18. 花火大会 その2
「じゃあ、皆揃ったし行きましょうか。」
「えっ⁉︎皆って、この幼馴染君たちも?」
サキが当たり前の様になっちゃんや草太達を人数にカウントしたので、木野君が慌てて言った。
「当たり前じゃない。」
「えっ⁉︎…そ、そうなの…?」
ちらりと木野君がこちらを見たけど、どう答えようか迷って視線をズラした。
「えっと…あ、俺たち大丈夫だよ?その…なんか邪魔になりそうだったら…。」
なっちゃんが少しさみしそうに言ったので慌てて否定した。
「そ、そんな事ないっ!邪魔になんて思わないよっ、その…絶対に…!」
「…そっか、何か、嬉しい。ありがとう。」
「〜っ!!」
てっ、照れてる!なっちゃんが、ちょっと照れながらはにかんでる…!あー…可愛い…。
「じゃあ行きましょう。早くしないといい場所無くなるし。本当誰かのせいで遅れちゃったから…早く行かないと。」
木野君の方をじっと見てサキが相手に有無を言わせずに決めた。
カラコロとサキと並んで下駄を鳴らして歩く。
「そういや、サキって何で木野君と一緒に来たの?」
「あぁ、何故かうちを出たらいたのよ。」
「えっ?そうなの?あれ?もしかして…木野君ってサキの事…」
「さぁ、どうかしら。まぁ、家を突き止めたあたりとかはストーカーっぽいわよね。」
「えっ⁉︎ストーカーなの?」
クラスメイトの木野君の後ろ姿を見ながら引いた目で見ているとサキが笑った。
「ふふっ、冗談よ。」
「あっ、そうなんだ。良かった…もうどうやって接しようか迷っちゃったよぉ〜。」
「それよりちぃは?」
「えっ?」
「今日も王子様が変態から救い出してくれたんでしょ?」
「えっ?…あっ!いや、あれはそのっ…って当麻君は変態じゃないと思うよ?」
っていうかサキいつから見てたんだろう…?
「誰も当麻君が変態なんて一言も言ってないわよ?」
「あっ!えっと…ほら、その手掴まれた時…ちょっと実際焦っちゃったから、」
「何?あいつ手とか掴んで来たの?」
あれ…そこは見られてなかったのか…。
「えっ、あー。その、サキ達とは後で合流すれば良いから先に二人で行こうって…。」
「はぁ…まぁ、良かったわね。ナツが来て。」
「えっ、あ、うん…?」
「その浴衣、見せたかったんでしょ?ナツに。」
「えっ!」
「買うときニヤニヤしてたものね〜?」
「えっ!そっ、そんなにニヤニヤしてないっ!あと、その…」
ちらりと前を歩くなっちゃんに視線を寄せる。
「そ、その…別になっちゃんに、特別…見て欲しかった訳じゃない、、、と思う。」
「あら?そう?」
あっさりとした返事にしばらく俯いてから、少し言い直す。
「えっと…その、ちょっとは…可愛いなって思って貰いたかったかも…。」
「あら、やっぱりそうなんじゃない。」
クスクスと笑うサキに頬を膨らませてふてくされる振りをした。
「もう〜っ…。」
しばらく歩くと屋台ともう人混みでいっぱいだった。
「あ〜っ!腹減ったー!何食う?さくっと買って場所取りしようぜっ!」
張り切る草太は、早くもお好み焼きの屋台に並び始めた。
「じゃあ、適当に買ってここで待ち合わせましょうか。木野くん、みんなの飲み物買いに行きましょ。」
「へっ!あ、はい…。」
うわぁ〜…サキ…もちろんあなたのおごりでって顔してるよ…。
木野くんの財布を心配しているとなっちゃんが俺らも買いに行こう?と手を引っ張った。
・・・
待ち合わせ場所に戻るとキョトンとした顔でサキが言った。
「あら、三人仲が良いわね。しかも結構買ったのね。」
当麻君となっちゃんと三人で袋をさげてお好み焼きの屋台の前に集まった。
「あは、ついつい…買いすぎちゃったかな…?」
ちょっと買いすぎたかも、と心配していると
「大丈夫大丈夫!なんせ男四人いるし丁度だろ?」
と当麻君が笑って頭をポンポンと叩いた。
「にしても、一ノ瀬って意外とちっこいのに食い意地はってんのな〜!」
「もっ、もう〜っ!だって折角だしっ、普段は屋台とかないし、、今日は、特別っ!」
からかうように笑う当麻君にムキになって言い返す。
「さ、そろそろ場所取りに行きましょ?」
サキがみんなを誘導する。本当、サキってしっかりしてるなぁ〜と感心しながら後をついていった。




