21. 文化祭 その1
「はぁ〜…ちょっと休憩〜!」
珍しくちいちゃんがため息と共に腕を天井に伸ばした。
「ちいちゃん、疲れてるね?」
「うん、ちょっとね。思ったよりも、なかなか進まなくて…。」
ちょっと本気で疲れてそうな様子に、心配になって確認した。
「ごめんね?俺の事も見てもらって、その、しばらく来ない方がいい?」
「えっ!そんな事なっちゃんは気にしなくていいよっ!むしろ一人の時の方が考えちゃうっていうか…」
あーもうーと頭を抱え込む彼女はどこか少しウキウキしてるように見えて疑問に思う。
「…なんのこと?勉強の話じゃないの?」
「うーん、実力テストのこともあるけど、それより文化祭のこと!」
「文化祭?そういえば何するの?」
「喫茶店する事になったんだけど準備が結構大変で…」
「へー、お菓子とか作るの?」
「うん、お菓子も考えないとだし…あとは衣装もかな?」
「衣装?」
「和風かメイドかで今揉めてて。。」
一瞬で着物姿とメイド姿のちさとを想像した。メイドは似合うだろうけど…
「…ちいちゃんの所一般の人も入れるんだよね?」
「あ、うん。そうだよ!だからなっちゃんも…その、来て…欲しいな?」
「もちろん行くよ。一応志望校だしね。あっ、多分草太も付いてくるけど。」
「良かった!楽しみにしててね?あっ、なっちゃんの好きな抹茶のシフォンケーキつくろうかな!」
「ありがとう。衣装はさ、トラブルを避けるって意味でも…和風な衣装の方が良いんじゃない?」
誰にも見せたくない…というかわざわざあの当麻とかいう男にそんな美味しい権利は渡したくない。本当にトラブルに巻き込まれるのも避けたいし。
「あ、確かに…そうかも。皆んなに相談してみる!あー、良かった。なんか、楽しみになってきちゃった!」
ニコニコとこっちの心配はよそにちさとは嬉しそうに、机に向かったけど…はぁ。早く同じ高校に通いたい…。




