第124話 超能力学級
私立アルカディア学園小等部、みいめとつぐつが通う学校であり……正体は……
「なんで司令がやまぐち書店に居るんです?」
「あざす少佐、今はアルカディア学園理事長と呼んでくれたまえ。
昭和中佐から報告が来たんだが君の親戚が当超能力研究学級に編入されると聞いてね。
是非とも研究させてもらいたい。」
「はぁ……諜報部第七班の文岡工作員に頼んだ方が確実だと思いますが?」
「無貌の文字かね?
彼からの報告は途絶えているのだが?」
「先月、先々月と私の報告書と共に彼の報告書も提出しています。
更に彼はショゴス同士のテレパシーをハッキングしておりますが?」
「……その報告も上がっていないな。
あざす少佐、ご苦労だが本部の大掃除を頼みたい。チャイルドセブン並びに君の持つ全権能を使って構わない。」
「了解しました!」
同時刻、みいめとつぐつを学校まで送っていった文字一行は昭和教諭に捕まっていた
「はぁ……春の学習展示会ですか。」
「ええ、それで文字さんがダースベイダーできるって弾痕マン様から聞いてね。」
「ありゃ宇宙服ですよ?
超能戦士なら……トレーナー!」
黒いバイオメタルが体に纏い付き……昆虫に近い外見の鎧を形成する。
「文字さん仮面ライダーだったのね?」
「昭和先生、どっちかと言うと見た目ガイバーⅢ……いてっ!」
「廃油、あんたたまには真面目に生きてみなさい。」
「ご主人、テケリリにメガスマッシャー撃てる?」
「無茶言うな!」
{んでおっさん、あんた漁協に帰らんと何しとんやな?}
「解除!
パレンケできるまで帰って来るなとウボ=サスラ様と廃材先生から言われてな。
しかし生徒全員が超能戦士予備軍だったとは……
あとお前たまに餌もらいに来てるらしいな。」
{ひのかがニンジンくれるんや
健ちがブロッコリーで入江くんアスパラガスで……}
「それ嫌いな物押し付けられてるだけじゃないの?」
{食べ物に貴賎は無い!美味しいは正義!}
「じゅんに牛丼食べさせておいて焼肉食べに行こう!」
{ところでセンセ、LVって何のマークやねん?}
「ありゃルイヴィトンって主に革鞄や靴のブランドだ。
ジャージは知らんが。」
「このマークは勝手に貼ってるだけよ?
ヴィトンのジャージなんか無いわよ。
で、ダースベイダーの服なんだけど……」
「展示だけなら構いませんよ?
コスプレ衣装としては粗が多いですけど……」
《夕泣空くん降りてきなさーい!》
ぶっ!昭和が盛大にコーヒーを噴く。
慌てて校庭に出ると校舎の屋上で一人の男の子がフェンスによじ登っていた。
「知ってる子ですか?」
「夕泣空言之助、うちの生徒なんですが虚言癖と妄想癖が有って……」
「なるほど、ちょっと話聞いてきます。
トレーナー!」
再びバイオメタルを身に纏い男の子の場所までジャンプ。
そしてテレパシーで呼びかける。
“怖がらなくていい、俺は防衛軍所属の人間だ。
おっと俺の事は秘密にしてくれよな?”
{びっくりせんでええで泣き言くん、前にこっそり教えたやろ?
このおっさんがショゴスマンや。}
“じゅんお前何を……”
“{話合わせて!}”
{どうしたんやな?特殊スーツ無かったら怪我するで?}
「え?ショゴスマンって本当に?」
{たまたまここのパトロールしてたからええけど、これからまだ悪のイス帝国と戦わにゃならんからな。
いつも来られへんねん。}
「僕らもそのスーツ着れますか?」
“約束はできない。
ここから先は君の頑張りが運命を左右するからだ。
ああ、あぶく先生が心配しているな。
楽にしていなさい。”
文字は泣き言を抱えて屋上から跳躍、テケリリのイオンクラフト飛翔能力によりそっと着地する。
“先生、あまり怒らないでやって下さい。”
「堂々と出てよかったんですか文字s……」
“シッ……ショゴスマンと呼んで下さい。”
「君たちは超能戦士に1番近い場所に立っています。
いつか肩を並べて悪と戦える日を楽しみにしていますよ。
では!」
{喋れたんやなおっさん!}
「黙っとれクソネズミ!」
校舎の向こう側に跳んで行くショゴスマン、着地と共にバイオメタルを解除しその場に座り込む。
「こっちに黒い怪人が来ませんでしたか?」
「ゴキブリみたいな怪人ならそこに降って来たあと何かに乗って凄いスピードで去って行きましたが?」
「話聞かせてもらえますか?」
「すいません、腰抜けたんで立たせていただけます?」
「ご主人!僕というものが有りながら……」
「コラ廃油!モジはあたしのなの!」
「どっちでもいいから肩貸してくれ腰抜けてる。
目の前に怪人ゴキブリ男が降って来て……」
そんな中ただ独り昭和だけは……
ああウルトラマンも仮面ライダーも普段誤魔化すのに苦労したんだろうなと思っていた。
「あの人神山と白家の知り合いだろう?」
「うん、諜報部の文字さん。」
「あれで諜報部やっていけるのかよ?」
「諜報部と言っても全員スパイ活動するわけ無いじゃん。
きっと事務担当なのよ。」
わいわいと盛り上がってるが一分前に拍手で送り出したヒーローと知っているのは昭和ただ独りであった。
あざすの言う幻惑の詐欺師とはこういう物だったのか……
“先生、さっき校舎上から見た件について話が有ります。
放課後にでもやまぐち書店に来て下さい。”
え?どういうことなの?
“詳しくはここでは話せません。
事に拠っては先生にショゴス1名付けさせてもらうかも知れません。”
あざすが結構信頼している部下の行商人である。
何か見付けたのか何かに気付いたのか……
ともあれ今日の授業は早めに切り上げた方が良さそうだ。
「ご主人、あの子なんか有ったの?」
「死んでは無いようだけど精神に操られてる痕跡が有ったからね。」
「じゅん残して来たのはそれでか……」
「あいつが居たら黒幕も大っぴらに動けないだろうしな。
その間に黒幕潰せれば簡単なんだけど……」
「モジ、相手は判らないの?」
「イスの何かだな……
じゅんが悪のイス帝国つった時に必要以上に緊張したから。
とりあえずあざす少佐に報告だ。」
泣き言くんは当初トラブルメーカーのつもりで登場させましたが……何故か敵側のキーパーソンになってしまってます。
そのうち整理しよう。
さて次回は あざす姐さん事件です
第125話 狙われた防衛軍 お楽しみに




