3. 志望校
「あ、ちーちゃん。俺、ちーちゃんの学校受けるよ。」
夕飯を食べ終わった後に
「えっ?そうなの?」
「うん。だからさ、これから空いてる時、ちょっと勉強みてもらってもいいかな?」
「私で良かったら、もちろん良いよ?あっ、どうする?なっちゃんの家だと大変だから…これから私の部屋でしようよ。次から夕飯の時に勉強セットもって来ておいてね?」
「ありがとう、ちーちゃん。」
なんだかちょっと頼られて先輩という気がして嬉しかった。
「あっ、早速今日する?」
「やめとくよ、参考書とかもまだ用意してないし。」
「もってないの?なら私のあげるよ。結構持ってるからちょっと来て?」
グイッとあまり乗り気じゃ無いなっちゃんの腕を引っ張った。
「ほーら、なっちゃん。行くよ?」
階段を上がって、中々部屋に入ろうとしないなっちゃんの腕を両手でグイグイと引っ張ると、軽くため息を付いた。
「他の人にはこういうことしないでね。」
「えっ?何で?」
「あんまり近づくとオオカミに食べられちゃうから。」
「オオカミ?この辺出るとしても鹿でしょ?」
「いや、そうだけど…あのね、俺は男でちーちゃんは女の子でしょ?」
「だから?」
「はぁ、仕方が無いなぁ。まぁ、いいか…今は…。」
「?」
「なんでも無いよ。それより参考書本当いっぱいあるね?」
「でしょ?なんか受験の時にはりきって買っちゃったの。ここにあるので良かったら使ってね?」
「ありがとう、ちーちゃん。」
その後、今度簡単なテストをして勉強範囲をしぼっていくことに決めた。