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やまぐちブックストアダイアリー  作者: 着ぐるみ人形あき
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第30話 夜叉と呼ばれた少女

 「テケリリ、ちょっとその辺見て来てくれ。」

「リリ……モジ、斑が食料の所に3人居るって。」

「食料庫かな?少佐、呼び掛けて。」

「こちら諜報部少佐字守令子。生存者は居るか?」

「こちら上陸戦闘班第二リーダー笠松祐司曹長、村上穣上等兵……そして吉岡義郎伍長です。」

「伍長、膿を受けてませんか?」

「いえ……一発で腕を切り落とされましたので。」

「でんでん、頼めるか?」

「うわぁぁぁ?」

「落ち着いて!スライム達は友好種族よ!」

「あんた方見付けたのもこの子なんだぜ?っと、あざす令子かチャイルドセブン、あるいは諜報部少佐の肩書きが信じられるなら傷口出しなよ。治してやるから。」

「ありがたい、止血しただけなんで……」

「ちょっと気持ち悪いかも知れないが暴れるなよ?でんでん、頼む。」

「え?あれ?なんか指の感覚が……?」

「良かったな、あんたが信じたこの子は手を与えてくれたぞ。」

「そんな馬鹿な……」

「でんでん、まだかかるか?」

「テケリ…リリ……」

「手を引き抜いてくれ。手が復活してるはずだ。ただリハビリは必要だからな?」

「あ!タトゥーまで消えてる!」

「ああ、そりゃすまない。どうしてもそこまでは再現できないんだ。」

「とんでもねぇ!子供の頃の火傷痕隠すタトゥーだったんだ。ありがとう!」

「この子に言ってやってくれ。この子達は字守少佐と生物研究室がやってるプロジェクトの再生スライムだ。多分上層部も詳しく知らないだろうけどな。」

「文字くん!あたしの所に質問書来たらどうすんのよ!」

「頑張ってください。」

「丸投げするなこら!」

「この島の状況教えなかった分です。書類で泣け。ってか生き残り3人も居たじゃないですか。」

「あと20人程生きてますよ?」

「は?何人亡くなったんです?」

「殉職が2名、変身したのが5名です。」

「ほとんど生きてたぞ少佐どうする?」

「文字くん何で焦ってんのよ?」

「ここで無駄に1週間不自由な生活させられたんだからいくら賠償になるか……」

「あんたたまに訳わかんない事でビビるわね。」

「変身した5人の意識は?仲間襲ったりしてる?」

「いや、会話できる。」

「なら治るかも。1人期待させないで海に浸けてもらえませんか?」

「少佐……あの人医者ですか?」

「いえ?ただの詐欺師(スパイ)だけど?」

「モジにはあたし達が集めた知識もフィードバックされてるはずだよ。」

「おお!テケリリ達の知識()だったのか!」

「ティンダロスのバイ菌は塩水に弱い、でも塩水を海水と判断したのはモジの知識、知識同士融合した。」

「テケリリ~!」

「モジ~!」

「あの一つ目幽霊は?」

「この子はバカな研究者がお化けを再現しようと再生スライムに非道な実験を加えた結果です。ただ彼女を人間にする方法も見つかっています。今その方法を試している最中です。どうか怖がらないでやってください。」

「きゃぁ~!お化けお化けお化けお化けお化け~!」

「夜叉か?落ち着け!刀仕舞え!そのお化けは味方だ!」

「え?みか……た?」

「う~ら~め~し~や~。」

「こらテケリリ、そういうボケは仲良くなってからするんだ。」

「あんたも常識狂ってるから黙ってなさい。夜叉さん?諜報部少佐字守令子です。あなた方の救援と化け物退治に来ました。」

「は……あ、失礼しました。連絡員をしております十六夜(いざよい) (まどか)訓練兵です。コードネーム夜叉丸と申します。」

「ゆ~れ~のテケリリと言います。」

「これはこれはご丁寧に……きゃ~!」

「文字くんテケリリちゃん下がってなさい!実は敵の体液を受けて変身した人を治せるかも知れないのよ。協力してもらえないかしら?」

「はい!とりあえず本部にご案内致します。」



「漁協の会議室を本部にしてたのか……」

「ええ、ここの上の寮が私達の個室になってます。」

「体液を受けた人達は?」

「水を怖がるので冷凍庫に隔離して居ますが……」

「モジ、水こわがるならあまり時間はなさそう。」

「廃油、大口、伸び縮み、気泡、百目。そこの生け簀に海水隠して潜めるか?」


ショゴス達は海水を飲み込み、透明になった。


「俺の合図で海水噴射できるな?」

「「「「「テケリ……リ……」」」」」

「よし、頼むぜ?あ-、夜叉丸さんだっけ?この生け簀に5人共連れて来て欲しい。」

「了解しました!え……と……」

「繋ぎでも文字でも好きに呼んでくれ、一応曹長だよ。」

「はっ!曹長閣下!」

「曹長で閣下と呼ばれたの初めてだ。」

「いや……あんた准尉以上でしょうが?」

「階級はひ・み・つ。」

「わぁなんかムカつく。」

「曹長閣下。連れて参りました!」


5人共肉の腐った臭いがする……実際所々腐り落ちて形状が変わっている者さえも存在していた。


「みんな、そこの生け簀に入ってくれ。見ての通り水は入っていない。」

「おかしな臭いがします、曹長。」

「ああ、それは小官の右手だろう。失った右手を再生スライムで補修して有るんだ。」

「再生スライム?」

「そうだよ。海水放出!」


5頭のショゴスが一斉に飲み込んでいた海水を放出すると生け簀内の5人が逃げ出そうとする。


「ショゴス達、1人が1人を押さえ込め!窒息させなきゃいい!」

「リリリ、テケテケリリリリリ」

「ハハハ、大口、当たり前だ。みんなには優先してバーベキューの肉を割り当てるよ。」

「モジ?今大口の言葉わかった?」

「ありゃ?何でだろう?」

「リリテケリリリ」

「え?俺がショゴスマスター?気泡も冗談が上手いな。」

「冗談じゃない、モジみんなに認められた。日本のショゴスは隙手間以外モジに従う。」

「テケテケリリリ」

「OK。ショゴス達ご苦労様。ティンダロスの膿をそのまま海水で洗い流してくれ。夜叉丸さん、衛生兵連れて来て汚染されてた連中の世話を頼む。欠損が有れば後で治すんで報告も頼みたい。ショゴス達は休憩だ。まず若い兵から順番にヘリで軽空母に移ってくれ。」

「曹長閣下、少佐、私を帰すのは最後にしてください。」

「と言われても……」

「怪物本体は父の仇なのです。上陸した日怪物に切り捨てられました……」

「気に入った!モジ、イザヨイ連れて行こう。」

「親父さんが話しかけて来ても撃てるか?」

「え?父は……」

「同じ声、同じ顔で襲い掛かって来ても対処できるなら連れて行こう。奴らはそういう能力が有るようだ。殺れるか?肉親を安らかに眠らせる為に。」


今回のサブタイトル、実は十六夜 円の予定でした。はい、これから彼女は準レギュラーになります。それより8月に入ってしまいましたね……水着回が間に合うかどうか……

さて次回はティンダロス編クライマックス

第31話 再殺部隊

お楽しみに

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