01 転生しました
太陽光が反射してキラキラと輝く金色の髪の毛。
ぱっちりとした大きな瞳の色は鮮やかなスカイブルー。
まつ毛はしっかりカールがかかっており、唇はぷっくりとした愛らしい形。
誰が見ても絶世の美女だ。
そんな美女が隣に住んでいると知り、心の底から舞い上がる気持ちで挨拶の準備をしていた私の時間を返して欲しい。
「は、初めまして…シンデレラです。」
「えぇぇーーー!!??」
転生先がシンデレラの世界だなんて聞いてません!!
私は心の底でそう叫んでやった。
この現状を説明する為に少し時を遡ること1週間前。
私がまだ日本の女子高生だった頃のことだ。
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「おねぇちゃん。どうしてシンデレラはいじめられちゃうの?」
妹を寝かしつけるために絵本を読むのが日課になっていた私は、今回選んだ“シンデレラ”を読んでいた。
しかし話の途中_シンデレラが義理姉と義母からいじめられるシーン_で、そう妹から質問された。
「シンデレラがかわいそう…」
眉を下げて自分の事のように悲しそうにする妹に、思わずクスリと笑みをこぼす。
「シンデレラはね、とっても素敵な女性なの。だから意地悪なお姉ちゃんとお母さんはそんなシンデレラに嫉妬してたのよ。」
「しっと?」
「そう嫉妬。あんたにはまだ難しい言葉かな〜?」
それこちょこちょ〜とくすぐりにかかると、キャッキャッと楽しそうに笑う。
そんな妹の姿が愛おしくて堪らない。
「あ、もうこんな時間!」
ふと時計を見たらいつの間にか寝かしつけの時間を過ぎており、慌てて布団を被せる。
「まだ寝たくない…」
ポンポンッと布団の上から軽く叩いていると、不貞腐れた様子でそう呟いた妹。
「早く寝ないとシンデレラみたいな素敵な女性になれないよ?嫌でしょ?」
「……やだ。」
なら早く寝ようねと頭を撫でると段々瞼が下がってきた様子にほっと安心する。
この調子だとそろそろ離れても大丈夫かな。
最後にそっと瞼を撫で、電気を消して部屋から出る。
「今日は少し時間が掛かったのね。」
「あ、お母さん…」
「いつも悪いわね。助かってるわ。」
はぁ…っとソファでくつろぐ母はいわゆるシングルマザーで、今まで1人で私達を育ててきている。
だから仕事で疲れているのは分かっているから必要最低限の家事は手伝うようにしているし、この暮らしに不満を持ったことはない。
「そうだ。隣の佐藤さん家のポストに回覧板入れてきてくれない?もう20時だから静かに入れてきてね。」
「はーい。」