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26. 秋の帰り道(ナツ視点)

「ちいちゃん…?」


カラコロとこちらへ転がった缶を見ていたちさとの目線と俺の目線が重なった。


ずっと彼女だけを見てきた。彼女にとっても俺が特別な感情を抱いている事は表現してきたつもりだった。だけど今…目の前であの男にあっさりと抱き寄せられていた。


「と、当麻くんっ。は、離して…」


「あ、悪い…。」


「…。」


「じゃあ、また明日な。」


ポンと彼女の頭に手をのせて当麻とかいう男が去って行った。去り際に、渡さねーからと声に出さずに言ったのは気のせいじゃないと思う。


「今の、当麻君だっけ…?付き合ってるの?」


一応違うだろうが千里に聞いておく。


「えっ!つっ…付き合ってないよっ!」


「そうなの?ごめんね、ならもっと早く助けた方が良かった?」


「っ!…捺っちゃん…いつから見てたの?」


「告白されてた辺りからかな…」


かーっと赤くなった顔をしたを向いて隠す彼女にそっと近づく。


「ごめんね。なんか、盗み見するつもりじゃ無かったんだけど…」


いつの間にか追い越した背を屈めて、彼女の顔を覗き込む。


「本当、ごめんね?」


目を合わせて精一杯謝る…



…フリをした。本当はわざとだ。学校帰りに千里が何やら男と一緒に帰るのが見えたから普通に後ろをついて行った。


すぐに声をかけなかったのは、二人が付き合ってるのか、ちさとの気持ちはどうなのかを判断するためだった。


「あの時牽制したつもりだったけど…」


「えっ?なに?」


「ううん、気にしないで。ほら、行こう?今晩はきっとカレーだね。」


「…うん。」


落ちた缶を拾って逆の手を差し出すと、ちゃんと手を伸ばしてくれた。きっとなんにも考えずにただ繋いでるんだろうなぁ…そう少し残念に思いながら千里の家にお邪魔した。


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