第94話 金玉一探偵登場
俺、テケリリ、廃油の3名は台戸市での報告を終え間蔵島に戻った。
だが間蔵島に動く物は何一つ無かった……
何故なら……
「自殺なの。」
「うわ!え?なのちゃん何故ここに?」
「今はやまぐち書店のアイドル間借奈乃では無く探偵
金玉一なの助なの。」
「なるほど、idle:なまけ者。」
「文字さんに1度ふにふに地獄を味わってもらうの。」
「なのちゃんもしかしてあざすさんに怒られるから逃げて来たんだ?」
「と言うか何で皺だらけの絣の単衣の着物と羽織によれよれの袴を合わせ、形の崩れたお釜帽を被って爪が飛び出しかかっている汚れた白足袋に下駄履きなのよ?」
「今頃はいつもの服にあざすさんが説教してるの。」
「何でクビにならないのか不思議で仕方ない。
それより自殺とは?」
「宿舎の木に誰かぶら下がってるはずなの。」
「うわああぁ!」
叫び声が聞こえた方に行くと宿舎の木に逆さまにぶら下げられたえびちゃんが……
「鶯の身を逆に初音かな なの。
季違いじゃがかわいそうに……なの。」
「誰が既知外だコラ下ろせバカ野郎!」
「了然和尚もなのちゃんがやるんだ……」
「廃油、感心してないで手伝ってくれ。
この罠解除したらえびちゃん落ちてくる。」
「えびちゃんは助けたからモジが解除して。」
「意外と凝った作りしてるんだよこれ……よしOK。
テケリリ、えびちゃん降ろして。」
「ってえびちゃんは何でここに?」
「あざすさん出て行った後こいつに話しかけたら服だけでさ、島に行ったなと思ったら漁協誰も居ないし。
宿舎かと思ってきたら来たら罠に引っ掛かっちまった。
でもこれ誰が仕掛けたんだ?」
「俺は知らない。」
「ぼくも。」
「あたしじゃないよ。」
「あ……」
「やっぱりお前か!なの!」
「夏に仕掛けて忘れて帰ったの。
上手く行けばあざすさんがかかるかなと思ってたの。」
「もう一遍怒られろお前は!
ところで地下ドックにも棺桶丸は2隻有るけどショゴス達居ないんだよな。」
「なのが見つけるの。
じっちゃんのナニかけて!」
「なのちゃんそれ孫の方。
ある時は謎の書店員……またある時は全裸の散歩者……しかしてその実体は!」
「廃油は多羅尾伴内まで観てるのか。」
「小林旭版だけだけどね。」
「多羅尾伴内は片岡千恵蔵版が至高だぞ?」
「片岡千恵蔵なら遠山の金さんがいい。」
「いれずみ判官シリーズか、確かに。
あと水戸黄門で格さんとかシリーズで金田一耕助もやってるぞ。
金田一はスーツ姿のダンディーだったけどな。」
「ああ八つ墓村の渥美清金田一と同じパターンか。」
「テケリリちゃん、あの二人何言ってるなの?」
「昭和30年代の映画ブームを語ってるのよ……」
「文字さん、八つ墓村と言えばここ何故か八つ墓村か犬神家っぽい雰囲気になってるな。」
「廃油がみんなと頑張ってお化け屋敷作ってたからなぁ。」
「あああ廃油あんた何てことを!」
「ふっ……その姿でお化けが怖いとはのっぺらぼうもびっくりだ。
で、横山におりんの峠も完備して……
テケリリ頭引っ張るのやめて?」
「あんたも轆轤首になれ~!って言うか悪魔の手毬唄っておはんじゃ無かった?」
「あれ77年の映画のみ何故かおりんからおはんに名前変わってるんだ……へっくしょん!」
ずるっと伸びる廃油の首。
「人外の争いは人知を超えてるの。」
「お前が言うな全裸人間!」
「全く……まともなのは俺とえびちゃんだけだな」
「「それは無い。」なの。」
「何故?」
「あんたショゴス隊の隊長だろうが?」
「普通に宇宙人捕まえてウルトラマンに引き渡したの。」
「くっ……過去が現在に歯を剥いて来たのか。」
「過去って2ヶ月程前の事じゃねーか!」
「それは違うの。
実は昨日……」
「え?昨日またやらかしたのか?」
「うん、昨日新しいのが来てあの帆船っぽいの分捕って来たの。」
「その帆船って俺見てないぞ?地下ドックの棺桶丸じゃ無いよな?」
「あれ?そう言えばあの帆船が無いの。」
「ありゃ先生と言うかハイ・ザーイ博士がシンバッドやアラジン達連れて飛んでると思うが?」
「誰も居なかったのはそういう理由か……」
ドンドンドンドンドン!
反重力エンジンの余剰パルスが間蔵島を揺るがす。
着水と同時に完全迷彩オフ、古代ガレー船に似た威容を放つ宇宙戦艦が船着場に現れる。
「え?これが飛んでたの?空飛ぶ幽霊船かよ……」
「♪ザザザンザイダ ザザザンザイダ」
「廃油、そっちはメガマウスシャークだろう?」
「変形前だよ。
あの変形ハイ・ザーイ博士に見せたら作ってくれるかな?」
「防御力無視したらできるんじゃない?
って言うかデザインはハイ・ザーイ博士見てると思うよ?」
「文字さんなんでモノローグでみんな行方不明みたいに言ってたなの?」
「ポコチン出来たから宇宙行って飛ばして来るって聞いてたから言おうと思ったら自殺なのとか言われたんだけど?」
「文字さん、何が出来たって?」
「男根専用輸送ロケット。」
「そんなもん運んでどうすんだよ?」
「ん?
ああ違う違う、ファンクラブの男根専用の輸送ロケットだよ。」
「ああそう言う事か。
男根さん専用のロケットだからポコチン号か……」
「いやそれは見た目なんだけどね……」
「文字!
ポコチンは大気圏内飛ぶとまともに操縦出来ん!」
「あんな反り返ったもんがまともに飛ぶかぁ!
マグマ大使のロケット形態かサンダーバード1号にしとけば良かったのに。」
「え……反り返ってんの?」
「えびちゃん、大丈夫なの。
えびちゃんのと同じ形状になるように……」
ごん!えびちゃん怒りの鉄拳。
「なんで俺の股間知ってんだお前は!」
「なのちゃん、おれ達と一緒にスパイやらないか?
君なら第2のマタ・ハリになれる。」
「男根も怪しい勧誘してんじゃない!」
「モジ、股張りって何?」
「フランスのストリッパーで本名マルハレータ・ヘールトロイダ・ゼレ。
第一次大戦中スパイ容疑でフランス軍に捕まって処刑された女スパイの代名詞だが俺は実際はスパイじゃなくスケープゴートにされたんじゃないかと思う。
実際諜報要員では有ったものの諜報活動は低質だったその割に敗戦の主犯として銃殺されたからな。
フランス・ドイツのいずれの陣営に対しても有意義な情報をもたらしたという証拠は一つも見つからなかったんだよ。」
「カジノ・ロワイヤルでジェームズボンドの娘産んでたよね。」
「廃油……混ぜ返すんじゃありません!」
最初ミステリー仕立てにしようとしましたが、
あんなの逆立ちしても書けないことに気付きました。
で、気付くといつもの様に……
殺す為にキャラ作るのが苦手です。
どんなキャラでも書いてる最中に情が移りますので。
人間の証明はその辺上手かったんだなと(森村誠一先生に偉そうに……)
さて次回は ポコチンロケットお披露目
第95話 猥褻物見物罪? お楽しみに




