第12話 お隣さんはエイリアン
宇宙人が来る……とは発表できない防衛軍であった。
そんな事を言うとアメリカと中国が誘致合戦を始め下手をすれば世界大戦に発展する……だが日本を気に入って住んでくれたなら彼らの安全を保証できる……字守中尉さえ居れば!
「そんな訳で彼らの警護を頼みたい。何なら一個連隊貸し出すが?」
「途中から本音だだ漏れだったのはともかく……やまぐち書店裏の土地は無知村一家に提供すると考えて宜しいのですね?」
「……勘のいい中尉は嫌いだよ。」
「帰りますよ?」
「いやまぁ……あそこなら君が警護するにもいいと思ったのだが……」
「それはそれで、あと無知村家には17歳の娘さんが居ます。名前は無知村エリ。適当な高校を見繕って頂きたい。」
「ああ!それは本屋の……何と言ったか、髪が恐怖で脱色された……」
「山行さんですか?」
「そうそう、彼女の高校から色好い返事をもらっている。あとご両親は防衛軍で引き受ける。これは決定事項である。更に無知村家に害を及ぼそうとした場合これを排除できる権限を与える。」
所謂殺人許可証と言う奴で在るのだが……
「はぁ、たぶんそこまでは必要無いと思いますが……以後その周辺で頻発する記憶障害はどこぞのスパイと考えて処分お願いします。」
「もう処理方法まで考えて居るとはさすがだな。」
あざすさんは「XOXOちゃんのエサ♪」位にしか思ってないのだが。
「更にアヒルが無知村家に及ぼす害悪を鑑みアヒルの一斉処分を提案させて……」
「それは却下する。公私混同するんじゃない。」
「その為の殺人許可証なのでは?」
「アヒルは人ではない。無知村家に害を及ぼさない限り攻撃しない様に。」
「酒に酔って痴漢行為を働いたら射殺して良いと?」
「程々になら……アヒルが酒を飲むのか?」
「そういう個体も確認しております。」
「そ……そうか……。」
嘘だろう?とは言えない司令官であった。何せおいでませ宇宙人計画成功の立役者なのだ、臍を曲げて辞めでもされたら取り返しが付かなくなる可能性も高い。
「全滅させないと誓うので有れば許可するが……」
「人前に出てこないアヒルだけがいいアヒルです。」
「ま……まぁやり過ぎないように頼む。」
「では、細かいところを詰めますので失礼致します。」
「って事なのよ~。」
「では私は書店ちゃんのお隣さんですカ?」
「ええ、それは防衛軍でも決めていたみたいよ。あとコニーちゃん、周辺彷徨くスパイの脳は吸っていいからね。」
「やった!XOXONYやXOXONIAに進化するかも。」
「おいおい進化ってこれ以上可愛くなるのか?」
「きっと生殖器が生えるなの。」
「生えないよ!」
「じゃぁ明日の行動を伝えるわね……」
翌日、日本時間朝10時。太平洋上に直径10メートルの円盤が出現。アメリカ太平洋第7艦隊の追尾を振り切り日本に到達。なお中国並び北朝鮮よりミサイル攻撃を受けたが全て虚空で爆発。円盤は台戸市中央部にて停止。10分後、中から単眼タコ型宇宙人が現れた。
「£*〇и●*¬\├&?」
思い切り茶番だなと思いつつあざすさんが声をかける。
「こちらは防衛軍です。あなたの目的を教えてください。」
「お引っ越しさせてくださイ。」
この時点で書店メンバーを乗せたハイエースは光学、電波ステルス状態のまま離脱、やまぐち書店で一息つく事になっている。
エスコートは防衛軍のヘリに任され。防衛軍基地まで案内される。やっと肩の荷が降りたあざすさんだった……
通勤、通学には当面軍の用意したバンを使う。プロロの散歩はできるだけ綿山を利用する等のルールが決められて行った。
そして家は乗ってきた円盤を使用するとし、外壁と屋根だけの家がやまぐち書店裏に建造された。
「これで言えるわね。無知村さん、いえエリちゃん、ようこそ地球へ!」
「あざすさん!ヤマナメさんはどこですカ?」
「安心して、彼女はあなたのクラスメイトよ。いろいろ教えてもらってね。」
「斉藤さんと言う方もたぶん仲良くなってくれると聞きましタ。」
「そうね、3人で遊びに行くのも良いわね。」
「書店のみんなと一緒に遊びに行きたいデス。」
「それはまた追々ね。海に行って遊んだりも楽しいわよ。」
「字守中尉。ペンタゴンから入電です。異星人を引き渡せと……」
「返信、貴国は亡命者をその様に扱うのか、であれば余計に渡せるはずがない。諜報部中尉字守令子で頼みます。」
「……ペンタゴンから入電、せめて話させてくれと……」
「エリちゃん、どうする?」
「英語わからへんねん……」
「と言うことです。日本語のできる通訳を用意すれば会談は吝かではないと返信。なかなか良い言い訳ね。」
「本当なんですヨ……」
「それはそれで武器になるわ。あの国だけでなくあなたの星のオーバーテクノロジーを欲してる国はいっぱいあるから気をつけてね。」
「でも書店のテクノロジーもなかなかデs……」
「しっ、やまぐち書店のテクノロジーは国にさえ秘密なの。書店の中以外では言わないでね。」
「わかりまシタ。早く皆さんと会いたいデス。」
「明日には会えるわ。夜になったらシャトルごとお引っ越しよ。」
そして深夜……小型円盤はあざすさんを乗せてやまぐち書店の上空に停止する
「このスイッチで屋根が開きます。中に着陸してください。」
サンダーバードか勇者ロボでも発進するように家が変形する。円盤が着陸すると逆回しのように家が元に戻り円盤を隠す。
「昼間はホログラフィーで隠しますができるだけ夜に飛ばしてくださいね。あと隣の建物ですが……」
「「「「「地球にようこそ無知村さん!」」」」」
「書店ちゃん、皆サン……」
「ヤマナメちゃんだけは遅いので帰しまシタが……」
「みんな歓迎したいって待ってたんだ。」
「普段はブブラちゃんは夜にも居るの、いつでも来て欲しいなの。」
「これXOXOの分身体、ボディーガードにもなるからね。」
「寂しくなったらいつでも話そう。あたしは朝から夕方までは寝てるけどね。」
「あたしも大抵昼から夜まで居るからね。」
防御形態を解く無知村エリ、紫と緑のマジョーラカラーの髪を持つグラマーな美少女が現れる。
「皆さん、よろしくお願いしマス。」
新しい隣人はついにやまぐち書店にたどり着いた。
だがその平穏を乱そうとする者も少なくなかった……
作中、あざすさんがペンタゴンに結構偉そうに言ってますが、彼女は学生時代から有名なハッカーであり、 ペンタゴンのみならずあちこちのファイアウォールを無効化しております。またファイアウォールの強化も手伝っており、彼女に強く言える軍隊は存在しません。ハッカーアザスの名前は上層部に知れ渡っています。彼女にとって怖いのは国の代理人でなく個人的な暗殺者でした。今はやまぐち書店のテクノロジーもあり、ほぼ無敵に近いですがいつなのちゃんが裸になるかに神経をピリピリさせております。
これからまた日常回ですが、そろそろえびちゃんの漫画の話も書かせていただきたいなと
次回、第13話 深淵からの襲撃 お楽しみに




