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やまぐちブックストアダイアリー  作者: 着ぐるみ人形あき
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第32話 浜辺のマーメイド達

 昨日まで妖怪が跋扈していたとは思えない間蔵島である。まぁ漁協の建物は防衛軍が立ち入り検査をしているのではあるが、圧力も悪意も感じられる太陽と屹立した入道雲の下。俺はひたすら肉を焼いていた……


「すとろんが太っ腹。肉10キロ置いてった。」

「テケリリ……これはお前達の正当な報酬だ。好きに食えばいい。」

テケリ……リリリリリ(ぼす、おかわり!)。」

「おお大口、もう無くなったのか?よしよし、タレはどうする?」

「ビーチでショゴスとバーベキューも良いものですなぁ……」

「班長、こっちも手伝って?と言うか他の連中は?」

「やまぐち書店メンバーと一緒ですよ?」


青い縞のビキニを着たなのちゃんと赤いビキニのえびちゃんが寄ってくる。


「文字さん焼きそばくださいな~なの。」

「へい焼きそば2丁ね!」

「班長……お前と言う奴は……」

「肉見とくから焼きそばよろしく。」

「作れよお前も!」

「わたしホール係、注文受ける。文字さん厨房、頑張って。」

「テケリリ、班長の言うことは当分聞かなくていいから。」

リ……リリテケテケリ(ぼくも焼きそば欲しい)……」

「でんでん、班長噛っていいよ(焼けるまで待ってな)。」

「わ~!何言ってんですか?」

「すごいすごい!モジショゴス語マスターしてる。」

「廃油が教えてくれるんだよ。へい焼きそばお待ち!はいでんでんにもな。」

「わっしも手伝いやすよ?」

「十六夜さん……休んでて良いのに。」

「この子達には世話になったもんで。あ、伸び縮みのも空じゃないか。おっさんの焼いたのも食ってくれよ。」


一方こちらは華やかな方、あざすさんは白いハイレッグワンピースでサマーベッドに横たわってトロピカルカクテルを飲んでいた。

パイーーーンパアーーーーン

2サイクルエンジンの音と共に登場したのはスクール水着を纏った書店ちゃんだった。

『まだちょっと吹け上がりが良くないデスね。』

『オ姉チャン、ドウスレバ?』

『キャブレター大きくしてみまショウ。』

「こらこら書店ちゃん、浜辺の天使が地獄の天使(ヘルズエンジェル)になってどうするの……ってブブラちゃんは?」

『浜辺で砂に落書きしてマス。チェンジA-10、GO!』


バイクが立ち上がりタイヤをボディに収納すると……見習い店員A-10ちゃんに変形する。きっちり黒いビキニを着ていた……いや、ボディペイントか?

なお、太股まである囚人服のような黒白ボーダーの水着のブブラは……


「利尻ちゃん、どうしたんデス?」

「エリさん……あたしは渚の金魚姫……水に浸かると死んでしまう……」

「あれ?海水って生理食塩水と濃度同じじゃ無かったか?」

「あんた書店員なんだからもっと勉強しなさい。塩分濃度は海水が約3%、生理食塩水は0.9%よ。あなたが塩に触って平気なら浸かって大丈夫よ?」

「え?……本当だ!入れる!ありがとう斉藤さん!」


白いビキニにパレオを巻いたヤマナメちゃんとトロピカル柄ビキニの斉藤さんだ。ちなみに無知村エリはマイクロビキニのトップの紐が耐えられずスクール水着であった。


「おい君、うら若い女性の水着を盗撮するのは感心できないぞ?」

「我々はやまぐち書店ファンクラブとして記録を残しています。邪な気持ちは有りません……あなたはどなたです?」

「やまぐち書店ファンクラブ?ああ綱木曹長閣下の。これは失礼しました。わたくし夜叉丸と申します。テケリリ殿や百目殿にはお世話になりました。」

「ああ昨日の作戦の……夜叉丸さん、街中で綱木を呼ぶ場合“文字”と呼んでください。曹長は要りません。ファンクラブの中でも彼の階級はトップシークレットなのです。」

「そうだったのですね。貴方は?」

「私は装備、作戦担当のコードネーム“博士”です。」

「お~い、博士がロングヘアーの白いマイクロビキニの少女連れ込んでるぞ~!」

「袋だ!袋にしちまえ!」

「いっそショゴスの餌に……」

「落ち着け馬鹿者!彼女は夜叉丸さん、文字の知り合いだそうだ。」

「って何騒いでるのよ……はっ!」

「貴女……できますね!一手お手合わせ願えますか?」

「貴女こそ……かなりの手練れと見ました。」


波打ち返す海岸に二人の少女が対峙する

かたや高校生女子プロレスラー斉藤尚子

こなた防衛軍訓練兵夜叉丸こと十六夜円

1つの波が砕けたのを合図にして2人は走る!

さながら2条の稲妻のように……


「「アホかぁ~!」」


稲妻を止めたのは異変に気付いたあざすさんと文字であった。


「なんで喧嘩してんのよあんた達は!」

「いえ少佐殿、これは軽い手合わせで……」

「夜叉丸、親父さんが治ってすぐにお前が怪我してどうする?」

「いや文字さん、彼女なら大きな怪我はしないはず……」

「はいテケリリ、怖い顔。」

「うらめしやぁ~!」

「キャー!キャー!キャー!」

「尚子ちゃんには……廃油ちゃん。お願い。」

「?」

「ちなみにその廃油、昨日のディナーはネズミとゴキブリでした。」

「キャー!キャー!キャー!」

テケリリテケリリ(違うよフナムシだよ)。」

「どこで食ってきたお前は?」

テケテケテケリ(フジツボも美味かった)。」

「ショゴス達がどんどん悪食になっていく……」

「え?ちょっと待ってネズミやゴキブリより悪食って……」

「聞けば斉藤さんの脳に重大な障害を及ぼす恐れが有ります。」

「え?何それ余計に怖い。」

「モジはショゴス語覚えたもんね~。」

「テケリリちゃん、その言葉が一番怖い。」

「あれ?コニー先生は?」

「XOXOniaちゃんの実験だって。」

「ただいま~!沈没船内から拾って来たよ。」


ピンクのビキニのボトムスに女児水着の様な小さいスカートを付けたデザインの水着を着たコニーが帰って来た……大きな木箱をXOXOniaに載せて。

木箱の中は……金塊だった。鷲とハーケンクロイツの紋章が見える。


「コニーちゃん……これ何処から……」

「300キロほど先の葉巻型の沈没船の中から。」


えらいものを拾ってきたものである……


「結局女性陣で水着見てないのはテケリリだけか……」

「見たい?」

「そりゃまぁ……」


いつものパーカーを脱ぐと……虎縞ビキニ?


「ハカセがこんなのが良いって!似合う?」

「似合ってるしかわいいけどおおっぴらにできない絵柄になってる……」

「どうしたっちゃ?」

「言い訳できない口調で話し掛けないでくれ……」

水着回ですが……何故か思った通りに運びませんでした。

とりあえず12人(?)の水着紹介だけになってた様な……

さて次回は夜叉丸親子のお引っ越し

第33回 新しい生活は……、お楽しみに

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