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心をなくした私が、静けさの中で出会い直したもの-強制終了から再生までの静かな旅-  作者: れい


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⑤心の声

私は元々、他者と対面する時"その人に合わせて擬態"する癖が染みついていました。


けれど倒れて以降、その擬態をする際、脳が混乱を起こすようになってしまったのです。

まるでこれまで擬態してきた"誰か"達が、それぞれ別の人格として脳内に立ち上がってくるような感覚。


擬態で築いてきたそれぞれの「役割」がバラバラに存在してしまって、どれが"本当の私"なのかが分からなくなる。

一時的に、多重人格のような状態になってしまったのです。その混乱は私を深く戸惑わせました。


ある時は驚くほど活動的で前向きな自分がいるのに、次の日にはまるで別人のように、悲観的で無力な気分に沈み込んでしまう。

そんな極端な心の変化が、日ごと交互にやってくる日もありました。


これまで心の奥に押し込めてきた怒りや悲しみー


それらを全て"誰か別の人間"が引き受けていたかのように、突然心の底からどうしようもない怒りが込み上げてくる日があったり、ふと気づけば記憶が部分的に抜け落ちていたりすることもありました。


頭の中で、声が響く日々。

その中で、私は次第に「声は何を語っているのか」

に耳を傾けるようになっていきました。

聞こえてくる声の中には、私への注意や意見のようなものもあれば、ただひたすら私を責め続ける声もありました。


そしてその中にーーーとても幼い子どもの様な、小さな声もあることに気付いたのです。


それらの声はバラバラで、まるで別々の存在のように思えました。けれど耳を澄ませているうちに、私はだんだんと理解しはじめたのです。

この声たちは全て過去の私の一部。

自分自身が、自分を苦しめていた長い年月の中で心の奥深くに押し込めてきた「本当の感情たち」だったのだと。


私は思いました…この声を持つ存在たちは、私の中で痛みを分散して引き受けて、その苦しみから私を守ってくれていたのではないかと。

ずっと封じ込め、見ないようにしてきた"心"たちは私のすぐそばにいたんだと。


ただ…私がそちらを向くのをずっと待ってくれていたのだと感じました。

そう気付いた時、私は深く反省しました…。


自分には、一番近くで一緒に生きてくれた"心"があったのに、私はそれを無視し蔑ろにして、結果として自分自身に、ずっと辛い思いをさせてしまったのだと。


これもまたーーー

子どもの頃に感じていた状態を、無意識のうちに再体験しようとする"自己虐待的な行為"だったのだと、私は気付いたのでした。


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