11. 草太の想い
「あ、神田からメール。」
更衣室でジャージに着替え終わったナツが携帯を取り出し確認していた。
「サキちゃんから?何々?」
一つ上のサキちゃんの事が実は気になって仕方が無い。小さい頃から皆でつるんでたけど、その頃から頑張ってアピールしてるけどいつも華麗にスルーされていた。そんなサキちゃんはナツによく連絡とってるみたいだけど…まさかサキちゃんってナツの事が…
そんな考えを振り払ってナツをみるとナツが不機嫌な顔で黙り込んでいる。
「…どしたの?ナツ。」
「はぁ…次から次へと虫が湧いて…どうしようか。」
そう言いながら、どこか困った様な声をしているはずなのに顔が恐ろしくてすぐに目線を逸らした。
こ、こわいよナツ…きっとまたちーちゃんの事だろうな〜…でも怖くて聞けない。
「あっ、ナツ!早く準備して行こうぜ!また桃っちに怒鳴られる。」
「俺はもう出来てるよ。」
「えっ!あっ!ナツいつの間に!」
バタバタとバッシュに履き替えるがナツは俺に構わずスタスタと更衣室を出ようとする。
「俺だけ置いて行くなよお〜!」
ちょっと涙声で待ってよアピールしてみたが完全にスルーされて、俺は結局少し遅れてマネージャーの桃香のお説教を聞く羽目になった。




