第16話 銀河冒険スペースなのブラ
今回の話は寺沢武一先生の名作、コブラを下敷きにさせていただきましたが……なんでこうなった?
奴の名はなのブラ……宇宙海賊なのブラ。
左腕にCalamityHugInvincibleNervKnockdownOnslaughtガン……CHINKOガンを持つ男の娘……
身体にフィットし過ぎている青いボディースーツはあろうことか彼の性器までくっきりと浮かび上がらせていた。
永年の相棒であったアクメロイド・エビーを宿敵、銀河海賊互助協会に誘拐された彼は愛機タートルヘッド号をワープさせる。
「見ていればいいのクリスタウロオ・ボーエ。なのは今日生まれて初めて喜んで人を殺すなの!」
銀河海賊互助協会の建物にタートルヘッド号を変形させて突っ込むなのブラ。出てくる互助協会員達を次々血祭りにあげていく。
「止めとくの、どうせ給料安いんだろなの。」
愛用の飴を咥え、互助協会員が銃を撃つ前に倒していく。
CHINKO-ガンの弾は己の情熱、理論的に弾切れは無い。
部屋の真ん中に噴水っぽい滝の有る部屋……ボーエはここに居る!
CHINKO-ガンを噴水に向かって放つ、返礼に滝を突き破って帰って来たのはボーエが右手に装着している魂砕きマイクだ。
滝を越えるとそこにボーエが座って居た。
「パンツを脱いで来るべきだったか?なの。」
「構わんさ、貴様とオデの仲だ。」
クリスタウロオ・ボーエ……全身がクリスタルガラスで出来てはいるものの何故か肥満体型に作られており、足にはシークレットシューズを着用している。
「ガラスが足りなかったのか?なの。」
「貴様の様に武器を見せびらかす趣味は無いのでな。と言うか小さいなお前の。」
「付いてないサイボーグに言われたく無いなの。うちの相棒が邪魔してるみたいなんで引き取りに来たなの。」
「しつこくして嫌われたんじゃないのか?ともかくあれはオデの電子頭脳の一部になる予定だ。勝手に人の脳を持って行くんじゃない。」
「人の張形を脳にするんじゃないなの!」
「え?そんな使い方してんのか?」
「エビーには内緒にしてくれ。なの。」
「遅かったななの!もう聞いた後だ!」
天井から十字架に鎖で縛られたエビ-が下りてくる。
エビ-は……怒っていた。
「なのっ!誰が張形だって?」
「もう今朝の事は忘れたなの?」
「捏造するんじゃねぇ!俺は3日前から捕まってただろうが!」
ギュギュン!CHINKOガンが鎖を打ち砕く。
「どうやら本物の様だなの。」
「お前ら実は仲悪いんじゃないか?」
「お前に心配されなくても身体の相性はバッチリなの。」
すぱこ~ん!エビ―の重力張り扇がなのブラの脳天に炸裂。なのブラは失神している。
「助けに来た仲間を張り倒すとは……とうとうオデの電子頭脳になる気になったか?」
「こいつのCHINKOガンは最強の武器だがお前の身体にダメージは与えられねぇ。俺が闘るしかねぇだろ。」
「たかがアクメロイドの分際で……」
「食らえ!超振動ナックル!」
だがエビ-の拳はボーエの腹に飲み込まれて行く……
「噂の超振動ナックルもオデには効かん。」
「そうかな?固有振動数解析終了。超振動ナックル発動!」
パリーン。軽い音を立ててボーエのクリスタルガラスが砕ける。
「お前は固有振動数を甘く見すぎだ。俺はお前のクリスタルガラスの身体さえ剥がせればそれでよし、出番は終わりなんだよ。なのっ!」
なのブラのCHINKO-ガンが毛の生えた心臓に吸い込まれ、内臓されている機械に紫電の火花が散る。身体中のクリスタルガラスが砕けて前のめりに倒れたボーエは二度と動く事は無かった。
「さぁ、また銀河に飛び出すなの。」
「その前にちょっとそこ座れ、小一時間問い質したい事がある。面白い事言ってたなぁ?」
「ベッドに入ってから大声で笑えなの。」
「それは違う漫画じゃぁ~!と言うか人のベッドに無断で入るんじゃねぇ!」
「で?これをどうしろと?」
「SFが少ないと言ってたので。」
「いやあの……少年誌ですよ?なんでここまで下品になるんですか?」
「モデルが悪かったんです……」
「はぁ……確かになのさんをこんな世界に放り込めばこうなるとは思いますが……謎の預言者アザトーとか古代文明の超兵器XOXOニアンとか暗黒の魔王ショッテーンとか……」
「まぁまぁロイヤルミルクティーでも飲んで落ち着きなさいな。」
「あ、ありがとうございます。あざす先輩も大変ですね……」
「あら?令子はなのちゃん追いかけて行ったわよ?」
「ナインカさん、こちらあざすさんのお母さんです。」
「え?いやいやいやお姉さんなら判りますが……ええ?」
「ね?まざすさん、これが正しいリアクションなんですよ。」
『ナインカさん、コニーちゃんの原稿預かってマスよ。』
「あ、書店さんすいません。でえびちゃん先生、これ預かりますが……コミックおばんですに売り込んで見ます。あとコミック異端でBL描く気は無いですか?あそこの編集長がダンコンマン気に入ったらしくて……」
ドドドドド……バタン!
「えびちゃん、なのちゃん見なかった?……ってあれ?ナインカちゃん来てたの?」
「先輩はクローン人間だったんですか?」
『あざすさんは苦労人間だと思いマスが……どうしたんデスか?』
「あの馬鹿エリちゃんの英語の参考書をイタリア語とすり替えたのよ。チャオとか言われたんでチョコレートの入った飴渡したらグラッツェとか言われたわよ。」
「あんたよく1964年発売の飴なんか持ってたわね?なのちゃん呼びたいなら簡単よ?リール自慢してたら来るわよ。」
「母さん……チャオは復刻してるわよ。というかいつの間にそんな裏技を……」
「流石先輩のお母様ですね!」
「まぁまぁ……褒めても戸隠流忍法しかできないわよ?」
「あざすさんの家族ってみんな忍法使えんの?」
「そんなわけ無いでしょう!」
結果……なのちゃんは特大背負い籠を伏せて入口に棒を立て、中にリールを置くという今時雀も捕まらない罠に掛かっていた。
「ナインカさん……こいつ主人公でBL描けると思います?」
「いや……天然の野生児と言うことでワンチャン……」
後にえびちゃんによって描かれた遊星からの野生児というBLがそこそこ人気になる……らしい。
なお、あざすさんはあまりの馬鹿馬鹿しさに怒りが霧散した様である……そして無知村エリは何故かフランス語やドイツ語の外来語がマイブームなんだとか……
という訳で如何だったでしょうか?
あまりなのちゃん達の行動に合わせるとコブラの持つハードボイルドな世界観がぶち壊されてしまいました。台詞の浮き具合からも察していただければ幸いです。今回なのちゃん本人が出ないのは……色々考えた結果出さない方がいいかと、カゴ罠に掛かっていましたが……
次回は常連達の物語です
第17回 書店ファンクラブ おたのしみに




