第4話 書店員達、島へ 前編
「まだ怪獣の消息は掴めないのか?」
「はっ!当時曲淵付近にやまぐち書店と称する本屋の女子店員四名がピクニックに来ておりましたが地響きがしたので怖くて逃げてきたそうです。うちわけは成人女性1名(女性じゃないなの!)、女子高生1名(アンドロイドですヨ?)、推定女子中学生2名(子供でも女子でもねぇ!)(あたしも中学生じゃないよ~だ!)、以上です!他に当時綿山に登頂した人物は確認されておりません!」
「うむ……諜報部に動いてもらうか……」
「なのちゃん、突っ込み入れても向こうに聞こえまセンヨ?」
「しかしコニーの盗聴機すげぇな。外観は虫なんだろ?」
「うん、ハエだよ。移動も可能。」
「コニーちゃんはハエ女なの、ザ・フライガールなの、昔流行った揚げ揚げ娘なの。」
「なのちゃん、フライの意味が変わってマス。」
山の入り口で会った防衛軍兵士にハエ型盗聴機を飛ばす、ハエは隠密行動で服の中に潜り込み基地で蛍光灯の上に入り込む。後は司令官室を探して盗聴する、ブラックホール第3惑星人の技術の粋を集めた盗聴装置なのだ。
ただSF知識も科学技術も海苔弁当のバラン以下のこの作品では何か便利な物位の値打ちしか無かった。
「あの山の中になのとえびちゃんの愛の巣を作るなの。」
「勝手に作って出ていけ、俺はXOXOとの愛をここで育む。」
XOXOがえびちゃんの頭に鼻を伸ばす。
「吸っちゃダメって言ってるでしょ!」
「あ!ほとぼり冷めるまでどっか逃げとくってのは無理かな?あ……隙手間の”となりのエイリアン“入ってるわ……げっ11冊?雛壇作ってねーぞ?」
「できマスヨ。雛壇もホログラムがほぼ作り上げてまスヨ。しばらくホログラムに店番シてもらって慰安旅行しますカ?」
「海がいいなの!冴え渡るなのの竿さばきを披露するなの。」
「竿さばきってお前……猥褻物陳列罪だぞ?」
「釣竿がなんで猥褻物になるなの?」
「え……ああそっちか。」
「えびちゃんには別の竿さばきも見せるなの。」
「やっぱりそっちの意味じゃねーか!」
「コニーちゃん、あの二人の言葉を聞いてはいけまセン。」
コニーとXOXOは首を傾げるのであった。
「海はともかく島だと間蔵島に合宿施設が有りますヨ?山だと綿山の曲淵にも有りますガ。」
「島に朱鷺は居るなの?」
「佐渡ヶ島じゃありませン。」
「渡し船になるのか……チャーターできるのか?」
「車の運転できれば大丈夫ですヨ?」
「なのは免許は有るなの。」
「特殊戦車2種限定なら……」
「コニー、それエンジン付きは運転できるのか?ってか雛壇飾るの手伝えよ!11冊じゃどうにもならん。」
「そういうえびちゃんはどうなんです?ほら周りに同日発売の“賢者の弟子と言い張る賢者”とか“領地経営魔法貴族”とかちりばめたらどうかな?」
「今回は私が運転しマス。なのちゃんとえびちゃんはこちらの免許取ってくだサイ。車は裏に有りマス……“マスターオブモンスター”と“異世界転生陰陽師”も乗りまスカ?」
「みんなふたつの事しゃべるんじゃないなの。」
「おまえも手伝え。サボるな!」
「なのちゃんも手伝ってくだサイ!」
「なのちゃんも手伝ってよ~。」
「すごいチームワークなの。」
なのちゃんが全員から殴られた事は言うまでもない。
雛壇を作りあげた書店ちゃんたちの前に有った車は……「あなたの街のやまぐち書店」と書かれた見た目は白のトヨタ・カローラフィールダーだった。
「反重力エンジンで陸上、水中、空中を走れマス。」
中身がとんでもなかった。
「宇宙空間はダメなんですか?」
「動力が真空に対応してないノデこのままでは無理デス。潜水艦は宇宙では動けまセン。」
「アタッチメント付けたら行けるなの?」
「月位ナラ。着替えと水着と遊び道具と500円までのおやつを用意して明日から行きましょウ。」
