第60話 ヴァチカンの闇
昨日から私、モンタルバーノの気分は冴えない。
当然だろう、昼にお人好しのマッテオ神父と教皇庁の腐敗について話していたところに海賊放送仕掛けた馬鹿が居たのだから。その馬鹿の担当にされたのには神を恨んだ。しかも調査をしてみて判った事はこの事件ンダーオ司教が関与して……いや正直に言おう、ンダーオ司教が悪役にされているのだ。マッテオの野郎は何故か海賊放送が真実を突いていると断言し、放送はジャパンからだと言っている。舞台の教会にジャパニメーションのピカチューの絵が有りデモンスレイヤータンジローのシールが貼って有ったと……オタクだなあの野郎……
「モンタルバーノ刑事!ソルピエロ広場に巨大な電気アイロンが現れました!現場に急行お願いします!」
モ「おいおい何を寝惚けて……おうわっ?」
本当に居た……しかしあれは電気アイロンではなく未確認飛行物体では無いのか?こういう訳のわからん物は名探偵と呼ばれるマッテオ神父に……と、携帯が鳴った。
「モンタルバーノ!ソルピエロ広場にUFOが来てるよ!宇宙人出るかも知れないから早くおいでよ。」
「マッテオ神父……君のその野次馬根性が殺人事件を呼んでるんじゃ無いか?」
「他人の事言えるかい?あ…ハッチが開いた。」
全裸の少年がハッチから覗いて……引っ込んだ?
"我々はパイラ星人、あなた方の警察機構とお話がしたい、どうか警察の方はハッチを上がって来ていただきたい"
マッテオが嬉々としてハッチを上がって行く……私はマッテオを止めるべくハッチを駆け上り……真ん中に眼が有るヒトデの怪物に囲まれた。
マ「やっぱり!君たちはジャパニーズだね?」
モ「おいこら神父!」
マ「その姿は1956年のシネマ『ミステリアスサテライト』の善良な宇宙人の物で故タロー・オカモトのデザインだよ。このシャトルもガッディーラ1985のスーパーXだよ。」
奥からアジア人が出て来た。
文「メッセージを正確に理解していただけてありがとうございます。わたくしは防衛軍諜報部の文字と申します。全員変形!」
ヒトデが溶けて人間になる……何らかのマジックなんだろうが全く判らねぇ。
マ「ンダーオの件でいらしたのでしょうか?」
文「はい、それで大っぴらにすると教皇庁の威信に関わる情報が出てきまして。こちらになります。」
マ「これは……モンタルバーノ、君の管轄だよ。教皇庁の闇だ。」
モ「いや……私に渡していいのかよ?」
マ「君でなきゃ有効利用できない。凄く細かく書いてあるけど拷問しました?」
文「思考をコピーしてわたくしの中に植えて供述しました。本人はこの通りですので受け取っていただきたく……」
あ……ンダーオ司教がさっきの全裸の少年に連れられて……いやピッチリした肌色のレオタード着てるのか。
それとなかなかエキゾチックな女性が……
な「この後ナポリのSM博物館行ってナポリタンスパゲティ食べるの!」
あ「行かないわよ!って言うかSM博物館って何よ?」
な「正しくはMuseo delle Tortureとか言ってたの。」
あ「拷問具・死刑執行具展示館じゃない!あとナポリタンスパゲティはイタリアに無いからね?」
モ「おお!美しいお嬢さん何故この様な所へ?」
文「おお!あざすさんがモテている!」
な「天変地異の前触れなの!ポンペイ再びなの!」
あ「あんたたち後で覚えてなさいよ……失礼、私は防衛軍少佐のあざすと申します。今回はこいつらの見張り役で参りました。」
文「ンダーオは目で催眠術を使います。サングラスで防御できますのでご利用お願いします。あと申し訳ありませんがここの記憶を消させていただき新しい記憶を植えます。後日何かあれば書類に記載されてます防衛軍諜報部までお願い致します。では!」
ハッチをふらふらと降りるモンタルバーノとマッテオと手錠で繋がれたンダーオ。
モ「なぁ……ジャパンの防衛軍って宇宙人と取引してんだな……」
マ「モンタルバーノ金星人の女性口説いてたよね?」
モ「そこは報告しないでくれ。まさかあの海賊放送宇宙人が関わってたとはな……」
ウボ=サスラによって上書きされた記憶を持ってイタリアが誇る探偵コンビはこの後リストに挙げられた吸血シンジケートを潰す事になる。
あ「でも何で3年で記憶戻る様にしたのよ?」
テ「永いと性格に異常を来す恐れが有るからだって。
あ!どっかの空軍来た。」
文「ユーロファイターだな。あ?バルカン射ってきた?」
"こちらはドイツ空軍、撃墜されたく無ければ着陸せよ。"
文"嫌じゃボケ。"
高度を上げてユーロファイターの後ろに下がる。
文「ヨウ素サーチランプ起動!」
大光量のランプで照らされた戦闘機に向かって
文"今のはただのサーチランプだが次はこちらもバルカン使う。それとも鬼ごっこするか?"
マッハ5でユーロファイターを追い越してグリーンランドに……おや?
文「みんな、ごめん。北に向かってた。」
あ「あほか~!」
文「大西洋縦断して南極に帰るからね~。」
あ「コンパス無いのかこの機には!」
文「そうか!何か足りないと思ってたら!」
あ「え?本当に無いの?」
テ「どうやってヴァチカンに行ったの?」
文「ンダーオの帰巣本能で……」
あ「寧ろ良く着いたな?」
"地軸ワープするのかと思ってたわ。"
文「お義母さん何ですかそのロマン溢れるパワーワードは?」
"教えてなかったかしら?極点と地軸のずれの間に航空機が侵入すると対極まで瞬間移動できるのよ?黄衣の王の知識に有ったわ。"
文「それ地球じゃない星なんじゃ?」
"昔イスが探したけど無かったわね。"
伸「それハスターが書いてた物語じゃないのかな?それよりニーナとブブラ連れてこないで良かったの?」
な「あの寝坊助共は起きなかったの。筋金入りのお寝坊さんなの」
伸び縮みだけが冷静に突っ込んでいた。その時の日本時間午前2時である。
文「俺たちも帰って寝ようぜ。煮華は廃油と緑がやってくれるだろう。」
スーパーXを轟沈のビーコンが包み込んでいった。
今回ゲストのモンタルバーノ刑事とマッテオ神父ですが実際には2人共別個の作品の主人公で日本で言えば杉下右京と浅見光彦がコンビで出演した様な物です。またマッテオ神父のオタク趣味はオリジナルにはありません。悪しからずご了承お願い致します。
さて次回は やまぐち書店を訪れた少女、実は……
第61話 FCMレブン お楽しみに




