表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/75

13話。幼馴染がヘルメスの正体に勘付く

『ちょ、ちょっとレナ王女、何、私のヘルメス様とイイ感じになっているのよ!』


 そこにティアが口を挟んできた。


『ぐぅうううう、決めたわ! 私もこの秘密組織【ドラニクル】のメンバーになる。そして、ヘルメス様をお助けするのよ!』


 はぁ……っ? な、何を言っているんだティアは? 


『いえ、ティア様、それは……』

『ちょっと聖女様、何を勝手なことを騒いでいるんですか!?』

『そうですよ! レナ総司令のクリティオスを奪ったりして。あなたは私たちの邪魔をしただけでしょう!?』


 ティアの暴走に、作戦司令室の女の子たちが、一斉に反発した。


『な、なによ! 私はAランク冒険者の聖女なのよ!? 私が加われば戦力アップ間違い無しでしょ!? あなたたちなんかのよりも、私の方がずっとヘルメス様のお役に立てるんだから!』

『き、聞き捨てなりません! 私たちは厳しい選抜をくぐり抜けた【ドラニクル】のメンバーですよ!』


 ティアは昔から興奮すると周りが見えなくなるけど、これはマズイ。


「ティア! ティアを作戦司令室に招いたのは、あくまで緊急措置だ。本来、そこは部外者は立ち入り禁止だ」

『ヘルメス様、待ってください! 今回、私は失敗しちゃいましたけど、絶対にお役に立って……むぎゅ!?』

『申し訳ありませんが、ティア様。退場していただきます。それと今後、ここへは出入り禁止とさせていただきますわ』


 レナ王女の指示の元、【ドラニクル】のメンバーたちが、ティアを拘束した。


『ちょっと待って! まだ、ヘルメス様とお話が……!』

『空間転移、座標入力【ヴァレンヌの街】、起動!』


 ティアは空間転移の魔法で、俺のいるヴァレンヌの街まで送り返されてきた。

 ふう、これで一件落着だな。


「おおおおおっ! あのバケモンをやっつけちまったぞ!」

「強ぃいいい! カッコいい! ありがとうヘルメス様!」


 街の人々が俺に手を振って、感謝を述べた。


「みんな安心してくれ! この国は、俺が、機神ドラグーンが守る!」


 俺は本来、こんな熱血キャラではないが、みんなを安心させるために叫んだ。

 機神ドラグーンは王国軍所属。国民を安心させるのも、軍属としての任務の内だ。


「うぉおおおおおお!」


 とたんに、大地を揺るがすほどの熱狂が返ってきた。

 うわっ、ちょっとビックリしてしまうな。


「俺たちのヒーロー、ヘルメス様がいればこの国は安泰だ!」

「きゃあああああ! 素敵、ヘルメス様ぁあああ!」


 特に町娘たちの声援がすごくて、みんな目がハートになっている。


 さらに普段、俺をバカにしているロジャーやその腰巾着まで、『うぉおおお、ヘルメス様、カッコイイ!』『機神、マジ最強!』と大興奮していた。

 みんなにこれほど応援されると、ちょっと居たたまれないな。


「で、では、サラバだ……!」


 俺は機神ドラグーンを空へと飛び立たせる。海竜機リヴァイアサンもその後に続いた。


 みんなの注目が空に注がれた隙に、俺は空間転移で、人気のない路地裏に降り立つ。よし、誰にも見られていないな……

 俺はヘルメスの仮面とコートを外して、大通りに出た。


「あうぅううう! ヘルメス様がぁ……!?」


 すると、泣きながら機神ドラグーンを見送るティアがいた。


「あっ、ティア! 良かった無事だったか……?」

「はぁ!? ロイじゃないの、くっ、話しかけて来ないでよ! せっかくヘルメス様のお役に立てるチャンスだったのにぃいいい!?」


 ものすごく不機嫌な顔で睨みつけられた。

 ヘルメスに対する態度とはえらい違いだな。

 ……って、あれほど、ハッキリ別れを告げたのに、まだ諦めていないのか?