「バナナはおやつに入るなの?」
「入れないとバナナ型の大人の玩具持ってくるだろうが。」
なのちゃんの行動を読むえびちゃんであったが……
「張形はただの玩具じゃないなの。でも遊び道具として持っていくなの。」
なのちゃんの悪巧みが勝ってた様だ。
「これから水着買いに行きますカ?」
「なのは青い縞のビキニがいいなの。」
「男根が飛び出すぞそんなもん着たら。」
「コツカケって技術が有るの、えびちゃんにも教えてあげるなの。」
「俺は短パンでいい。」
「胸が無防備ですよ?」
コニーはピンクのフリルの付いたビキニを選んでいた。
「コニーちゃん、一緒にえびちゃんの水着選ぶなの。」
「書店ちゃんはどうするんですか?」
「ワタシはこれヲ……」
スクール水着だった。
「せめて競泳用にしないなの?」
「背中が出るのは好ましくないノデ。」
「まぁ本人にこだわりが有るなら仕方ないなの。」
「おい!俺のこだわりは?」
「その胸を隠さないのは犯罪なの。」
脚下されたようだ。結局真紅のローライズにスポーツブラっぽいトップスのビキニにされた。
「それじゃ行きますヨ。」
カローラフィールダーは4人と1匹を乗せて軽快に走りだす、海には30分程で着いた。そのまま堤防からジャンプ……着水と同時に水中翼を展開。マフラー脇にせりだしてきたダクテッドスクリューが水を蹴る。
「007の映画でこんなの見たこと有るなの。」
カローラフィールダーは水上モードで波を切って走り出した。
「50ノット(時速92.6キロ)で走行中、あと2分デ漁港に上陸しまス。」
「コニーちゃん……お舟ってこんなに速かった物なの?」
「あはは……第3惑星にこんな速い水上艇無いよぉ……」
「あはははは、こりゃ陸より速いぜ、なぁXOXO。」
{♪~。}
「水中翼収納、車輪に駆動力伝達、3、2、1、タッチダウン!陸上走行に移行しまス。」
その時、漁港の建物の中からカローラを見つめる目が有った。
「ふ~ん……面白い車ね。認識阻害も張ってあるみたいだし、どこの国の馬鹿かしら?」
車の横にでかでかと「あなたの街のやまぐち書店」と書いてある。車を見ていた軍服の女性は転けそうになった。
「何よあれただの商業バンなの?いや先日かわいい怪獣が出た時に近くに居たのがやまぐち書店って報告が有ったわね……」
女性には確信が有った、あの怪獣は自分たちを襲う物ではないと……
「字守隊長!どうかなさいましたか?」
「いいえ、この任務が終わればあなたが隊長なんだからしっかりね。あたしちょっと知り合いに会ってくるわ。」
やまぐち書店、あざすさんの実家近くにあり彼女も女性週刊誌や小説を求めて何度か足を運んだ。
「軍服じゃあれだしジーンズとTシャツでいいか。」
普段着に着替えた彼女はカローラの消えた報告に足を向ける、この方向には合宿施設が在ると思ったが……
「あ、やっぱりここ借りてたんだ。」
「あれ?お姉さんこの島の人ですか?」
「ええ、ここの漁協にお手伝いに来てるのよ、お嬢ちゃんは店員さんかしら?」
「コニーちゃん荷物を…あれ?お客さんここの人だったんデスカ?」
「あら?店長ちゃん?ならやっぱりさっきの車はやまぐち書店の配送車なのね?」
なんとか近所のお姉さん、あざすさんを出す所まで書いたところでページが尽きました。
彼女は防衛軍諜報部の人間ですが敵になることはありませんのでご安心ください。あと、しつこいようですがこの物語はフィクションであり隙手間塗例素は架空の漫画家です。
次回、第4話 書店員達、島へ(後編)
の前に第X話 書店ちゃんの誕生日を11日に入れさせていただきます。
ちょっと短めの短編ですので読み飛ばしていただいても大丈夫になっております。
書店員達、島へ(後編)は予定通り12日更新です。
ちょっと事件が起こります。




