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22. 文化祭 その2

「おぉおお〜!高校生が一杯だ!なんか大人だな!」


「…まぁ、そりゃ高校だしね。高校生が、いないと高校じゃないだろ。」


草太のテンションの高さは、まぁ想像してたけど…思ったよりもやっぱり差があるな、、高校生って。


校門から校舎まで屋台が出ていて、仮装した人がクラスの宣伝なんかをしていた。


「うわぁ〜!美味そう!クレープ美味そう!」


クレープの屋台に吸い込まれるように草太が近づいた。


「おぅっ!食べていけっ!俺らのクレープは美味いぞっ!」


少し離れた所から見ていると、草太も背は高いが、店の人は骨格も大人みたいにしっかりしていてやっぱり違うんだなと思った。


「どれも美味そう〜!何にすっかな〜?やっぱチョコバナナかな〜!おい、ナツ?こっち来いよ。お前は何頼む?」


「あ〜、そうだね。ツナサラダかな〜…」


草太に呼ばれて店に近づくと、女子が急に声を上げたから少し驚いた。


「きゃーっ!美少年だ〜っ!ねぇねぇ、君たち何処の高校?」


今日は土曜で制服を着ていない俺たちを、女子高生は高校生だと思ってくれたらしい。


「あ、いや…俺らまだ中学生で…」


妙に高い女子校生のテンションにさすがの草太も付いて行けずテンパっている…。


「中学生〜っ?最近の子って発育良いわね〜!何々?うちの高校受けたりするの?」


「あ、はい…。ら、来年、俺は落ちるかもだけど、こいつは受かります!」


「ちょっ、草太!」


ポンっと肩に手をのせた草太に、俺に話ふるなよっ!と突っ込みを入れつつも、顔は笑顔で答えた。


「一応第一志望なんです。受かったらお世話になります…えっと、先輩…?」


その瞬間またテンションの高い悲鳴に近い声が上がって耳を塞ぎたくなった。


「あーん、もう何で来年卒業なんだろ〜!こんな可愛い後輩欲しかった〜!」


「うるさいっ、お前ら仕事しろ!ほいっ、悪いな。」


すっと差し出された二つのクレープに財布を出そうとすると


「良いよ、こいつらうるさくて悪かったし。俺らのおごり!」


「ちょっ!あたし達も?」


女子高生が反発しそうになったので、慌てて断ろうとする。


「い、いえっ…その、悪いですから…。」


「やーん、もう良いわよ〜!あー、本当に可愛い〜!お姉さん達の奢り!」


そう言われてしまったので、草太と二人でお礼を言って校舎に向かった。


「やー、なんか凄かったな…」


「…そうだね。」


「いや、あの人たちもだけど…お前も。」


「…俺?」


「お前年上からもバンバン声かかるのな…。」


「…。」


校舎の下駄箱にたどり着くまでに、知らない一般の人や女子高生から声をかけられた。丁寧に断っても写真撮らせてだの、メアドを押し付けてきたりしたので途中草太の帽子を借りて深く被る羽目になった。


「なんか、前も言った気がするけど…お前本当にモテるんだな…。」


「…外見だけで来るんだよ。俺の事なんて知らないのにね。」


「ぐはっ…!一度でいいからそんなセリフ言ってみてぇ。」


「お前はバカだけど、俺から見たらお前の方が良い男だよ。」


本当にそう思ったから伝えただけなのに草太はまた少し茶化して大げさによろめく振りをした。


「ぐはっ…!またモテる男の発言っ…!」


「ハイハイ、ほらさっさと行くよ?」


「ちいちゃんちいちゃんって本当好きだな〜。」


「お前の愛しのサキちゃんもいるだろ。」


「そうだっ!サキちゃん!待ってろよ〜!」


バタバタと階段を駆け上がる草太はやっぱりバカだけど…いい奴だなと思った。

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