第19話 今日も嵐が吹き荒れる
カァ~ン!
あざすさんが叩いた戦いのゴングが響く中、無知村さんは映画「マタンゴ」の怪物そっくりに変身していた。
弱そうなえびちゃんに襲いかかるチンピラA……だがこっそり肉体強化をかけたえびちゃんが9文半キックでカットする。
「なのちゃんチンピラをロープに投げて……なのえびダブルドロップキック。えびちゃん逆エビ固めに入るがまだチンピラのスタミナが減っていない!
なのちゃん相棒を転がされた腹いせにトップロープからの……ダイビングヘッドバット~!だがこれはなのちゃんにもダメージが入っています!えびちゃんなのちゃんを下がらせて……ギロチンドロップぅ~!さてトップロープに登ったなのちゃんの方にチンピラを誘導して……なのちゃんパンツを脱いでチンピラに肩車されるこれは……雪崩式ツームストンパイルドライバー!極楽同盟大技を決めたぁ~!」
『あの2人結構やるんですネェ……』
「特殊性癖の人には効かないフィニッシュホールドです……なのちゃん目を回しているチンピラのパンツを剥ぎ取ったぁ~!おっと相棒のえびちゃんに怒られてパンツを穿かせています。……違う?なのがパンツを穿け?なのちゃんしぶしぶ自分のパンツを穿いた!」
『成人誌部門から異動させまショウ。』
「なのちゃん泣いて謝っている~!さてコニーちゃんは……チンピラに捕まっている?おっとここで腕の有るマッチョな身長2メートル近いXOXOに入れ換わった!」
コニーの身代わりになったXOXOはぬるっとした動きでチンピラBの拘束から抜けるとコブラツイストを掛ける。全体を締められてチンピラBが倒れると4の字固めに移行する。
「普段とはちょっと違うXOXOちゃんの4の字固めだぁ~!」
『故ザ・デストロイヤーが70年代に持ち込んだ技ですネェ。別名プロレス界屈指の拷問技トカ。悪役のデストロイヤーですが日本では子供に人気で日本でのみベビーフェイスとして活躍したそうデス。』
辛くもロープに逃れるチンピラ……だがXOXOはそれを許さない!
リング中央での卍固め!チンピラ泡を吹いて失神する。
「あたしは店長以外誰の挑戦でも受けるよっ!」
「いつの間にかリング外に出ていたコニーちゃん、吼えております!さてコミカルコンビとトリックスターはあっさりと勝負を決めておりますが正統派コンビは?」
無知村がチンピラCを振り回しヤマナメがチクチクとチョップを入れている。
「いつもニコニコの無知村さんジャイアントスイングで……ロープに投げたぁ~!反動で返ってきたチンピラに……ヤマナメちゃんのフライングクロスチョップ!倒れたチンピラを担ぎ上げて……無知村さん渾身のボディースラム!そしてヤマナメちゃんトップロープからの……フライングボディープレス!おっとコニーちゃんこちらのリングに入ってきて……スリーカウントぉ!この試合初めてのスリーカウントで勝負が決まったぁ~!」
「あなたの仲間は全て倒された様ね。さぁ、ウチらも試合を始めましょう?」
「あの~ギブアップは?」
斉藤さん帽子を指2本でクイッと上げ笑顔で言う。
「却下❤️」
「殴りかかって来たチンピラをそのままロープに振り……アックス……いやウエスタンラリアットだ!サー・イトウ打点を微妙に調整しダメージのみ残るようにしている~!」
『サー・イトウさんのアックスボンバー(ホーガンハンマー)はフェイタルブローですカラ、最初からラリアット系の技を使っているのは相当頭に来ていると思われマス。』
「さぁもう一度ロープに振って……ローリングソバット!そしてチンピラが片膝をついたところを……シャイニングウイザードだぁ~!」
「あんたには初めての興行邪魔されたからね。……すぐ楽になれると思わないでね?」
「サー・イトウ選手チンピラに何か囁いている?」
『相手が素人ですから受身取れとか言ったんじゃないデスかねぇ。』
「そう言えば打点を調整して動けなくなる攻撃をしていませんね。さぁチンピラを持ち上げて……ジャーマンスープレックス!やろうと思えばこれで決まる大技です!しかしサー・イトウ選手立たせてロープに振ったぁ!出るか伝家の宝刀!アックスボンバーだぁ~!」
『今回は打点を上げて顔面に直接打ち込みマシタね。サー・イトウ選手やはりかなり怒っていた様デス。』
4つのリングが重なり1つに戻ると同時に無知村さんが戦闘形態を解除、サー・イトウの膨れ上がっていた筋肉が戻り、肉弾戦用XOXOが姿を消すとコニーちゃんがマイクをサー・イトウに渡す。
「皆さん、本日はYBWA(やまぐちブックストアレスリングアソシエーション)旗揚げにお越しいただきありがとうございました。少々のハプニングはございました!少々のハプニングはございましたがこれからも彼女達の成長を見守ってくださいますよう宜しくお願い申し上げます!」
大歓声の中パトカーが店の前に停まり、警察官が降りてくる。
「すいません、警察ですが4人組の銀行強盗……おおっ?」
報告の有った強盗未遂犯が4人共リングの上で伸びて居たのだ。
「お疲れ様です、私は字守令子と申します。彼らの武器は取り上げてこちらに纏めてあります。彼らの連行をお願いします。」
「あ……はい、後々顛末を伺うかも知れませんが……」
「それは防衛軍経由でお願いします。内緒ですけどここ防衛軍の実験施設なんですよ。諜報部中尉字守令子の名前を言ってもらえると防衛軍も全て話すはずですので。」
「はっ!ご協力感謝致します!」
「という事ですので司令、よろしくお願いします。」
「解った。だが……無知村さんのテクノロジーは凄いな……リングが分かれたり、緑色に光る少女が空中に浮かんだり……そう言えばダンコンマンが車に次元跳躍装置付けたとか言ってたが。」
「その辺は無知村さんのシャトルからの技術供与です。この店の配達用のカローラとハイエースにも付いてますよ?燃費が向上するので。」
「それセスナに付けたら……」
「基本的にワープ装置なんで気密しっかりしたら宇宙空間に行けますが?」
しれっと凄い事をいわれて胃が痛くなる司令だった。
この話を書くのに餓狼伝を参考にしようと読んでみましたが……面白過ぎて読むのに夢中になってしまいました。結局こんな形になり夢枕貘先生の名作を爪の先ほども再現できてない物が出来上がりました。教えてくれたやまぐち書店ファンクラブの皆さんにお詫び申し上げます。
さて次回は書店ちゃんの姉妹登場です。
次回 第20話 汎用ロボA-10 お楽しみに