表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁忌の菌 〜封賢の継承者〜  作者: Naoya


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/37

第34話「審判の使徒、降臨」

突如、空が裂けた。


真昼の陽光を呑み込むように、黒い亀裂が虚空を走り、そこから降り立ったのは、一体の《断罪者》——。機械と神性が融合したような異質な存在は、六枚の光の翼を広げ、静かに降下してくる。


「……また、裂け目か!?」


エリナが剣を構え、ミラは警戒するように後退する。その隣でリオは杖を強く握りしめ、魔力の流れを整えた。


「この気配……普通じゃない……!」


バルドが地を踏み鳴らす。空気そのものが重く、張りつめている。断罪者は地に降り立つと、無感情な声を放つ。


「世界の再構成命令に反し、継承の力を行使する者たち——排除を開始する」


淡々と告げられたその言葉に、全員が目を見開く。


「再構成命令……? いったい誰が、何のために……!」


リオが問いかけるも、断罪者に返答はない。ただ、六枚の翼が淡く輝き、周囲の空気が振動を始める。


「くるぞ……!」


ミラが氷の魔力を構え、エリナは即座に前に出て剣で牽制。断罪者の第一の攻撃は、光の刃による薙ぎ払いだった。


「聖光斬《ルクス=ヴェルティス》——!」


バルドが地面を隆起させて盾を作り、エリナとミラを庇う。しかし斬撃は地の壁ごと一閃し、後方の大樹をも一撃でなぎ倒した。


「っ……なんて威力……!」


「支援魔法、展開する!」


リオが杖を天に掲げる。


「《ルミナ・グレース》!」


仲間全員の防御と魔力を強化する光が降り注ぎ、同時に傷の治癒も始まる。リオの魔力は温かく優しいが、内に強靭な意志を宿していた。


「援護は任せて! みんなは攻めに集中して!」


「言われなくても!」


エリナが突撃。断罪者の前に跳躍し、炎を纏った斬撃を浴びせる。


「《紅蓮連牙》!」


しかし、断罪者は無表情のままその攻撃を受け止め、手から無数の光の矢を放つ。ミラが即座に対応し、冷気の盾でエリナを庇った。


「させないわ、氷晶盾《グラシエル=シェル》!」


戦場は混迷を極めていく。


一行の連携は優れていた。だが、それを上回る精度で断罪者は攻撃と防御を繰り返し、徐々に仲間たちは押され始める。


「このままじゃ……っ!」


バルドが拳で地を打ち、地脈から力を引き出すが、それすらも断罪者の光の壁に阻まれる。


「ならば——!」


リオが前に出た。


杖を掲げ、魔力を収束する。


「聖域展開・癒光陣《ルーメン=セラフィア》!」


地面に広がる魔法陣が、仲間全員を包み、再生と結界の力が交錯する。その瞬間、リオの背後に金色の輪が浮かび上がり、聖なる加護が顕現する。


「癒しの賢者の血を継ぐ者か……抹消優先度、上昇」


断罪者の目がリオに向く。


次の瞬間——


光の翼が一斉にリオへ向かって放たれた。


「リオ、下がれ!!」


ミラが叫ぶ。しかしリオは一歩も引かず、杖を強く握る。


「下がれない。ここで守れなきゃ、継承の意味がない!」


——杖に魔力が集中する。


「《セレスティア・ブレス》!」


神聖な光が弾け、断罪者の攻撃を拡散させる。しかしそれでも全ては防げず、リオの身体に一閃の光が直撃した。


「……ッ!」


リオの身体が吹き飛び、地に転がる。


「リオォッ!」


ミラとエリナが叫び、即座に駆け寄るが、断罪者は容赦なく次の攻撃の構えを取る。


「回復、まだ……!」


「……僕は、大丈夫。まだ……動ける……!」


リオは血を吐きながらも、必死に立ち上がった。


杖を支えに、よろめきながらも再び戦線へ戻る。


「ここで止める。……止めなきゃいけない!」


その瞳には、決して折れない意志が宿っていた。


断罪者が再び、光を構えた。


——戦いは、これからが本番だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