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ハニトラを仕掛けていたはずですが、恋愛指南のカリスマとして崇められています

作者: 春待瑞花

 侯爵令嬢のオリヴィアは、前世日本人であった。

 14歳の時、寝返りを打ってベットから落ちて頭を打った時にそれを思い出した。

 今世も一夫一婦制だが、貴族は政略結婚が多いため、側室を持つことは社会的に認められていた。

 日本人だった事を思い出したオリヴィアは、夫を誰かと共有したり、夫が自分以外の誰かを愛することが堪らなく嫌な事になってしまった。


 14歳にしてオリヴィアは決意した。

「よし、私だけを愛してくれる一途で硬派な人を見つけよう」と。

 貴族の子弟は13歳から成人となる18歳までパブリックスクールに通う。スクールで様々な子弟と交流を深めつつ、政治的側面からよしとされた家同士で婚約を結ぶ。政略が重視されつつも、お互いに惹かれあった者が婚約を結んでいく。

 オリヴィアは、

「令息達にハニトラを仕掛けまくって、掛からなかった人を婚約者にすればよいのでは?」

 と突拍子もない考えを持つ。


 前世は14歳で病死したため、恋愛を実体験したことはない。しかし、病院のベッドの上で恋愛漫画や恋愛小説を読み込み、恋愛に強烈な憧れを抱いていた。本や漫画から、どういった女の子が男の子にモテるのかを熟知していた。そこで、令嬢達がモテ仕草で令息を落としにかかり、落ちなかった令息がいれば、最終的に私が落とせばよいと意味不明な自信を持ち、その計画を実行に移そうとした。

 

 オリヴィアは、高位貴族の立場を利用して、低位貴族の令嬢向けに、淑女教育のお浚いと称してサロンを定期的に開催した。

 そこで前世で学んだ恋愛に関することを、令嬢達にひたすら説いた。

 恋愛における心理的な側面、恋愛における価値観、理想の相手像、恋愛における心構え、恋愛に対する考え方といった恋愛感から、男女の行動パターン、デートの誘い方、会話術、ボディタッチ、告白のタイミングなど、恋愛を成就させるための具体的な方法といった恋愛テクニックまで。

 それらを駆使して、意中の令息を振り向かせるように令嬢達を鼓舞した。


 そんなサロンを定期的に開催しているうちに…

「オリヴィア様!アラン様と婚約することになりました!オリヴィア様のおかげです!!」

「オリヴィア様のアドバイスに従ってお声をおかけしたら、デートに誘われました!オリヴィア様!ありがとうございます!!」

「オリヴィア様の助言にそって、あのタイミングで告白をしましたところ受け入れていただきました!来週婚約することになりましたわ!オリヴィア様のおかげですわ!」

 といったように、周りがどんどん婚約を決めていった。

 いつの間にか、オリヴィアの恋愛指南は素晴らしく、そのアドバイスがあれば恋愛が成就する、との噂が令嬢達の間に拡がり、サロンに参加を希望する令嬢達からの声かけが止まらなかった。


 恋愛のカリスマ的立場となっていたが……

「私の相手は果たして誰かしら?

 私が気に入って、私の事を気に入ってくれてる人なんて……いる? どうしよう。全然わからない……」

 と、自身の恋愛はまったくのポンコツだった。

 いつも令嬢達に囲まれているオリヴィアは、講義で話し合う機会はあるものの、プライベートでは、令息達と全く会話を持てていなかったのだ。


 しかし、そんなオリヴィアに熱い視線を送っている令息が一人……

 この国の第二王子であるクレランスは、オリヴィアの令嬢達からの人望とその才媛ぶりに、王子妃の素質を見出していた。

 オリヴィアは、恋愛期間を持つ間もなく、クレランスからの婚約が打診され受け入れることとなる。

「あれ?ハニトラ仕掛けて、掛からない人を見つける予定だったのに、なんでこうなった?」

 と自身がおかれた境遇に疑問だらけのオリヴィアだったが……


 オリヴィア一筋の硬派な第二王子に、死ぬまで愛されるという幸せな生涯を送ったのであった。


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