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7. 打ち上げ その1

「神田先輩、良かったらこっちどうぞ?」


一見、ちょっと軽そうなバスケ部の男の子が声をかけてきた。というかさすがサキ…その名前は後輩にまで知れ渡ってるのか。


「一ノ瀬先輩も、どうぞ?」


「えっ、私の事も知ってるの?」


思わず聞き返すと、


一瞬目を丸くしたが、にっこりと笑って


「当たり前じゃないですか、知ってますよ。あ、俺新高って言います。」


と返された。


桃ちゃんはヨッシーの元へと行ってしまったので、サキと二人で新高くんのテーブルにつくことにした。というかもうサキがお皿をテーブルに置いてさっさと座っていた。


「ところでサキの事はともかくどうして私の名前わかったの?」


とお皿に山盛りにして戻ってきた新高くんに聞いてみた。


「えっと、良樹と校門の所で朝によく挨拶してたじゃないですか。」


「あぁ、そうね。二人とも生活委員だったものね。結構目立つものねぇ、あれ。」


などと、サキが言った。


「それで、知って…良樹に聞いたんですよ。名前。」


「ヨッシーと仲良いの?」


「そうですね、クラスでも仲良い方だと思いますよ。まぁ、今年ははクラス違いますけど。」


「こいつ、しばらく良樹に名前教えてもらえなくて拗ねてたんですよ〜?」


隣にいた男の子が茶化す様に、新高くんを肘でつついた。


「おいっ!お前はちょっとだまっとけよ。」


新高くんがぱしんと相方の頭を軽く叩く。


「?別に私に直接聞けばよかったのに。挨拶運動の時は、いつも皆挨拶だけしか返してくれなくて、結構暇してたから。」


「えっ!あっ…えっと…そうっすね。そのなんか聞きづらくて。」


「まぁ、上級生には話しかけづらいわよね。こんな顔してても、一応年上だしねぇ。」


「むぅ…」


サキの言葉に拗ねていると、慌てて新高くんのフォローが入った。


「いやっ、先輩はその、大人っぽいですよ!俺、驚きましたから…その、今日も綺麗だなって思いましたし…」


茶色い髪をかきながら、少しだけ赤くなった新高くんが俯いて言った。ちゃらけて見えて実はシャイボーイかも…とちょっと萌えた。


「ありがとう、嬉しいよ。」


ニコッと笑うと新高くんがまた少し赤くなった。


「あ、あのっ!先輩、ケータ…イ…」


「ちーちゃん、ここに居たの?」


横からなっちゃんの声がした。


「あ!なっちゃん。お疲れ様!大活躍だったね。」


「うん、ありがとう。ちーちゃんが居たおかげかな?」


「新高達、さっき村上さんが呼んでたよ?写真撮るんだって。」


「オッケー、じゃあ先輩、ちょっと行ってきますね?」


「うん、いってらっしゃい。あ、新高くん、さっき何か…」


言いかけてなかった?そう言い切る前に新高くんが勢い良く


「いやっ!大丈夫です。何でも無いんでっ!その、いっぱい食べて行ってくださいね?今日は顧問の奢りなんで。」


と言葉を重ねてきた。


新高くんの座っていた席になっちゃをがストンと座った。


「ナツ、顔…」


そうサキが小さく呟いたからなっちゃんの方を見るとにっこりと笑い返された。




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