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31. スケート

「なっちゃんスケート上手いね。。。」


「そう?ありがとう。」


「上手すぎだよ…めちゃめちゃスイスイ滑ってる。は、初めてとかいってたのにー!」


「初めてだよ?」


「ズルい…」


「えっ?」


「ズルい!」


「そ、そんな事…」


少し困った顔でなっちゃんが側に来る。


「だって、最初の10分くらいは私が手持って教えてたのにっ!手を離した途端すいすい滑れるようになるなんてズルい!」


「ちいちゃんの教え方が良かったんだよ?」


「むぅー!」


何でも1人でこなしてしまうなっちゃんに嫉妬と少しさみしい気持ちを向けてしまう。勉強だって、殆ど教える事ないし…


「ほら、ちいちゃん?一緒に滑ろう?」


伸ばされた手は、一人で滑ろうと思って押しのけた。


「あっ、ちいちゃんっ!」


丁度その時自分もだがこちらを見ずに勢いよく滑ってくる高校生らしき人が視線の隅にうつった。


ぶつかるっ!そう思ったら強い力に引っ張られてふんわりと後ろから抱きしめられた。


「あ…」


後ろには少し怖い顔のなっちゃんがいた。


「ちいちゃんっ!危ないだろっ?」


本気で心配してくれるなっちゃんにさっきまでの感情は消えて申し訳ない気持ちになった。


「ごめんね、ありがとう…。」


「ったく俺がいなかったらぶつかってたよ?心臓止まりそうになった。」


「う、うん。本当ごめんね?」


「ほら、一緒に滑ろう?」


今度は差し出された手をとり一緒に滑った。


「はぁ〜、今日はいっぱい滑ったね〜!」


「そうだね。」


「パスタも美味しかったね!」


「本当?良かった。」


夕飯にパスタを食べて街のイルミネーションを見ながらなっちゃんと家路に向かう。やっぱりサキのいうような展開はなかったなぁ、なんて思い出してクスッと笑ってしまう。


「嬉しそうだね?」


「えっ、うん!楽しかったし、クリスマスだし少し浮かれてるのかも?」


「そうだね、周りの人も楽しそうだしね。」


「あっ、でもケーキ食べ忘れたっ!」


丁度サンタのおじさんがケーキを売っているのが見えて少し大きい声が出てしまった。


「あははっ!じゃあ、小さいの買おうか?うちで一緒に食べよ?」


「あっ、賛成〜!」


二人で食べ切れそうな小さなサンタと周りにイチゴとカラフルな砂糖菓子が乗ったケーキを片手になっちゃんの家に向かった。


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