20. 朝から晩まで
ダムっダムっ、手の平と床の間を行き来するボールの音が体育館に響く。
キュッキュッとリズム感のあるバッシュの音に、ネットをボールが潜る音。
「あっれー、ナツ早いね〜!」
「ん、あぁ、草太か。」
ちくしょう…イケメンって本当汗だくだろうが髪が乱れてようとかっこいいんだな…なんて少し恨めしく思ってしまう。
「自主練?今日午後からだよな?」
「んー、ちょっとね。」
言葉を濁すナツにすかさずツッコミを入れる。
「あっ!分かったー!どうせ、またちいちゃんだろ〜!欲求不満にでもなったかぁ〜?」
「…。」
黙って少し気まずそうにした親友の表情を俺は見逃さなかった。
「うわぁ〜当たり?やっらし〜!ちいちゃんも高校生だもんなぁ!昨日のアレはなんかヤバかったもんなぁ〜!顔真っ赤だし涙目っぽいしなんか想像…」
ヒュンっと顔の横を茶色い物体が横切り後ろの壁がすごい音を鳴らした。
あ…やべ…と思った時にはもう遅い…。
目の前の親友は、もの凄い殺気を放っている…。
「…何か想像でもした…?」
「えっ…いゃ…な、何も…。」
「…ちょっとでも想像してみろ、、マジでその記憶消えることしてあげるよ。」
「…し、しっ、してない!神に誓ってもいいっ!ちいちゃんで、エロいこととか俺マジで想像できないからっ!」
慌てて身の危険を感じて全力否定する。
その後、ダッシュ20本とか、1on1とか付き合わされて何故かジュースをおごる俺…。
はぁ…ナツのやつ…軽い冗談のつもりがありゃマジで欲求不満?
ちいちゃん…付き合ったら大変そうだな…なんて思いながらため息混じりに部活に励んだ。




