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【短編続編】魔王の最期。~魔王宮殿からの脱出~

作者: すみ いちろ

この物語はこちらの短編の続きです。

魔王の最期。

https://ncode.syosetu.com/n4256ie/

(──ゴゴゴゴゴゴゴ……)


 足もとから地鳴りのように響く魔王大宮殿(キングパレス)の崩壊音。


「魔王、セシル──か……。あいつにも、家族がいたんだな。それに、奥さんも」


 目の前の大理石の柱から射し込む光の先に、雲海と日の光が眼下に遥か望み、空と海の水平線の彼方が見えた。


(夜明けか……)

 

 魔王セシルが愛する人とともに昇って行った、(オレンジ)色に染まる白い雲間と朝焼昇る青空の遥か向こう側が、眩しく光る。


(──ゴゴゴゴゴゴゴ……)


 魔王セシルの魔力の加護を失った魔王大宮殿(キングパレス)──。その崩壊の時間が、激しく振動する足もとに迫る。


「あ! イケね! アイツら助けてやんねーとだなっ!!」


 感傷に浸ってる場合じゃなかった。

 魔王セシルとの戦闘で、石っころに封印されちまったアイツらを助けなきゃだな!


「封印は解けてっから、アイツらどっかに、寝そべってるはずだよな……」


(──ゴゴゴゴゴゴゴ……)


 揺れが止まらない。もうすぐ、魔王大宮殿(キングパレス)は崩れ去るんだ。ヤベぇ……。

 このままじゃ、アイツら、海のド真ん中に落ちちまう!

 けれど、このだだっ広い『玉座の間』の何処にも見あたらない。


「おーいっ!! メリルっ!! トットぉー!! 何処にいるんだ!!」


 魔女っ子メリルと、説教垂れ僧侶(ビショップ)のトットが、居ない。

 焦ったオイラは、そのまま後ろの方にある玉座の間の入り口まで突っ走って、審判の扉の向こう側へと、勢い良く飛び出た。


「(──バン!!) メリルっ!! トットっ!!」


 まるで、玉座の間から審判の扉の外側へと追い出されたみたいにして──、ひび割れて行く魔王大宮殿(キングパレス)の白い大理石の床に、二人が転がるようにして横たわっていた。


(──ゴゴゴゴゴゴゴ……)


「おいっ!! メリルっ!! トットっ!! 無事かよっ!!?」

「ん、んー……。る、ルース?」

「だ、誰です? メガネ、メガネ……。(カチャリ) ハッ!! やかまし屋ルースですか……」


 魔女っ子メリルは、ついさっき魔王セシルの封印の魔力から解放されたみたいで、眠たそうな目を擦りながらも、身体を起こしてオイラを見つめた。


「メリル、ヨダレ垂れてんぞ?」

「ハッ!! うぎゃー!! まさかのルース王子っ!! (メリル)のお顔をそんなに見ないで!! けど、ルース王子は無事なのね! ヨカッター!!」


 それから、オイラは、説教垂れ僧侶(ビショップ)のトットの顔を見た。


「相変わらずメガネ似合わねーな、トット?」

「うるさいです!! そ、それより、やかまし屋ルース! ま、魔王はっ!?」


(──ゴゴゴゴゴゴゴ……)


 二人とも元気そうで良かった。

 けれども、オイラたち三人に残された時間は少ない。

 たぶん、もう、すぐにでも魔王宮殿(キングパレス)が崩壊する。


「勝ったさ……。けど、オイラたちも逃げねぇと、ヤベぇぞっ!!」


 魔女っ子メリルと、説教垂れ僧侶(ビショップ)のトットが顔を見合わせる。オイラも、二人の顔と見合わせた。


魔力(マジックポイント)……──」

「──ゼロ……」

「だよな?」


 魔女っ子メリルの言葉の後に、説教垂れ僧侶(ビショップ)のトットがうな垂れ、オイラが二人の顔を見つめたまま固まった。


(──ゴゴゴゴゴゴゴ……)


「「「 ひ、ひぇぇぇぇぇぇっ!! 」」」


 誰も居なくなった魔王宮殿(キングパレス)に、オイラたち三人の声が木霊(こだま)していた。

 今にも、この魔王宮殿(キングパレス)の白い大理石の床が抜け落ちそうになっているというのに。


 




 




 


 

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― 新着の感想 ―
[一言] この物語はこちらの短編の続きです。 ↓ 魔王の最期。 https://ncode.syosetu.com/n4256ie/ と、あらすじのところか、前書きのところに書いといた方がいいかも…
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