第36話 地下懲罰房《なのちゃんハウス》
一見、地上2階に見えるやまぐちブックストア……
だが、実は次元連結された3階より上が在るのは店員しか知らない。
そして地下には……
「A-10ちゃん、30回回したなの!」
壁に埋め込まれたランプが緑色に灯り、なのちゃんが回していた粉挽き棒(よく奴隷が回しているアレ)が自動で回りだす……なのちゃんのお仕置きは終った。
「いつもならブブラちゃんへの悪戯は10回なの、計算間違いじゃないなの?」
『日課ノ全裸散歩ガ確認サレテマス。アト、懲罰房ヘノ私物ノ持チ込ミ分モ入ッテマス。』
「いつバレたと言うなの?」
『ソファーセットト冷蔵庫トテレビヲ持チ込ンデ何故バレナイト思ッタンデスカ?』
「リフレッシュ用なの!」
『ナルホド……デハソノ旨オ姉チャンカアザスサン二伝エテオキマス。』
「ごめんください、取次(書籍卸)の東洋書籍販売です。」
「ハイハイ今出ますなの。」
「今回の取引でコミックしおり100部ご注文いただきましたが10部しかご用意できず……」
「A-10ちゃん!搬入口にえびちゃん呼んで欲しいの!」
「あの……ところで何故全裸なんですか?」
「今まで部屋で運動してたなの。」
「お前はまた全裸で……ヨーチューバーの阿智谷 盛さん?」
「なのちゃん明日はプラス10回ね……原増?原増 恋……何でこんなところに?」
「字守?字守 令子?10年振り近いわね!」
「とりあえず積もる話も有りそうなんでなのの部屋に行くの。」
「おいなの……なんで懲罰房に冷蔵庫とソファーセットが完備されてるんだ?」
「漢女の秘密なの。」
「明日はプラス20回ね……んで原増、あんたコスプレ辞めちゃったの?」
「今は阿智谷盛名義で女神ヨーチューバーやってるわ。それよりコミックしおり10冊しか用意できないのよ。」
「それに関してはこの馬鹿の所為です、ごめんなさい。」
「なのそんなの知らないの。」
「丸川から新しく出るコミック誌だ。」
「コミックおしり?あれは売れると思うの。」
「そんなコミック発売予定に有りませんけど?」
「あれは夏の日に見た幻影なの?」
「お前幼児雑誌のめばえをもだえと読んで大量発注かけようとしただろうが!」
「ねぇあざす、あたしこのあと直帰なんだけど久し振りに飲まない?」
「いいわね!」
「ビールなら恵比寿と札幌と朝日が在るの。」
「こいつ懲罰房別荘にしてやがる……」
「ちわ~!冥土喫茶煮華です!出前お持ちしました~!」
「お持ちしました~。」
「ニートが働いてるの。」
「お前よりファンクラブのみんなやショゴスの方が働いとるわ!」
「あ、えびちゃんにあざすさん、これ男根からメダルカード。」
「やった!初めてカードになった!」
「あれ?そうだっけ?コニー先生も飛ばされてたなそう言えば。ところでお客様、テケリリ見て騒がない人初めてですよ?」
「原増……静かだと思ったら失神してたのか……」
《わはははは、見事じゃ!のう地球のショゴスマスターよ!》
「お客様?どうなされました?」
《そちのショゴスが祈ったのでちょっと力をそのカードに宿した者じゃ。天晴れである!》
「原増……じゃないわね。気力が人間の大きさじゃない。」
「モジ……あの人……『白痴の魔王』アザトース……」
「テケリリ、他人に白痴とか言ってはいけません!すいませんお客様。」
《我と会話すると発狂すると言われておるぞ?》
「そうなれば私自身をテケリリ達に食べてもらいますから。」
《ますますもって天晴れじゃ!おお!この者がアザトースカードのモデルじゃの?誠に天晴れじゃ!》
「あの……原増はどうなってます?」
《安心せい、ただ寝てるだけじゃ。我もたまにここに遊びに来たいのう。》
「周りを発狂させない、また正体を明かさない、力を使わない。この3つを守ってもらえるなら……」
《おお!心得た、我と同じ名を持つ者よ!我はこの者と共におる故いつでも呼び掛けてくりゃれ。ではまたのう。》
「あ~、怖かった。」
「あんたの方が怖ええよ文字さん!何万物の王と普通に会話してるんだよ?」
「俺がビビったらテケリリが恐がるかと……」
「お化けちゃん普通に引いてるなの。」
「主の……モジの思考がわからない。」
「テケリリ、そんなの全部判ったら面白く無いだろ?ディスコミュニケーションを楽しむんだ。」
“モジ、テケリリ、店に帰って来て。お客さん来た。”
「キャッチ入ったからお暇します。テケリリ?」
「……もうこの人大丈夫、アザトース何もせずに引っ込んだ。テケリリも帰るね。」
『くはははは!面白いぞ地球!』
『また適当な人間に憑依してたんですか?』
『じゃが奴隷種族が我と看破してのう……ショゴスマスターはどう言ったと思う?』
『失神したとかでは?』
『「他人に白痴とか言ってはいけません」だと。ニャル、あの星は楽しいのう。更にまた来たいと言ったらどう答えたと思う?』
『アザトース様にはもっとふさわしい星が在るとか?』
『フフン、我のカードのモデルになった女が「正体隠して力を使わず周りを発狂させないなら良い」と申したのじゃ!ニャル!あの星を保護せよ!』
『ははっ!』
などとなってるとはつゆ知らない冥土喫茶煮華では……
「軍曹!コーヒーお代わり!」
「お前ら客が入らないだろうが!」
「防衛軍カウンターオフィスだから客入らなくて良いんでは?」
「いや?常連の女子高生が3人来てくれてるぜ?なぁテケリリ。」
「班長のパフェや店長のコーヒーも人気。さっきOLがショゴス飼いたいと言ってた。ハカセはカレーを出したいと研究中。試食し過ぎてマドカのおなかが2センチ……」
「テケリリ!乙女の秘密をバラすんじゃない!」
で、やまぐち書店では……
「原増、飲みに行くわよ!」
「待って字守、なのちゃんってもしかしてニューハーフ?」
「あれ単に女装趣味の男の娘よ?」
「BLキター!」
「あざすさん、後ブブラとやっとくからゆっくり楽しんでおいで。」
「字守……この店美少女ばかりだけどもしかして……そっちの趣味?」
「お腐れヨーチューバーに言われたくないわ!」
「あれ?でもあんた男探しに防衛軍入ったんじゃ?」
「技術一流だけど顔面破壊されてるのと顔はいいけど技術無いのとどっちがいい?」
「顔のいい方!」
「残念、原増は未亡人になってしまった……」
「え?防衛軍ってそんなとこなの?」
友人達の夜は更けて行く……
意外に時間がかかってしまいました……
と言うのも原増 恋こと阿智谷 盛が急にやまぐち書店入りしたからです。
時系列的には先ず夜叉丸(十六夜 円)、テケリリ、阿智谷 盛の順番なんですが前述の通りテケリリのデザインに惚れてしまった筆者が先に出してしまいました。
なおビジュアルはこんな感じです
https://34244.mitemin.net/i662296/
さて次回は、第37話 阿智谷 盛の女神配信前日
お楽しみに