「そうだ! あんたレナ王女に私を【ドラニクル】に入れてもらるように頼んでちょうだいよ!」

「はぁっ!? いや、さすがにそんな無理は通せないと思うぞ。そもそも【ドラニクル】ってなんだ?」


 俺は正体を隠すために、すっとぼけた。


「機神ドラグーンの戦闘をサポートする秘密組織みたいよ! しかもメンバーは、全員美少女! くぅうううう! あ、あいつら、私のヘルメス様を誘惑する気だわ! 絶対に許せない!」

「いや、そんなことは無いと思うけど……それに、私のヘルメス様って……ヘルメスには婚約破棄されたんじゃないのか?」

「ぐぅううう! う、うるさい! あれは何かの間違いよ!」


 ティアは喚き散らした。


「だって、ヘルメス様は3回も私のピンチを救ってくれたのよ! きっと、何か事情があるのよ! そうよ、私とヘルメス様は4年前から運命の赤い糸で、結ばれているのよ!」

「3回? 4年前って……なにかあったけ?」


 そう言えば、とっさに魔物に襲われているティアを助けるために、変装してヘルメスを名乗ったことがあった。

 ……あれから、ティアはヘルメス一筋だったのか?


「それに、やっぱりヘルメス様は素敵だったわ! みんなを守るために、命がけで戦って! ああっ、ヘルメス様に抱かれたい!」

「い、いや、それは困るというか……」

「はぁ!? なんで、あんたが困るのよ! ……って、ふふーん、やっぱりあんたは、私に惚れている訳ね。でも、お生憎様、私の身も心もヘルメス様のものよ!」


 ティアはいじわるそうな目を向けてきた。

 ……うん。これは、早急にヘルメスとレナ王女との婚約を国中に発表すべきかもな。

 それで、完全にあきらめてもらおう。

 

「あぁああああっ! あんなスゴイ魔獣を倒しちゃうなんて、やっぱりヘルメス様は最高だわ! いつか絶対に私がヘルメス様と合体してやるんだから!」


 ティアの絶叫が街に轟いた。

 が、合体って……他人に聞かれたら誤解されそうなんで、やめて欲しい。

 そこで、ティアの表情がなぜか凍りついた。


「えっ、ロイ。あんた、いつの間に怪我をしたの? ()()()()()()()()()()()

「へっ……?」


 俺はその時、初めて後頭部に痛みを感じた。

 魔獣ケルベロスの攻撃を受けた際の衝撃で、後頭部をコックピットシートにぶつけて怪我をしていたらしい。

 手で触れると血が流れている。今まで戦闘の興奮のせいで、気づかなかった。

 しまった……! ヘルメスの様子も作戦司令室のモニターに映像として流れていたんだ。


「こ、これはちょっと、そのあたりで転んで……」

「転ぶ? 転んでできるような箇所の怪我じゃないわ!? ちょっと、見せてみなさいよ!」


 まずい。


「いや、大丈夫だ! なんでもない。俺はこのあと、レナ王女と予定があるから!」

「はぁあああ!? ちょっと待ちなさい! 私の命令よ!」


 命令って、なんじゃそりゃ。 

 俺は慌てて、その場を逃げ出した。

これで第2章が完結となります。

ここまで、お読みいただきありがとうございます!


【※読者の皆様へ、大切なお願い※】


「5秒程度」で終わりますので、ぜひよろしくお願いします。


 少しでも

・面白かった

・続きが気になる

・応援してあげてもいいかな


 と思ってくださった方は、是非とも広告下の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして評価してくださると嬉しいです!


(★5つが嬉しいですが、つまらなかったら★1つ、など率直な評価をいただけますと参考になります!)


 なにとぞ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] すでに自分がヘルメスだと告白しているのですから、正体を隠そうとせずに言動を首尾一貫させたほうがいいと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