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61話。ルーチェと合体し、アザゼルに勝利する

「よし! やるぞルーチェ、合体だ!」

「はい」


 俺たちの心がひとつになる。

 その瞬間、スクリーンに【竜融合ドラゴニック・フュージョン】成功率が大きく表示された。


『成功率、99%!? 驚異的な数値です!』


 作戦司令室の少女オペレーターが、驚愕している。

 俺とルーチェは親子関係だ。

 ルーチェの肉体は、俺の遺伝情報を元に作られている。さながら、アダム(最初の男性)の肋骨から造られたイブ(最初の女性)のごとく。


 そのため、【竜融合ドラゴニック・フュージョン】の成功率は、非常に高くなっていた。元々、1つであった存在が1つに戻るのだ。


「「【竜融合ドラゴニック・フュージョン】! ゴォォオオ! 【聖竜剣バハムート】!」」


 俺とルーチェの叫びが重なった。

 聖竜機バハムートが飛び上がると、その身体が細く折りたたまれて、輝く巨剣へと変形する。


「これは!? な、なんと巨大なミスリルの剣か!?」

「まさか機神専用の【人造聖剣】であるか!?」


 ジオス枢機卿と、教皇グリゼルダが目を丸くする。

 聖竜機バハムートとの【竜融合ドラゴニック・フュージョン】。それは聖竜機が、究極の武装と化すことだ。


「あぐぅっ!? マスター、身体が熱くなって、壊れそうです……ッ」


 ルーチェが喘ぎ声を漏らす。彼女の小さな身体が熱く火照っていた。

 やはり、不安定な人造生命であるルーチェには負担が大きいか。なら短期決戦しかない。


「すまない、ルーチェ! この一撃で決めてやる!」


 機神ドラグーンが、【聖竜剣バハムート】を掴んで天へと飛翔する。 

 堕天使アザゼルは嘲笑したように見えた。剣の一振りなど、ヤツにとってまるで脅威にならないのだろう。

 だが……


「でも私は今、マスターとひとつになれて。マスターの存在を全身で感じられて幸せです……!」

「うぉおおおおお──ッ! 【因果逆転斬ワールド・ブレイク】!」


 ルーチェの心の昂りと、俺の魂の叫びが重なった。

 その瞬間、宇宙の絶対法則が覆される。

 機神ドラグーンが振りかざした【聖竜剣バハムート】が、堕天使アザゼルを両断していた。


「理解不能……データ転送します」


 アザゼルはそれだけ言い残すと、大爆発を起こす。機体の破片が四散し、巨大な爆炎が俺たちを照らした。


 俺が開発した【聖竜剣バハムート】には、因果を逆転する力が備わっていた。

 アザゼルがいかに瞬間移動で回避しようが無駄だ。攻撃が当たった結果を、因果律を捻じ曲げて、強制的に現出させる。必殺必中の一撃だった。

 もっと、それにはルーチェの天使の力が必要不可欠なのだが……


「やったあぁああああ! ヘルメス様が勝ったわ!」

「うぉおおおお! 救世主ヘルメス様、ばんざあーい!」


 ティアが大はしゃぎし、ジオス枢機卿らが感涙にむせんだ。 

 【竜融合ドラゴニック・フュージョン】が解かれ、【聖竜剣バハムート】はドラゴンの形態に戻る。


「……ルーチェ、大丈夫だったか?」

「は、はい。すごく、気持ち良かったです……」


 熱に浮かされたように言うと、ルーチェは気を失ってしまった。

 はて? 壊れてしまいそうなのに、気持ち良いとはどういう感覚なのだろうか?

 幸い、命に別状は無さそうだが……


「おおっ! ヘルメスよ! やはり、おぬしはわらわの見込んだ男なのじゃ!」


 少女教皇グリゼルダが、抱き着いてきた。 


「おわっ、ちょっと教皇様!?」

「よし、決めたぞ! おぬし、わらわと結婚せい! 教皇は本来、結婚を許されぬのだが、神の子たる救世主とだけは、許されておるのじゃ!」

「はぁ!? いや、俺はアーディルハイド王国のレナ王女と婚約しているんですよ!?」


 俺はグリゼルダから離れようとするが、狭いコクピット内では逃げ場がない。


「つまり、まだ結婚しておらぬということではないか!? なら、わらわにもチャンスがある!」

「いや、そうかも知れませんが。そんな発言をしたら、国際問題に!」

「それと教皇様などと、他人行儀な呼び方はやめい! 救世主は教皇より、上の立場じゃぞ。これからはグリゼルダと呼ぶのじゃ!」

「はぁ!? 教皇様を呼び捨てにしたら、俺は信徒から刺されるんじゃ!?」


 これ以上、問題を増やさないで欲しい。


『ヘルメス様! 悪魔の群れを撃退できましたわ! ……って、何をなさっておられるのですか!?』


 通信を送ってきたレナ王女の眉が吊り上がった。


「うむ! わらわは今、ヘルメスにプロポーズしておったのだ! わらわの夫はヘルメス以外に有り得ぬのじゃ! これは神意であるぞ!」

「神意って! それは、あなたの意思ですよね? 神様は関係ないですよね!?」


 俺は全力で断る。


『教皇グリゼルダ様!? 困ります。ヘルメス様とわたくしは、神前で将来を誓い合った仲ですよ!』

『ちょっとお兄ちゃん! 私というのもがありながら、浮気しているの!?』


 さらに妹のシルヴィアまで、通信で変なことを言ってきた。


「浮気とかしていない! とにかく、結婚についてはお断りします!」


 俺は叫ぶと同時に、レナ王女とシルヴィアとの通信を遮断した。これ以上、おかしな誤解を招きたくない。


「むっ……まぁ、良いじゃ。わらわはまだ14歳。結婚できる年齢ではないしの」


 グリゼルダは一応引き下がってくれた。

 ほっ。


「じゃが、わらわはおぬしとの間に運命を感じたのじゃ。ふたりで、この世界を良い方向に向かわせて行こうではないか、救世主ヘルメスよ!」

「は、はぁ……まぁ、そういったことなら」


 世界を良い方向とかは、壮大過ぎてよくわからないが、俺は頷いた。


「では、わらわと【クリティオス】の連絡先を交換しようぞ! 時々、相談相手になって欲しいのじゃ」

「……わかりました」


 俺はタブレット端末を取り出して、グリゼルダと連絡先を交換した。

 そういえば、女の子と連絡先を交換するなんてイベントは、俺の人生ではほぼ皆無だったな。幼馴染のティアか、仕事関係のレナ王女、妹とくらいしかやったことがなかった。


「くふふふっ、これでヘルメスといつでも話せるのじゃな」


 グリゼルダは何かボソッと呟いた。

 あまり頻繁に教皇様から連絡をもらっても困るかも知れないが……また結婚して欲しいとか言われたら、どうしよう。


 とにかく、エーリュシオン教国での【薔薇十字団ローゼンクロイツ】暗躍を阻止することができた。

 今はみんなの無事と、勝利を喜ぼう。

これで第4章が完結となります。

ここまで、お読みいただきありがとうございます!


【※読者の皆様へ、大切なお願い※】


「5秒程度」で終わりますので、ぜひよろしくお願いします。


 少しでも

・面白かった

・続きが気になる

・応援してあげてもいいかな


 と思ってくださった方は、ぜひとも広告下の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして評価してくださると嬉しいです!


(★5つが嬉しいですが、つまらなかったら★1つ、など率直な評価をいただけますと参考になります!)


 なにとぞ、よろしくお願いします!

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