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58話。機械仕掛け神【アザゼル】、第2形態、堕天使モード

 俺はすぐさま機神ドラグーンのコックピットに空間転移した。

 システムオールグリーン、全兵装セーフティー解除の文字がスクリーンに流れる。


「アヒャヒャヒャ! なぶり殺してやる! そらぁああ、神罰っううう!」


 アザゼルが極大の火球を放ってきた。避ければ、ルーチェやティアたちのいる大聖堂に直撃するコースだ。

 ラムザ枢機卿は、よくよく性格が悪いらしい。


「【空間歪曲ディストーションコート】!」

『了解』


 俺はドラグーンの周囲の空間を歪めて、火球を空の彼方へ逸らす。


「そらそらぁあああ! いつまで保つかな!?」


 アザゼルはさらに調子に乗って、火球を撃ち込んできた。


「空間跳躍、【ドラゴン・バンカー】!」


 俺は機神ドラグーンの右腕のみを空間転移で、アザゼルの前に出現させた。

 腕に仕込まれたオリハルコン製の杭が、アザゼルの胴体に叩き込まれる。


 ズドォオオオオ──ン!


「はぎゃああああ!?」

「すごぃわああああ!」


 アザゼルからは悲鳴が、ティアたちからは歓声が上がった。


「やっぱり攻撃した瞬間は、瞬間移動は使えないようだな」

「一見、無敵の力に思えましたが、大きな弱点がありました。それを短時間で見抜くとは、さすがはマスターです」


 瞬間移動のような負荷の大きい魔法を、他の魔法と並列して使うことはできない。それはアザゼルも同じと踏んだのだが、正解だった。


「おぶぅうう! しゅ、出力が30パーセントも低下だと!? アザゼルは天使の力を模した究極の機体のハズだぁあああ!」


 胴体に大穴を空けられたアザゼルは、空中でよろめいている。どうやら、飛行に必要な風魔法の出力に異常が発生したらしい。


「そのダメージなら、もう瞬間移動は満足に使えないだろう。教皇様を今すぐ解放しろ!」

「素晴らしい、これが機神ドラグーン! まさに救世主の力ですな」


 ジオス枢機卿が、瞳を輝かせて喝采する。


「そうよ! これがヘルメス様よ! そして、私はヘルメス様の真の婚約者なのよぉおおお!」

「いや、元婚約者だろ?」


 はしゃぎまくるティアにツッコミを入れる。

 ……真の婚約者ってなんだ?


「アヒャヒャヒャッ! そ、そうだ。この私には、まだ人質がいる。貴様こそ降伏しろ錬金術師! 教皇グリゼルダがどうなっても良いのか!?」


 アザゼルは少女教皇グリゼルダを握る手に、再度、力を込めようとした。

 仮にも教皇を目指す男が、恥ずかしくないのか?


