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38. バレンタイン

バレンタイン当日、午前中にサキの家に向かった。玄関ではサキが出迎えてくれた。


「はいっ、結構上手くできたよ!食べる前にフォンダショコラは温めてね?あとお昼にサンドイッチ作ってきたよ!一緒に食べよう?」


「ありがとう、ちぃ。料理上手な彼女ってナツが羨ましいわね。」


「まっまだ彼女じゃないよっ!そうなる予定だけど…。」


「ふふっ、良かったわね?」


「うん…!」


二人で早めのランチをとりながら、なっちゃんの事を色々話した。サキはサキで私もあの子が一番で受かったら考えてあげようかしら?なんて言ったからそれは無理でしょっと二人で笑った。でも脈はありそうだよ、草太っ!


「あ、そろそろ帰るね?」


壁にかかった時計を見てそろそろ家に帰らないと準備が間に合わないかな?


「お菓子ありがとう。草太もそろそろ来るしあの子にもあげるわね?」


「うん、そう思って多めに持ってきたから二人で食べてね!」


「ちぃも、頑張って?」


「うん、頑張るよ!」


サキの家を後にして自宅へ戻って準備をした。


クッキーとチョコはラッピングして、フォンダショコラだけはなっちゃんの家で盛り付けさせてもらおうっと。


よしっ、準備完了っ!あと一時間か〜っ。


ソファの上でソワソワとなんだか落ち着かない。あー!もうっ!よし、早めに行ってしまおう!


勢いよく荷物を持ってなっちゃんの家に向かった。


チャイムを鳴らすとなっちゃんが出てきた。


「あれ、ちいちゃん?早かったね?」


一瞬面倒くさそうに出てきたなっちゃんに焦ったけど直ぐに笑顔で迎えてくれた。


「あ、うん、ごめんね?やっぱり早かった?」


「良いよ、丁度キリのいいところだったし。上がって?」


優しく微笑んで、腰に手を回してエスコートしてくれる彼はやっぱり王子様っぽいな、と思った。


「うんっ!あ、キッチン少し借りてもいい?あと、部屋で待ってて?出来たら持って行くから!」


「うん、楽しみにしてるね。」


そう言って私に追い出されるようになっちゃんは二階に上がって行った。だって折角だしやっぱり驚いて欲しいもんね。


「さてっ、盛り付けしようっと!」


出来上がったお皿を見て、お店みたい!でもちょっと気合入りすぎ?と思ったけどまぁ良いよね!女の子と一大イベントだし!そう納得した。


なっちゃんの部屋のドアは両手が塞がっていたから「開けて?」と頼んだ。


「ジャーン!はいっ、ハッピーバレンタイン!どうかな?」


ローテーブルに置かれたお菓子を目の前になっちゃんが笑顔で答えた。


「すごいよ、ちいちゃん。お店開けるんじゃない?」


そんな嬉しい事をいってくれたなっちゃんに早く食べて欲しくて、はいっ、あーん!と一口分とったフォークを差し出した。


とろけたチョコとスポンジを口に入れてなっちゃんが美味しいよと笑った。


「えへへっ!良かったぁ〜!じゃあ私もいただきますっ!」


あぁ、このとろけたチョコとスポンジ…美味しすぎかも。バナナで作ったアイスも美味しい…チョコにはイチゴとかじゃなくてバナナの方が美味しい気がするんだよね〜。


久しぶりになっちゃんにもこうやって会えるし…かなり幸せかも。


目の前のなっちゃんが彼氏(仮)だなんて本当幸せすぎかも…なんて考えているとなっちゃんが


「俺ってすごい幸せかも」


なんて言ったから笑ってしまった。


「ふふっ、本当?」


「本当だよ?大好きな彼女、あ、まだだけど。ちいちゃんが目の前で笑って、俺の為にこうやってバレンタインのチョコくれて…。」


こっちを見つめて話すなっちゃんの顔がどんどん近づいてくる。


「それにさ…」


思わずキスされるかと思って目を瞑ると、ペロリと唇の横を舐められた。


「料理がめちゃめちゃ上手だし…。」


キスじゃなかった!なっ、舐められた⁉︎熱い顔を彼に向けると、なっちゃんは笑っていた。


「またキス…すると思った?付き合うまでは、しないつもり…。でも、今のちいちゃんにしたら…すごい甘くて美味しそう。」


再び顔を近づけようとするなっちゃんからどうにか逃げようと抵抗する。


「…逃がさないよ?」


「⁉︎」


こっちを見つめる瞳も甘く囁く声も…フェロモンっ!フェロモン出すぎっ!色気ダダ漏れすぎるよっ!こ、こんなのっ


「な…なっちゃんじゃないみたい…!」


「ナツだよ?ちいちゃんの可愛がってた。いつもの優しい俺も、今みたいな俺もどっちもちさとの事が好きなナツだよ。」


この色気ダダ漏れのなっちゃんに口説かれて落ちない人間なんて世の中にいないんじゃないんだろうか…本気でそう思ってしまう。


流されてしまいたい…でもまだ相手は15歳っ!犯罪者になりたくないっ!そんな思いでなっちゃんに抵抗する。


「だっ、だめっ!ダメ〜っ!未成年淫行罪とかでっ!私が捕まっちゃうよっ!!」


そう叫んだ瞬間なっちゃんは大爆笑して「ちいちゃん本当面白すぎだよ」といつもの優しい顔で笑った。


その後は、普通に色気もない爽やかな青年とおしゃべりして、別れた。


別れ際に、「それは相手が成人だった場合で未成年同士は全く問題がないよ?」と言われた事はスルーする事にした。


なんか、なっちゃん…慣れてる⁉︎


あと一話!次回最終回です!

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