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流れ星  作者: 沖田さくら
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第2話 10月25日

 そう。あたしの彼氏、しゅんが死んだのは、3年前のあの日のこと。流れ星を見に行った次の日。


「なぁ、流れ星見に行かねぇ?」突然しゅんは言った。

「どうしたの? 急に。願い事でもするの?」驚いたあたしはそう言う。

 そうは言ったけど、実はあたしも流れ星は見てみたい。今まで、一度も見たことがないから。家族に頼んでも、また今度ね、そう言っていつまで経っても連れて行ってくれない。

「1回見てみたいな、って思ってさ」

 そう言った言葉に、あたしはまた驚いた。しゅんは、流れ星を見たことがあると思っていたから。よく、しゅんは流れ星の話をしてくれる。すっげぇ綺麗なんだぜ、って。

「いつ行く?」

「今日」あたしが訊いたら、しゅんは即答する。

 今日かぁ。今日って金曜日だよね。ならいいや。お母さんも許してくれるだろうし。

「いいよ。何時に何処で待ち合わせする?」

「今日、俺が帰ったら用意してすぐ渚の家に迎えに行く。だから、用意して待っててくれ」

「分かった。持ち物って何がいる?」

 あたしがそう言ったとき、風が吹いた。少し冷たいけれど、気持ちのいい風。

 今あたしとしゅんがいるのは屋上。サボリじゃないよ、もう放課後だから。部活は入ってないんだ。あたしもしゅんも。

「携帯と財布と、パジャマと着替えくらいでいいぜ。今日と明日は家に誰もいねぇんだ。だから、泊まってけよ」しゅんは少し照れくさそうに言う。

「わかった。でもいいの? 泊まっても……」

「いいから泊まってけ」やっぱり照れくさそうに言う。

「ありがと。お言葉に甘えさせていただきます♪ あ、あたしの家は覚えてるよね?」

「あぁ。忘れるわけねーだろ」

 まだ1回しかあたしの家に来たことないのに……。とあたしは少し感動していた。バカらしいけどね。

 それからあたしとしゅんは、少しだけ屋上で喋って屋上をあとにした。校門のところで約束を確認していて、あたしとしゅんは違う道を歩き出す。あたしは校門を出てから左へ、しゅんは右へと曲がって帰る。あたしとしゅんの家は正反対の方向にあるから。

 だからあたしは、少し残念に思う。せっかく付き合ってるのに、途中まですら一緒に帰れないし、途中からすら一緒に登校出来ないから。別に、学校出もずっと一緒にいるしいいんだけど。それでも少し淋しい感じがするんだ。しゅんも同じ気持ちだ、って前に言ってた。だから、少し安心したの。

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