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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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時間について 〜いつ襲われるのか〜

作者: 春山直久
掲載日:2026/07/28

おいらの処女作!

「なあ山田、知ってるか?」

「何を」

「熊蜂ってめっちゃ目ぇ悪ぃんだって!」

「…知らなかったな」

つまらない会話だ。しかし特別に嫌だったわけではない。

似た者同士で集まり、大して価値もない話題を共有する。

それがどれだけ平和なのか、その時は知らなかった。

後悔がないように必死に生きるべきだったのだ。


久々にスマホから離れテレビの電源をつけた。

「8年前の11月8日に発生した怪獣による災害の復興作業が進んでいます。被害を受けた瀬戸内海周辺の様子は__」

ああそんな事もあったな、とチャンネルを変える。


8年前の11月8日、いい歯の日。

当時ウルトラマンなどの特撮モノにドハマリしていた

私にとって素晴らしい情報が届いた。

瀬戸内海の本州四国連絡橋のひとつ、明石海峡大橋を派手に

ぶち壊しながら怪獣は海から現れたのだ。

さながら「セブンが死ぬ時!東京は沈没する!」ばりの

悪天候だったと記憶している。

怪獣はおよそ80mほど。

ゴモラを丸くしたような見た目だった。

幼かった長野県住みの人間からすると、遠いところの橋が

破壊されてあまり良く知らない四国が壊滅状態になっても、

やべぇ!日本沈没!なんてことはあまり感じなかった。

…今となっては四国民の皆様に悪いとは思うがね。

怪獣による災害はそれから増えていき、被害の大小は様々、

プレートの境界付近で起こるため地震と似たような

扱いになっていった。珍しいことでもなくなっていった。


幼い頃を思い出すことが全くないわけではないが、

怪獣が現れた、と聞いた時のワクワクはなかなか感じられない。

いいものを思い出せた。スマホから離れるのもいいもんだ。


幼い頃と言えば、最近古い友人たちと会っていない。

中学を卒業し、それぞれがそれぞれの道へ進んだ。

あれだけ「俺たちズッ友!」と騒いだのに、こうなるとあまり連絡も取り合わない。寂しさを感じる。

今度の土曜日に祭りが開催されるし、

その時にでも会ってみよう。

たとえその時会えなくても、

若い私たちに時間はたくさんある。

気長に、悠長に、その時間を生きていこう。


「お〜い山田!祭り始まっちゃうぞ?早く行こうぜ!」

久しぶりに聞こえる声。変声期か少し声色が安定しない。

「悪ぃ田中…風邪ひいたみてぇだわ、行けねぇ」

田中は私の様子を聞くなり残念そうに声を上げた。

「おいしっかりしろってぇ…もったいねぇな〜、お前の好きな鈴木も待ってんだぞ?」

とても行きたくなってた。

「ちっくしょ〜…行きてぇけどなぁ…悪ぃまた来年!」

私はそのまま田中を祭りへ向かわせた。

その判断をとても後悔している。


風の噂によれば、田中と鈴木は花火が打ち上がったタイミングで鈴木から告白、めでたく結ばれたらしい。

なんとも言えないとても複雑な心境になった。

めでたいのか悔しいのか。

まぁ私の古き良き友人の田中が結ばれたなら

喜び飛んで跳ねて祝福するしかない。

しかし、嫌だった。


記録。2025年7月25日、フォッサマグナ周辺で怪獣発生。

被害は少なく、怪獣の移動に伴う足跡型の陥没が見られる。

怪獣は政府設立の対怪獣組織によって鎮圧済み。

怪我人1000名程、死者200名程。


祭りは7月25日に行われた。

フォッサマグナ周辺からぬるりと現れた怪獣は、祭りで賑わった商店街部へ向かっていった。

想像したくない。

大勢の逃げ惑う声、田中を含めた青春を楽しむ若者たちの断末魔、潰れる音。

私がそのまま祭りへ行っていたら死んでいたかもしれない。

田中と鈴木が結ばれる事も無かったかもしれない。


私は今、古き友人たちを失った悲しみに暮れている。

調べると友人たちはほとんど殺されたことがわかった。

もうあの馬鹿話はできない。

田中から鈴木をこちら側へ引き込むこともできないのだ。

時間があると思っていた。

人と人とを引き裂くのはいつだって時間の流れだと、

スタンドバイミーの原作を読んで学んだじゃないか。

後悔がないように必死に生きるべきだったのだ。


四国の人々の気持ちが分かった気がした。


おかしいところなんてめちゃくちゃあるはずなので

ビシバシ批判してほしいです!


でも面白かったら面白いって言って欲しいな。

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