第8話:新たな仲間!天才魔法使いカイルとの出会い
ギルドでの新たな噂
兄アルバートとの決闘から数日が経った。
ギルドの空気は、以前とは明らかに変わっていた。
「おい、あの新人知ってるか?」
「ああ、ディアス公爵家の追放者だろ? まさかあのアルバートに勝つとはな……」
「いや、正確には完全な勝利じゃないらしいぞ。でも、一撃も入れられずに負けると思ってたのに、武器を落とさせたんだろ?」
「Fランクの新人が、王国の精鋭騎士団の一員を追い詰めるなんて前代未聞だ……」
俺がギルドの扉をくぐると、多くの冒険者が一斉にこちらを見た。
明らかに俺を見る目が変わっている。
(……まぁ、当然か)
だが、俺は気にせずカウンターへ向かい、エリナと次のクエストについて相談していた。
「さて、そろそろ本格的な依頼を受けてもいいんじゃないか?」
「そうね。私も魔剣を手に入れたし、次はもう少し難しいダンジョンに挑戦したいわ」
そんな話をしていると――
「……ふーん。なるほどねぇ」
隣のテーブルで聞き耳を立てていた少年が、ニヤリと笑った。
謎の少年の登場
そちらを振り向くと、派手なローブを纏った金髪の少年がいた。
細身の体に、利発そうな瞳。俺と同じくらいの年齢だろうか。
「君がレオン・ディアス? 例の”無能”貴族さん?」
「……そうだけど?」
挑発的な言葉に、俺は冷静に答えた。
すると、少年は面白そうに笑いながら手を差し出してきた。
「僕はカイル・レイナー。魔法使いさ」
俺は一瞬考えた後、その手を握った。
「レオンだ。で、お前は何の用だ?」
「いやぁ、ちょっと気になったんだよね」
カイルは悪戯っぽく笑いながら言った。
「Fランクの新人が、貴族の精鋭に勝つなんて普通じゃない。何か秘密があるんじゃないかってね」
「……別に、何もないさ」
「へぇ? 本当に?」
カイルは腕を組んで俺をじっと見つめる。
「ま、そんなことはどうでもいいんだけどね」
そう言いながら、カイルは唐突に提案してきた。
「僕もそろそろ冒険者パーティーを組もうと思ってたんだ。君たち、僕と組まない?」
天才魔法使い、カイルの実力
「……パーティー?」
「そう。僕は魔法使いだけど、前衛はあまり得意じゃないんだよね」
カイルは少し考えるそぶりを見せた後、俺の方を見た。
「君は戦士でも剣士でもない、ちょっと特殊なタイプの戦い方をするみたいだけど……僕の魔法と組み合わせたら、最強の戦略が生まれると思わない?」
「……なるほどな」
俺は少し考えた。
(確かに、解析眼と魔法の相性はいい)
敵の弱点を解析し、それに応じた魔法で攻撃する。
戦略的に戦うなら、かなり有利な組み合わせだ。
「でも、実力もわからない奴とパーティーを組む気はないな」
俺がそう言うと、カイルはニヤリと笑った。
「いいねぇ、その態度。じゃあ、試しに一戦やってみる?」
模擬戦開始!
ギルドの訓練場に移動し、俺とカイルは向かい合った。
「ルールは簡単。先に相手を動けなくした方の勝ちだよ」
「……いいだろう」
俺は短剣を構え、カイルの出方を待つ。
次の瞬間――
「雷撃!」
カイルの手から電撃が放たれた!
(くっ……!)
俺は咄嗟に横へ飛び、ギリギリで避ける。
「おっと、回避できた? すごいね」
カイルは余裕の笑みを浮かべながら、次の魔法を準備する。
「氷槍!」
鋭い氷の槍が俺に向かって飛んできた。
(……こいつ、魔法の切り替えが速い!)
俺は再び解析眼を発動し、カイルの動きを分析した。
《カイル・レイナー》
・HP:120/120
・魔力:300/300
・スキル:「雷魔法Lv.3」「氷魔法Lv.3」「詠唱短縮Lv.2」
・特性:「魔力回復速度上昇」…魔力の回復速度が通常の2倍
(……詠唱が異常に速いと思ったら、やっぱりスキルの影響か!)
俺は氷槍をギリギリでかわしながら、一気に距離を詰める。
「おっと?」
カイルは驚いた様子を見せたが、すぐに次の魔法を唱えようとした。
(だが、俺の解析眼はもうお前の行動を読んでいる!)
「悪いが……これで終わりだ!」
俺はカイルの足元に転がっていた小石を蹴り上げた。
「――!?」
カイルは一瞬バランスを崩す。
そこを逃さず、俺は短剣をカイルの首元に突きつけた。
「……チェックメイトだ」
「……まいった」
カイルは苦笑しながら、手を挙げた。
新たな仲間、カイル加入!
「ふーん……君、やっぱりただの戦士じゃないね」
カイルは楽しそうに笑いながら言った。
「解析スキルでも持ってるのかな?」
「さあな」
俺は適当に誤魔化すが、カイルはますます興味を持った様子だった。
「よし、決めた。僕、君たちと組むよ」
「……いいのか?」
「うん、君と組んでみたくなったんだ」
こうして、新たな仲間天才魔法使いカイルが加わった。
第9話につづく!
「新たなダンジョンへ!死者の迷宮攻略開始」