鞄のファスナーを開けたままリビングにおりる。
「2000円、机の上に置いておいたから」あたしがリビングの扉を開けると、それに気づいたお母さんが、あたしにそう言う。
「ありがと」そう言ってあたしは机の近くに行く。
机の上には、お母さんの言った通り2000円が置かれていた。だからあがしは、鞄の中から財布を取り出して2000円を財布の中に入れる。
――ピーンポーン
リビングにおりてきて、リビングで待つこと約10分。しゅんが来た。
あたしは荷物を持って玄関に行き、扉を開ける。そこにはやっぱりしゅんが立っていた。
「よっ」右手をあげてしゅんはそう言う。
「来てくれてありがと」あたしはしゅんに言う。
そのあとに、行ってきます、と言って家を後にした。
「先に俺ん家行こうか。荷物邪魔だろ?」しゅんはそう言う。
「うん、そだね」
そのあとしゅんが、荷物持つよ、と言ってくれたから、あたしは荷物を持ってもらうことにした。
あたしの家からしゅんの家までは、結構距離がある。学校のちょっと向こう辺りがあたしの家としゅんの家の中間地点。学校に行くのには、15分くらいかかる。だから、歩いていけば――今歩いてるんだけど―30分もかかる。
だけど、しゅんと喋りながら歩いていたら、30分はあっと言うまに過ぎていって、しゅんの家についた。それからしゅんの部屋に荷物を置き、夜まで話をしていた。