「こいつ……ッ!」

「そ、そんな卑怯なマネをして、教皇になれると思っているの!?」


 ティアたちが非難の声を上げるも、ラムザ枢機卿は意にも介しない。


「当然だとも! 【正義と力とは主にのみある】天使の力を振るう、私こそ神の代行者! 私こそ正義なのだぁ!」

「ヘルメスよ、構わぬ! わらわごとコヤツを討て! こんな男に教会を牛耳らせてはならぬ!」

「教皇様!?」


 教皇グリゼルダが、苦悶を浮かべながらも叫んだ。


「なんだと!? 死が恐ろしくないのか、グリゼルダ!?」

「ふんッ! ラムザよ、どうせおぬしは、わらわを生かしておく気はないのじゃろう? ならば、わらわは教皇としての使命をまっとうするのみじゃ。天使を騙る不埒者めが!」

「き、きさまぁ!」


 怒りに駆られたラムザ枢機卿が、今度こそグリゼルダの息の根を止めようとする。


「指輪よ、【聖壁ホーリーウォール】!」


 だが、ルーチェの聖魔法が蛮行を阻んだ。

 魔法効果を一度だけ5倍に高める【ドラウプニルの指輪】を使って強化した【聖壁ホーリーウォール】で、グリゼルダを覆ったのだ。


「なにぃいいい!? なんだ、この強固な聖壁は!?」


 グリゼルダを握り潰すことができずに、ラムザ枢機卿は驚きの声を上げる。


「助かったルーチェ!」


 ラムザ枢機卿が困惑している今こそ、チャンスだ。俺は一気にアザゼルとの距離を詰める。


「はぁあああああーッ! 【ホーリー・ファング】!」


 機神ドラグーンの左手から伸びた爪で、教皇グリゼルダを掴むアザゼルの腕を引き裂く。

 俺は空中に投げ出されたグリゼルダをキャッチ。彼女を機神ドラグーンのコクピットまで、空間転移させた。


「ぬきゃ!? ここは……? へ、ヘルメスか!?」

「ここは機神の中です。もう大丈夫ですよ、教皇様」

「あ、ああっ……助かったのじゃ!」


 グリゼルダはよほど恐ろしかったのか、俺にギュッとしがみついてきた。

 やはり、無理をしていたんだな。

 教皇といえど、まだ幼さの残る少女だ。俺はグリゼルダを安心させるために、彼女の頭を撫でてやった。


「ぐぁああああ……ッ!」


 一方、ラムザ枢機卿は戦意喪失したかのようだった。満身創痍な上に、切り札の人質まで奪われてしまったのだ。


「ルドラのように機体の復元まではできないみたいだな」


 アザゼルは瞬間移動に特化した機体のようだ。もう、ラムザ枢機卿に手は残されていないだろう。


「ラムザ枢機卿、降伏してください。あなたには聞きたいことがあります。【薔薇十字団ローゼンクロイツ】について、話してもらえますか?」

「……ぐっ、あ。や、奴らについて話したら。死刑は……異端審問は免除してもらえるのか?」


 憔悴した様子で、ラムザ枢機卿は尋ねてきた。

 自らが断罪した者たちにしてきたことが、己の身に降り注ぐことを恐れたのだろう。


「俺は一応、救世主のようです。奴らの情報をくれるなら、教皇様に減刑のお願いくらいはします。よろしいですよね?」

「……ぬぅっ」


 教皇グリゼルダは一瞬、顔をしかめたが反対はしなかった。

 彼女としては納得できないだろうが、俺は両親の仇を探し出したい。


「……まぁ、良い。ヘルメスがそう言うなら、死刑だけは免除してやるのじゃ」


 グリゼルダの一言に、ラムザ枢機卿はほっとしたようだった。


「そ、そうか……なら、私の知っていることを話そう。何が聞きたい?」

「では右腕に薔薇の紋章がある男について、教えていただけますか?」

「なに? それは【薔薇の騎士】(ローゼン・ナイツ)の……」


 ラムザ枢機卿の声が、不自然に止まった。

 アザゼルから、黒いオーラが吹き上がる。

 なんだ、これは……?


『ヘルメス様、大変です! 敵機に高エネルギー反応!』


 ドラグニルの作戦司令室より、少女オペレーターの警告が届いた。


『これは……外部から膨大な魔力が、敵機に注がれています! 一体、どこから!?』

「こ、これはまさか……っ! アザゼルが私の命令を、受け付けないだと!?」


 ラムザ枢機卿にとっても予想外のことだったらしく、動転した声が響いた。

 機械的な音声が、アザゼルより放たれる。


「機械仕掛けの神【アザゼル】、第2形態、堕天使モード」


 アザゼルの破損箇所がみるみる復元し、輝く光の翼が、漆黒の翼へと変化した。

 アザゼルの全身が黒いオーラに包まれる。見る者を畏怖させる禍々しい姿だ。


「神の如き強者【堕天使アザゼル】の名の元に。目前の敵をすべて殲滅します」


【ご注目!】大切なお知らせです!!


ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます! 


作者こはるんるんから大切なお願いがあります。

5秒程度で終わりますので、ぜひよろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] この流れだとアザゼルが内部のラムザ枢機卿を用済みとして蒸し焼きなりして処分する流れですね。 安易に助かるのは癪なので助からない方が良いです。
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