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8. 打ち上げ その2

「ちょっと、デザート取って来るわ。」


そう言い残してサキが行ってしまったので二人になった。さっき桃ちゃんが変なこと言ってたからちょっと意識しちゃうかも…。


「ちーちゃんさぁ…さっき…」


じっとこっちを見つめている目の前の男の子は、昔から知っているはずのなっちゃんだけど…


「なっちゃん今日凄かったね!最後のシュート、あれって3ポイントなんでしょ?初めて見た!」


早まる心臓の音を遮る様に質問した。


「うん、そうだよ。この試合のために練習したんだ。」


「そっかぁ、いっぱい頑張ったんだね。私すごく…」


ドキドキしちゃった…いつもなら普通に伝えるのに、なんだか今日はこの言葉を飲み込んだ。


「ん?何?」


「えっと、ほら、感心しちゃった!今日でまたファンが増えちゃったんじゃない?」


「あぁ、そうかも。でもね、」


きゅっと、テーブルの上で手を握られてなっちゃんが静かに言った。


「俺はちーちゃんが見にきてくれるだけで嬉しいよ?」


その瞬間、体温が急上昇して頭が真っ白になった。


「もうっ、捺津くん。勝手に他のテーブル行かないでよ〜!」


パッと手をほどいて声の方向を見るとさっきなっちゃんの周りにいた女子がいた。


「あぁ、村上さん。」


明らかに誰よ、あんた。という顔で村上さんがこちらを見ていた。


「あ、今晩は。一ノ瀬千里です。」


「俺らと同じ中学に通ってた先輩だよ。」


「あぁ、見たことあるかも。いつも神田先輩と居ましたよね?」


「サキのこと知ってるの?今ドリンク取りに行ってるけど、来てるよ?」


「いや、有名だから知ってるだけです。」


「そっか…。」


なんかさっきからこの子睨んでは無いんだけど、睨まれてる様な気がする。


「村上さん、皆の写真撮ったの?」


「うん、一通りね。」


「じゃあさ、ちーちゃんと撮ってくれる?」


「「えっ?」」


村上さんと私の声が重なった。


「今日の記念に、ね?」


「えっと、」


ちらりと村上さんを見るとかなり怖い顔をしていた。


「ほら、ちーちゃん。こっち来て。村上さん、ちゃんと撮ってね?」


なっちゃんにお願いされて嫌々だけど渋々という感じに村上さんがカメラを構えた。


シャッターを押す瞬間グッと強い力で引き寄せられたので、驚いてなっちゃんの顔を見上げた。目が合うとちょっといたずらっぽく笑うなっちゃんがいて、何だか言葉に表せない様な気持ちになった。


それから打ち上げが終わって、家に帰る間もちょっと気まずい様な気がしたけど、なっちゃんは全く気にしてない様にニコニコ笑っていた。


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