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やまぐちブックストアダイアリー  作者: 着ぐるみ人形あき
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第2話 えびが来た

「書店ちゃんおはようなの!」

「なのちゃんおはようございマス。今日もいい天気デスネ。」

「初めての定休日だから釣具屋に行くの!がま○つのチヌ竿の新しいモデルが出てるの。」


爽やかな朝の空気を引き裂く叫び声が響く。


「お前達動くな!お前達は呪われている!すぐ解呪してやるから動くんじゃない!」


赤い服を着た金髪ショートカットに眼鏡の女の子……だがその耳は横に伸びて尖っていた。


「書店ちゃん、あれエルフじゃないなの?」

「私もそう思いマス……だとすれバ……」

迷惑者(トラブラー)なの!」

「なのちゃん、それを言うなら転移者(トラベラー)デス。」

「あれ?……なんだよこの呪い?」

「デバフは無いはずデスヨ?」

「だからこそ不気味だ……どこのダンジョンでこんな面白い呪いを受けたんだ?」


二人は社員証を見せる。


「ギルドカードが呪いのアイテム?」

「無くさなくて便利ですヨ。」

「いやそりゃ無くさねーだろうけど魂が汚されて……無いな?本当に何なんだよこの呪い?」


二人が話し合ってる中、なのちゃんは

「新しい男根が来たの、飛んで火に入る夏の男根なの。」

とか考えていたのであるが……



「なるほど、勇者の剣と同じ祝福をエンチャントした上から呪いをかけると安全で無くさねぇし壊れねぇ呪われたアイテムができるって訳か。」

「解っていただけましたカ。」

「いやわかんねーけどよ……そのカードがそれだけ大事な物だってのは理解したよ。」

「ではえびサンにも社員証作りますネ?」

「ああ、頼む。フルネームは谷沢(たにさわ)恵美(えび)、見ての通りエルフの魔術師だ。」

「書店ちゃん、彼は男なの。」

「え?背は低いですシ胸は大きいですヨ?」

「ああ、魔術師って両性具有が多いんだ。陰陽両方の魔素を使わなきゃならねぇからな、あとチビは放っとけ。」

「オカマちゃんなの。」

「違うつってんだろ!」

「谷に住む沢エビちゃんなの。」

「それを言うなら川エビだ!沢はカニだろ!姐ちゃんいい加減に……」

「なのちゃんも男性ですヨ?」

「え?嘘だろ?」

「と言う訳で連れションに行くなの。」

「行かねーよ?」

「安心するなの、なのはホモじゃないなの。

ただかわいいエルフの男性の性器がどうなってるか

知りたいだけなの。」

「これっぽっちも安心できねーよ!目を血走らせて何言ってんだよ!」

「マンザイしてる間に出来上がりましたヨ?」


緑色のエプロンと社員番号193番、渉外部と書かれた社員証、名札にはえびちゃんと彫ってある。

呪いのアイテムに慣れたえびちゃんは手のひらに魔力を流し呪いを緩和させる。デバフがかかった場合少量の魔力を犠牲にして逃げるのだ……が……デバフは来ない。

じっくりと社員証を見る……呪いのアイテム特有の圧迫感はない。ちょっと鑑定してみる。聖なる呪いの社員証……


「なんじゃこりゃ?」

「どうかなさいましたカ?」

「いや聖なる呪いの社員証とか理解不能なことを……」

「えびちゃん、考えるんじゃないなの、感じるなの。自分に害をなす物かどうか、害をなさないなら受け入れるの。」


この獣人……魔術の師匠と同じ事を言ってる……


「次は風呂場で裸の突き合いなの。」

「それを言うなら裸の付き合いだろうが。」

「とうとう覚悟を決めたなの?」

「決めてねぇ!」

「肩とお尻の力を抜いてなのに任せるなの。」

「いちいち怖いんだよお前の言い方は!」

「そうなるとノクターンかムーンライトにお引っ越しなの。」

「何言ってんだお前は?」

「ミッドナイトでもいいなの。」

「書店ちゃん!なのが壊れた!」

「元々そんなもんデスヨ?」


言われてみればそうかも知れなかった。


「で、普段は普通に店員してりゃいいのか?」

「はい。売上が下がるとどこに飛ばされるか判りませんカラ。」


たぶん物理的に転移させられるんだろうなと思う店員二人であった。


「にしても何でいつもの慣れたダンジョンの転移罠がこの街に繋がってんだろうな?」

「なのは釣り船が転覆して気が付いたらここに居たなの。」

「詳しくはわかりませんガ、所謂バミューダトライアングルの出口がこの辺りに有るみたいデスネ。」

「神が見捨てた地獄の一丁目なの。エリア999(スリーナイン)って漫画に書いて有ったなの。」

「なのが珍しく詩的な表現してると思ったら……」

「と言うか、それ師匠と弟子とどっちの作品デスカ?」

「終わったらチヌ竿見に行くなの。」

「この辺釣れる所あんの?」

「海まで電車で30分くらいですヨ。」

「二人共わかってないなの、釣具は周りの釣り人に自慢するための物なの。」

「無駄遣いしたいだけかよ?」

「その羨望の眼差しでご飯3杯は軽いなの。」

「メシまで無駄に食ってやがる……あ!近所にダンジョンなんかは?」

「ダンジョンは聞いた事ありませんネェ……」

「残念、在ったらオーク辺り狩って来るんだけど……」

「オークといえばしょうが焼き食べたいなの。」

「また唐突だなお前は。」

「食堂に行きましょウ。フードメーカーの使い方も覚えてくだサイネ?」

「ここに社員証を挿すの。挿し方が悪いと飛び出して来るからきちんと入れ直すなの。」

「ふんふん……」

「入ったらディスプレイに料理写真が表示させるから絵柄を押すといいなの。」

ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ポーン!

「時報が鳴ったら引き出しに料理が入ってるなの。」

「時報じゃねぇと思うが……」

「ここにない料理を登録するならこのヘルメット被って料理を思い浮かべてくだサイ。」

「ああ、何でパーマ屋のドライヤーが在るのかと思ったらそういう物なのか。」

「では私はカツカレーをいただきまス。」

「あ!俺もそれにする。」


しょうが焼き定食を前になのちゃんが禁断の言葉を口にする


「カレーって美味しいけど見た目はウンk……」


書店ちゃんの左手に出現したお仕置きバスターが光を放つ!

そしてえびちゃんが見たものは……長い髪がアフロになって倒れているなのちゃんだった。


麻痺(スタン)か?……いや雷撃(ライトニング)か?」

「キジも鳴かずバ撃たれまいニ……さぁ冷めないうちにたべまショウ。」

「なのが地獄の一丁目とか言ってたが……案外そうかも知れないな。そうすっと書店ちゃんは獄卒(おに)か……」


なぜか2本角のエプロンを着た鬼が包丁を持ってコラーとか言ってる絵が頭を過るえびちゃんだった。


えびちゃんが参加してやっと最初期メンバーが集まりました。

次はコニーとXOXOなんですが、これ実は結構曲者でして、かわいい路線で行くかコズミックホラー路線で行くか……

あと、このキャラクター達にはきっととしあきたちがニヤッとするであろう設定もプラスする予定です。

第3話 コニーとXOXO お楽しみに


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